8歳のボクが考えた不思議な話【夢の中のおゆめさん】
ある男の人が、友達と怪談話をしあっていた。
その中の一つに、夢の中のおゆめさんという話があった。
おゆめさんという、全身黒づくめの謎の人物が夢に出てきて、夢と同じことをしないと夢の中に閉じ込められてしまうという話。
「この話を聞いた人は、その日の夜、夢の中におゆめさんが出てくるらしいよ」
男の人は「まさかね」と思っていた。
その夜、男の人は夢を見た。
その夢の中で、男の人は花を植えていた。
「なんで普段花なんか植えないのに、花を植えてるんだろう?」と思いながら、ひたすら植え続けていた。
そして、とうとう庭全体が花に埋め尽くされた。
「キレイなお庭ですね」
突然、後ろから誰かに声をかけられた。
「ありがとうござ・・・」
そう言いながら振り返ると、そこには全身黒づくめの男の人が立っていた。
「うわーー、おゆめさんだーー」
そこで目が覚めた。
「今のは本当におゆめさんだったのか?」
「全身黒い服の人なんて他にもたくさんいるし・・・」
「これから仕事だから花なんか植えてる時間ないし・・・」
「それにあんなの作り話だよね」
男の人はやらない理由を思いつく限り並べて、結局夢と同じことはしなかった。
その日の夜、男の人はまた夢を見た。
その夢は、昨日の夢の続きだった。
「お花、植えなかったんですね。 夢の中では植えてたのに」
あの黒づくめの男の人が言った。
「え、いや、あの、それは、えっと・・・」
男の人が言葉に詰まっているところを遮るように、
「それでは! 夢の中でご自由に~!」
そう黒づくめの男の人が言った瞬間から、男の人は夢の中で生きることになってしまった。
それから男の人は、目を覚ますことはなかったけど生き続けている・・・
あなただったら、夢の中で生きる?
現実で生きる?
『8歳のボクが考えた不思議な話』シリーズのリンク集