８歳のボクが考えた不思議な話【お時間様】

お時間様じかんさまは、「今いま、な～んじな～んふん？時計とけいを見みずにこ～たえよ～」と急きゅうに声こえだけが聞きこえてくる。
何なにも答こたえないと、答こたえるまで何度なんども何度なんども聞きいてくる。
時計とけいを見みて答こたえようとすると、体からだが動うごかなくなって時計とけいを見みられない。
時計とけいを見みずに答こたえて間違まちがえると、どこかの神社じんじゃに飛とばされてしまう。
ぴったり時間じかんを答こたえられるまで、ずっと飛とばされ続つづけてしまう。

【お時間様じかんさま】

ある男おとこの人ひとが会社かいしゃからの帰かえり道みち、どこからともなく「今いま、な～んじな～んふん？時計とけいを見みずにこ～たえよ～」という声こえが聞きこえてきた。

「何なんなんだ？　これは」

男おとこの人ひとは、辺あたりを見回みまわしたけど誰だれもいないし、周まわりの人ひとには聞きこえていなさそうだ。

何度なんども何度なんども聞きいてくる声こえに少すこし怖こわくなって、思おもわず時計とけいを見みて答こたえようとしたけど、体からだが動うごかなくなってしまって時計とけいを見みられない。

とっさに「9時じ37分ふん」と時計とけいを見みずに答こたえた。

すると、さっきの声こえが「ざ～んね～んで～した～」と言いって、その瞬間しゅんかんヒュンとどこかに飛とばされてしまった。

「あいててててて」

辺あたりを見回みまわすと、どうやらそこは神社じんじゃみたいだ。

でも、見覚みおぼえがない。

そうこうしていると、またあの声こえが聞きこえてきた。

「今いま、な～んじな～んふん？時計とけいを見みずにこ～たえよ～」

男おとこの人ひとは「もう、勘弁かんべんして～」と思おもいつつも、答こたえないとずっと言いってくるから仕方しかたなく、

「9時じ40分ぷん」と答こたえた。

すると、またあの声こえが聞きこえてきて「ざ～んね～んで～した～」と言いわれてまた飛とばされてしまった。

今度こんどはまた別べつの神社じんじゃだった。

もういい加減かげんイヤになった男おとこの人ひとは、その声こえから逃にげたくてとにかく走はしった。

それでもその声こえは容赦ようしゃなく追おいかけてくる。

こんなことを何度なんども何度なんども繰くり返かえしているうちに、とうとうその時ときが訪おとずれた。

「今いま、な～んじな～んふん？時計とけいを見みずにこ～たえよ～」

疲つかれ果はてた男おとこの人ひとは、最後さいごの力ちからを振ふり絞しぼって、

「10時じ16分ぷん！」と叫さけんだ。

すると、あの声こえがまた聞きこえてきて「あ～たり、あたり、大だい～正せい～解かい～！」

「え？　今いま、何なんて言いった？」

男おとこの人ひとが戸惑とまどっている間あいだに、ヒュンとまた飛とばされてしまった。

「またどこかの神社じんじゃ？」と思おもいながら辺あたりを見回みまわすと、そこは自分じぶんの家いえだった。

しかも、あの声こえも聞きこえなくなっていた。

男おとこの人ひとは、とにかく家いえに帰かえれてホッとしたけど、結局何けっきょくなにが起おこったのかはわからないままだった。

また一人ひとり、愉快ゆかいなお時間様じかんさまに気きに入いられてしまった。

次つぎに、お時間様じかんさまに気きに入いられてしまう人ひとは、もしかしたら遊あそんでくれそうなあなたかもしれない・・・

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