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読書記録◎なれのはて

一枚の不思議な「絵」の謎を追い、令和から昭和、大正へ。
日本最後の空襲といわれる秋田・土崎空襲。
戦争が引き起こした家族の亀裂は、現代を生きる人びとにも影を落としていた。

ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになったテレビ局員、守谷京斗(もりや・きょうと)。異動先で出会った吾妻李久美(あづま・りくみ)が祖母から譲り受けた、作者不明の不思議な古い絵を使って「たった一枚の展覧会」を実施しようと試みる。ところが、許可を得ようにも作者も権利継承者もわからない。手がかりは絵の裏に書かれた「イサム・イノマタ」の署名だけ。守谷は元記者としての知見を活かし、謎の画家の正体を探り始める。だがそれは、秋田のある一族が、暗い水の中に沈めた秘密に繋がっていた。
1945年8月15日未明の秋田・土崎空襲。
芸術が招いた、意図しない悲劇。
暴走した正義と、取り返しのつかない後悔。
長年秘められてきた真実は、一枚の「絵」のミステリから始まっていた。

戦争、家族、仕事、芸術……すべてを詰め込んだ作家・加藤シゲアキ「第二章」のスタートを彩る集大成的作品。

読書メーターよりあらすじ引用


あけましておめでとうございます。
わたくしは福祉に従事する人間ゆえ、今年も正月関係なく労働しました👊💥
インスタで正月休みを満喫する友人たちを見つつ、利用者さんたちと過ごす年末年始、、わりと、悪くなかったです🤣
一緒に年越しうどんたべたり、紅白見て、おせち食べたりしてね〜コレはこれで有り◎

そんで正月がんばった自分へのご褒美に、「なれのはて」を読みました!
また、けんごさんがショートで紹介してて気になったから購入!(笑)いつもお世話になっております

加藤シゲアキさんって、NEWSのひとだったのね。もうアイドル全然詳しくなくてほんとに申し訳ないけど、顔見たらなんか見たことある気がした。



以下、めっちゃネタバレ!



イサム・イノマタの正体は、
猪俣勇ではなかった。

イサム・イノマタは、あの少年だった。

後半あたりからなんとなくそんな気はしてたけど、ああやっぱりそうなんだっていう納得感をきれいに得られた感じ。

本当の猪俣勇の凄まじい最期とそれに至った背景とか、描写力がすごい。気迫があった。

あの少年……道生の絵を描いている姿が、脳内にありありと想像できた。

めっちゃ余談になるけれど、わたしは福祉職の人間で、とりわけ障害者支援を仕事でせっせとやってます。(こんな酒飲みでだらしないやつが……とはいわないで!)

道生の絵を描く姿を思い浮かべたときに、やまなみ工房に見学にいったときのことを思い出した。

大学生のときに、いろんな施設に見学やボランティアに行った中で、どうしても行きたかったやまなみ工房に行ったのだ。テレビでもめっちゃ紹介されてるから知ってる人も多いかも。

障害者アートに力を入れている……っていう言い方はめっちゃ簡単に紹介できるけれども、実のところあんまりふさわしくない。なんというか、利用者ではなくて、生き様そのものが一人一人アーティストって感じで受け入れてる場所っていうか。これもちゃんと説明できてるかわかんないけど。

道生は、そこで見学させてもらったときのアーティストさんたちみたいだなぁとおもった。

実際道生は、おそらく自閉症であると文中で語られている。言葉での意思疎通も難しい特性の。
しかも戦後の自閉症の方だから、きっと今以上に理解も得られなく苦労した方だろう。

道生が、本当にいろいろあった中で、それでも自分として生きるために絵を描くようになったとわたしには思えてならなかった。

彼はイサム・イノマタとして、どんな人生を歩んできたんだろう。吾妻の祖母との邂逅も、もっと知りたくなる。吾妻の祖母が影響を受けたのもなんかわかる。きっと魅力的なんだろう。

どんな人なんだろうって思ってたラストのサプライズは素直に嬉しかった!いやいや〜ベタかもだけど、やっぱりね!最後には登場してもらわんと!

ほか、秋田の石油事情とか戦争のこととか、
自分には知らない日本を見ることができた貴重な1冊でした。

読んでよかった!
めっちゃネタバレしてしまいましたが、これはおすすめの1冊でした!やっぱりけんごさんの紹介ははずれねぇや。

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