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プリズムブルーグリーンの車の彼女
その機会は、春夏秋冬と四季を挟んでポンッとやって来た。
何の機会かと言えば、「あなたの車の色が好きなの♡」と直接伝える機会だ。春に、横断歩道でばったり会ったプリズムブルーグリーンの車に乗っていた彼女に。
実は、その後、わたしのウォーキングコースにそれらしき色の車がよく駐車されているのを程なくして見つけていた。この車は、あの車と同じだろうか?もしかして、彼女はその辺りに住んでいるのだろうか?もしそうだったら、またばったり会ったりするかな……と、そこを通り、その車を目にする度に思ったりした。
しかし、ばったりは出会わなかったので、謎は謎のままだった。
時は過ぎ、彼女に会ったことがある集まりに出た。
四種類のレッドフルーツティーにレモンを入れて、シュガーレスで飲みながら、周囲の人と言葉を交わす。いつも、わたしがオーダーするものは一風変わっているとか、人の興味を引くようで、何を飲んでいるのかと、色々なティーパックが入った箱が来た段階で、一瞬注目を浴びる。
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しばらくして、その彼女は現れた。
わたしは後から到着したのでテーブルの端の席に座っていたが、その前に彼女は腰をおろした。ジムから直行したとのことで、トータルブラックの服装だが、上に羽織っていたツヤのある素材のダウンジャケットが光っている。
話しの中で、横断歩道で会った時に彼女が乗っていた車の色がとても好きだと告げる。彼女も、その車を見た時に「これはわたしのだ!」と一目惚れしたとのこと。FIATの車。「もう、わたしのはけっこう傷付いているけれど」と笑う。わたしは、その後、その色の車をある所でよく見るけれど、もしかしてその近くに住んでいるかと尋ねる。答えはノー。実際には、その集まりの場所の近くに家があるとのこと。でも、彼女は、その車を知っていた。なんでも、同じ車の持ち主の女性が界隈にもうひとりいるのだそう。
彼女は、自分のお気に入りの色は緑だと言った。わたしもそうだとすぐさま言う。緑でもその車のようなと言うので、わたしは自分のバイカラーのスヌード(ループ状の襟巻き)を見せ、「こんな色でしょ?」と言う。「そうそう、その色よ!」と目を輝かせる。
その後、彼女が以前にして来た仕事の話や、前にしていた仕事を辞めて、今は勉強して取った資格を活かせるようなキャリア構築を模索していることなどを話してくれたので、思い付くアイデアなどを伝えてみる。
前に話していた時にも、明るさが伝染してくる人とポジティブな印象を持ったが、バイタリティーが感じられる人だ。
好みの色が似ていると、どことなく通じるところもがあるのかもしれない。
好きな色 目にするだけで トキメキと
幸福感を 覚えて和む
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