8歳のボクが考えた不思議な話【叶い自動販売機】
ある丁字路に、『あなたの願いは何ですか?』と書いてある自動販売機があった。
近所の子どもたちは、その自動販売機のウワサを知っていて、前から気になっていた。
ある日、その中の魚が好きな男の子が、新しい魚の図鑑がほしいと紙に書いて、自動販売機のお金を入れるところに入れた。
すると、たくさんの願いが表示された中に、男の子の願いも表示された。
男の子は、自分の願いを叶えたかったから、自分の願いが表示されたところのボタンを押した。
そしたら、自動販売機のルーレットが回りはじめた。
はずれに止まりそうになったけど、最後にギリギリであたりに止まった。
男の子は、あたったことに大喜びして家に帰った。
そしたら、男の子が欲しがってた魚の図鑑を、お母さんが買ってきてくれていた。
さっき自動販売機で願ったことが本当に叶った。
次の日、男の子は近くの公園に行くと、いつも通りホームレスのおじいさんがベンチに座っていた。
おじいさんを見て、自動販売機に表示された願いの中に、『公園じゃなくて家が欲しい』と書いてあったのを思い出した。
もう一度あの自動販売機のところに行った男の子は、『ホームレスのおじいさんの願いを叶えたい』と書いて、お金を入れるところに紙を入れた。
そしたら、『公園じゃなくて家が欲しい』と表示されたから、そのボタンを押した。
そしたら、またルーレットが回りはじめた。
おじいさんの願いをどうしても叶えたくて、男の子はドキドキしながらルーレットを見つめていた。
あたりに止まった。
男の子は、「よっしゃー!」と叫んで、そのまま公園にすごいスピードで走って行った。
でも、ホームレスのおじいさんはいなかった。
それから、ホームレスのおじいさんをパッタリ見かけなくなった。
しばらくしたある日、お父さんとお母さんが話していた。
「昨日お隣さんから聞いたんだけどさ~、あのホームレスのおじいさん、親切な人がきて、家を用意してもらったらしいよ!」
「え! 本当? そんなことある? でも良かったね!」
男の子は、その話を聞いて「よっしゃー!叶った!」と声に出てしまった。
その声にお父さんとお母さんはビックリして、男の子のほうに振り返った。
「え!どうした?」
「ううん、なんでもない!」
と答えながら、男の子は心の中で「自動販売機ありがとう」とつぶやいた。
また別の日、みんなの前で発表する人に選ばれたくないと思っている男の子がいた。
その男の子は、叶い自動販売機のところに行って『発表する人に選ばれませんように』と書いた紙を、お金を入れるところに入れた。
自分の願いが表示されたところのボタンを押したら、ルーレットが回りはじめた。
男の子は、ルーレットがあたるかドキドキしながら待っていた。
だけど、ルーレットはギリギリはずれに止まってしまった。
男の子は「うわー、はずれに止まっちゃった・・・」とガッカリしていた。
次の日、発表する人をあみだくじで決めることになった。
みんなで好きなところに名前を書いて、あみだくじがはじまった。
その間みんなは盛り上がっていたけど、男の子はソワソワしていた。
あみだくじで発表する人が決まった。
結果はやっぱりその男の子だった。
男の子は恥ずかしくてイヤだったけど、発表をはじめた。
男の子の発表は思ったより、自分の中でうまくいった。
それから、発表が恥ずかしいと思う気持ちはなくなって自信がついた。
最初ははずれて、「うわー」と思ったけど、最終的にははずれて良かったのかもしれない。
あなただったら、叶い自動販売機を使う?
使わない?
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