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雨の日の会合へ



予報では前から雨マークがついていたので、出かけるのもさほど苦にはならなかった夕方。少なくとも、昼ごろ目にした先の見えないような白い霧はすでに消えていた。

赤い長傘を差し、黒のレインブーツを履いて家を出る。
小雨降る中、足元の悪い下り階段では滑らないように要注意!
雨に濡れてより赤さが増したように見える蔦が絡まる緑の欄干がフォトジェニック。そうそう、雨の日にしか撮れない風景というものもあるんだよね、と嬉しくなりながら写真を撮ろうかと思うものの、向かっている会が始まる時間が迫っていたため、帰りかまたの機会にしなさいと自分に言い聞かせる。水たまりに木々が映っているのも素敵で、思わず覗き込むが、写真はまたねと先を急ぐ。

数人で連れ立って歩いている人たちを追い越しながら、もしかして、同じ会に行くのかな?と根拠はないけれど、お仲間のような気分になる。

時計を持たないわたしは、携帯の画面で時間を確認。
おっと!あと3分だ!

早歩きでなんとかギリギリに到着すると、入り口には、なじみのおふたり。次の会議の日程についてメールが来ていたことが話題に出る。話題にした方ではない方が、「あら、知らなかったわ、、、わたし、あまりメールを確認しないから、、、」と。「月曜と火曜のどちらに行く?」と尋ねられ、「たぶん月曜かと」と応えたら、「え、わたしは火曜日しか行けないのだけど……」と、なんだか残念そうな声で言われた。あ、わたしと一緒の日がよかったですか?

椅子が並べられているホールに入るや否や、わたしを見つけて声をかけた人がいた。
いつも画面上で顔を合わせている人で、実際に会うのははじめてだったが、すぐに分かったようだ。他の仲間を探したようだが見つからないよう。やっぱり雨のせいかな?実際にその何人かと会えるかと思っていたので、少し残念。
「オンラインはシュールレアリズムだよね」とその人が言う。
たしかに、コンピューターの画面上だけで見ているのと、実際に会うのだと、あら、こういう人だったのか、ということは時々ある。そして、実際に会ったことがない場合、もしかしたら、どこかですれ違っても気が付かなかったり、確信が持てないこともあるかもしれない。スーパーでそれらしき人を見かけたけれど、似ているけれど違うかな?と、まったくの他人でも(オンライン上で)知っている人かと思えて来る。
ふたりで話していると、ここ最近メールで用件のやり取りをしている方や、今度一緒にある企画に参加する方たちに話しかけられる。わたしは、そのカップルを以前に見ていたが、きちんとお互いに挨拶するのははじめて。彼女の眼鏡がなんとも印象的。仮面舞踏会のマスクと言うと言い過ぎなのだが、三日月を思わせるカーブを描いた青緑のフレームで、その色がわたしの好みにジャストフィットだったので、話しながらも見惚れる。実際に自分が持つとしたら、何本かの一本ならば欲しいところだが、たった一本だったら、それを選ぶのは勇気がいるというぐらいに他人の印象に残りやすいデザイン。「あなたの眼鏡、素敵ね!」と言いたくてうずうずしていたけれど、結局言いそびれてしまった。でも、またすぐに会う機会があるので、その時にはぜひとも。

まあ、こんなふうに時間ギリギリに来ても会はすぐには始まらない。

二時間程、色々な方の挨拶や話を聴いた後、ようやく軽食タイム。

隣りに座っていたはじめて顔を合わせた人は、「犬の散歩があるから」と、何もつままずに会場をあとにすることに。
急いでいそうなところに、「どんな犬?写真ある?」と、なんだか君は子どもか?と突っ込みたくなるちょっと迷惑なわたしの要求に、携帯のギャラリーをスクロールして愛犬の写真を見せてくれる。保護施設からのミックス犬で、ヨークシャテリアと何かが混ざった十二歳の♀。七年前ぐらいに迎えたとのこと。
ついでに、その写真の近くにあったであろう在りし日の奥さんと愛犬の写真、ではなくて描いた絵の写真を見せてくれる。
「え、絵?写真かと思いました!描いたとは、手で?コンピューターで?」「グラッツェ!ありがとう。いや、手で描いたよ。絵を描くことには熱中していてね」
最初に会った時の会話で、奥さんを二年前に亡くしてと言われていたが、その絵の彼女は若い時なのか、実際に若く見えたのか……黒い長い髪に輝くような目と表情がとても美しく、実物に会ってみたくなる女性だった。


フォカッチャや切り売りピッツァもあったけれど、スイーツ系とスパークリングワインをいただく♪



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Jacqueline
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