8歳のボクが考えた不思議な話【ろうそく小僧🕯】化けクジラ
昔々あるところに、不思議な力を持つ小僧がいた。
その小僧は、一本のろうそくを大事にしていたから、『ろうそく小僧』と呼ばれていた。
そのろうそく小僧が、家の庭から海を眺めていた。
ザバーン ザバーン ザバーン
「なぜ、風も吹いていないのに波が立ったんだろう?」
ろうそく小僧はそう思ったけど、あんまり気にすることなく過ごした。
その日の夜、寝る前にろうそく小僧は昼間の波のことを思い出した。
気になってしょうがなくて、海がよく見える庭の垣根に上って、ろうそくに聞いた。
「昼間の波はなんだったの?」
すると、海の中から何かぼんやりと光るものが見えてきた。
よーく見てみると、皮膚が透けてて骨も見えてるクジラの妖だった。
そのクジラの妖は、なぜか同じ所から動かない。
クジラの妖の光に照らされて、その下にも何か見える。
それは、クジラの子どもだった。
でも、皮膚が透けていないから妖ではない。
それを見たろうそく小僧は、死に別れた親子なんだとわかった。
その瞬間に、そのクジラの妖の思いがろうそく小僧の頭の中に入ってきた。
「わたしの子どもを守ってちょうだい」
それを受け取ったろうそく小僧は、
「子どもは守るよ。だから安心してお帰り」
と、頭の中から送った。
それが伝わったクジラの妖は、安心してあちらの世界に帰ることができたようだった。
それから、ろうそく小僧は子どものクジラを守るために、不思議な力を持つろうそくを海の周りにたくさん立てた。
そのろうそくが、子どものクジラをきっと守ってくれるだろう。
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