【映画レビュー】 The Nightingale(ナイチンゲール)オーストラリア女性監督によって暴力、迫害、差別が語られるヒストリードラマ。
※NETFLIXかAMAZONPRIMEで観ていますが、日本で観れるかはわかりません。ご自身でお調べください。
時代は19世紀のタスマニア。
アイルランド人クレアは窃盗による罪で流刑地であるタスマニアで英国軍の駐屯地で下働きをしながら生活をしていた。ホーキンス中尉にレイプされ、旦那と娘を殺された女性の復讐劇。途中、案内役として雇われたのが先住民アボリジニのビリー。
開始10分で、衝撃だけど最後まで観て欲しい。
ジャンルはサスペンス、ドラマ。
136分、2時間弱っていう結構長めなんだけど食い入って観れるストーリーの展開。でもはじまって10分もしないうちに残虐度100%すぎて、わたしはもう観れない!止めて!こんなの観たくない!みせないで!と叫び散らし涙が怒りと悲しさで止まらなくなるほど。一回、休憩いれたんだけど。衝撃だけど、そこのシーン飛ばしてでも最後まで観るのがオススメ。
女性監督が描く、現実味のあるレイプシーンとアボリジニ迫害の歴史
クレアがレイプされるシーンがあるんだけど。彼女が抵抗する表現や仕草を短くしてることで、この時代の抗えない(あらがえない)男女格差、人種差別が表現されていて、現代では感じれないリアルな歴史を観ている気分になる。
じつは、クレアと別にサブメインキャラクターなのが先住民アボリジニの若者ビリー。彼はクレアに案内役として雇われた。そう、クレアは英国人でもなく身分が低い設定にも関わらず、先住民アボリジニはもっと低いの。
はじめは彼女も彼を「ヘイ、ボーイ。」ボーイって呼ぶの。黒いとか「黒人なんか」って彼女も彼を虐げるの言葉で。
実際には2人共、迫害された事実があるから一緒に旅を続ける中でお互いを理解していくんだよね。
人の醜さというか、一生格差って言葉は存在すると思う。それでも同じ経験、同じ時を共有することで分かり合える可能性もあるんだよっていう可能性を少しでも感じれたのがまたこの映画でよかったところ。
あなたはあなたと、一括りの中に生きるあなた
クレアがビリーに問うの。
「ねぇ、ああいう男ってあなたの仲間の中にもいるの?」
男だから女だから、黒だから白だからじゃなくて、クズはクズ。関係ないし、どこにでもいるの。でもクレアは知らない、アボリジニと関わらなかったし、違う世界で生きていたから。植民地時代はとても残酷だ。
国籍で日本人として、アジア人として見られるわたしと、わたし自身を知っている人がオーストラリアにもあると思っている。オーストラリアに来て思うことが、わたしはわたしなんだけど、日本人として評価されている自分。だからできるだけ責任のある行動って大切よねって思ってる。言葉の使い方、態度、行動。クズにはならないように。
でも、私たちの大多数はクレアと変わらないって思ってる。未だにアボリジニの接点は少ないし、彼らの歴史はこうやって消えてしまっていった部分が多いんだろうって。先住民アボリジニしか語れない歴史がたくさんあるはずだ。
歴史を繋ぐとは。
残虐で涙が溢れるけど、そういったものに目を閉じる、蓋をするのも個人の自由だと思っている。歴史を知る際に、そういった負の感情が出ないような調べ方もあると思うし。
でも人って、人の弱さ、自分の弱さ、マイナスを見たからこそプラスに変えれる。バネになるというか。弱いから、弱かったから人は進化し続けているんだって思う。弱さを知る人間は強い。オーストラリアで歴史にこんなハマるとは思ってもいなかった。