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#小説
ガチャガチャで始まる朝。(5)
(1)はこちらから。
「おはようございまーす」
いつもと同じ学校の玄関。だけど、今朝は少し違って見える。ちょっと緊張して、朝のガチャガチャのレバーを回す。
ガチャガチャガチャ……ことん。カプセルが落ちてきた。今日のカプセルは、緑。よかった。普通のカプセルだ。
「ケンヤ、おはよっ!」
肩をたたかれて振り返ると、ハルトだった。
「お、今日は金じゃないんだな」
「うん」
なんか気の利いたことが
ガチャガチャで始まる朝。(4)
1)はこちらから。
いつもはハルトとふざけながら帰るけれど、今日はひとりだ。朝のガチャガチャから、あまりにも不思議な驚くことが多くて、なんだか1週間ぐらい経ったような気持ちになる。
通学路の途中にあるタコ公園は、珍しく誰もいなかった。僕はブランコにのって、ガチャガチャで金色のカプセルが出てきたところから思い出してみる。
初めて見る金色のカプセル、開けてみると、校長室へというメッセージ。カ
ガチャガチャで始まる朝。(3)
1)はこちらから。
ラブレターなのか、ただの手紙なのか、はたまた何らかの書類なのか。よくわからないけれど、ケンゾウくんはレンちゃんとひとことふたこと言葉を交わして、それをカバンの中に入れると、何事もなかったかのように、またハルトとおしゃべりをはじめた。レンちゃんはニコッと笑って友達と一緒に教室を出て行った。
うーん、何だよう。気になって仕方ないが、僕が出て行くわけにはいかない。
キーンコ
ガチャガチャで始まる朝。(2)
(1)はこちらから。
バタンと扉が閉まると、校長先生は「そこに座りなさい」とにっこり笑った。
校長室に入るのは初めてだった。僕はドキドキして、ソファに腰を下ろした。昔の映画に出てくるような緑色のソファはふかふかで、僕のお尻はすっぽりと沈みこんだ。
窓にはソファと同じ布のカーテンがかかっていて、金色の飾りがついていて、劇場の幕みたいだ。カチコチカチコチという音の方をみると、壁にかけられた大き
ガチャガチャで始まる朝。(1)
「おはようございまーす!」
ガチャガチャガチャ……ことん。
カプセルが落ちてきた。
中を開けると、カードが出てきた。
〈2年2組佐藤蓮〉
よし、今日は2年生だ!ハス?レンって読むのかな?男の子かな?女の子かな?
僕の学校は、ちょっと面白い。
登校して朝一番に、玄関にズラーッと並んだ〈ガチャガチャ〉をやるんだ。
4年生から6年生のガチャガチャには、1年から3年の子の名前が書いたカードが入っ