まっすぐな味|香川・小豆島
小さなバスを降り、ジリジリと刺すような日差しの下を歩く。
(ああ、帽子、かぶってくればよかった)
羽田空港のショップで一目惚れした、つばの広いラフィアハット。
フェリーで島に降りたったら、なんだか気恥ずかしくなって、ホテルに置いてきてしまったのだ。
川沿いの道から、住宅街の細い路地に入る。
(本当にこの道なのかな)
心細さがどんどん膨らんで、こらえきれずに汗になって、背中の真ん中をつつつ、と流れた。
心許なさを抱えて歩く私の目に、小さな看板の文字が飛び込んできた。
〈醤油蔵