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アイスで食べるモン2024

東京の自由が丘にある「モンブラン」は、その名の通り日本におけるモンブラン発祥のお店である。しかし、モンブランという名前のケーキは日本全国のケーキ屋さんで見られるだけでなく、色や形も様々にある。なぜだろうか。

それは、モンブランを商標登録しなかったから、ではないかと言われている。様々な要因はあるだろうけれど、日本のモンブランを作ったパティシエ(迫田さん)は、あえて登録していないという逸話があるくらいだ。

そんなわけで、全国のケーキ屋さんでモンブランが作れるのである。形も味も、さらには原料までも変化するモンブランの奥行きの深さ。それはモンブランというケーキの創造性もさることながら、日本人のDNAに刻まれた栗が好きな民族であるという遠くて強い記憶によって、生まれているはずだ。

(結構長くなってしまっているので、お時間の許す方は、お進みください。)

これまでのモンアイス

昨年の春に、それまでモンブラン風味のアイス(以下、モンアイス)について書いた投稿があった。相変わらず、好きなものだと突っ走る傾向があって、読み手を置いてきぼりにしている感がある。

昨年、モンアイス界隈では、激震が走る商品が発売された。それが、”パルム”のモンブランだった。パルムのえも言われぬ美味しさは周知の事実だが、果たしてモンブランはモンを再現しているかというと、個人的な感想としては「否」だった。

今年も、いくつかのメーカーがモンアイスを発売している。店頭で見かけたり、Xで知ったりするだけなので、全ての商品がフォローできているわけではないけれど、今シーズンに出会ったモンアイスについて、紹介していきたい。というわけで、この投稿のタイトルには年号を付けた。もしお店で見かけたら、ぜひ食べてみて欲しい。


バニラ推し老舗ブランドの新境地

レディーボーデン イタリア栗のモンブラン

バニラアイスのコクが印象的なレディーボーデン(ロッテ)が、ついにモンブラン風味を出した。栗の感じとバニラが組み合わさると、果たして栗は残っているのだろうかと不安&興味が湧いて、アイスケースで発見するや否や手に取った。

食べてみると、バニラではなかった。なんと。ミルクアイスと組み合わせて、マロンアイス、マロンソースが混ぜてあった。残念ながら(予想通り)台の部分の再現はなく、モンの上部を再現したアイスは、これまでもよくある組み合わせでもある。

マロンソースが濃厚でザラ感も感じられ、バニラに比べてさっぱりしたミルクアイスが良く合っていた。ご褒美と言いつつも、大き過ぎないこのサイズ感も嬉しい。調べてみると、ミルクにこだわったアイスも出ているので、なるほど得心した。美味しい。


モンブラン性の再定義

昨年、モンブラン性という誰も使っていない言葉を用いて、あれこれ考察したのはパルムのモンブラン風味であった。そのパルムの生みの親である森永乳業から、今年登場したのは、スティックケーキ型のモンアイスであった。

スティックケーキ?はて、どこかで聞いたことがあるような。

そう、先日書いたローソンのモン特集で登場していた。オシャレ番長コンビニローソン先輩でも、着こなせなかったスティックケーキモンが、アイスになって登場したのだ。

パルムの生みの親であるということは、ピノの生みの親でもある。どちらのアイスも、すでにモン風味に挑戦済みで、知見はある程度集まっていただろう。期待値は否が応でも高まる。Xでその発売を知るや、コンビニSに駆け込んだ。

チョココーティングされスティック状になった、モンアイスがそこにはあった。Xの写真からも、台の部分にはビスケットが採用されていることが見てとれたので、食べる前から勝負はあったようなものだ(誰とも勝負していない)。

待ちきれず、コンビニから出るとすぐ袋を開けた。ひとくち食べて、俄に目が大きく開かれ、唸った。

台が!台がぁぁ!!

チョココーティングの中身は、マロンアイスだったのだが、その下の台であるビスケットが”ザッックザク”だったのである。歯応え

断面をよく見ると、マロンアイスと台の間に、さも当然のようにチョココーティングが挟まれていた。生ケーキでは、台にメレンゲを使った場合、クリームの水分等で食感が悪くならないようにチョコでコーティングする例があるが、今までモンアイスでそこまで”芸が細かい”ものを食べたことがなかった。(ちなみに、4年程前にローソンが出していたカップケーキのモンで採用されていた)

このサクサクを残すこだわり、気がついた人すご……あ!、そういうことか!

…大抵どこの店にもあって、不動の価値を提供している森永のアイスがある。「チョコモナカジャンボ」である。あのアイスの特徴であるサックサクのモナカは、アイスと接する面に薄くチョココーティングされているからこそ、水分がうつらない設計になっているのだ。

そもそも、コーティングされたチョコの口溶けの良さはパルムのそれであり、スティックの形状はひとくちサイズを極めたピノで計算された高さのように思えた。とにかく食べやすく、モンの要素をほぼ満たしていると感じたアイスだった。美味しかった。

このアイス、やはり美味しいと感じられた方が多かったようで、店頭から早々に姿を消してしまった。スティックケーキのアイスだから、別の種類もあるのかと期待していたが、今のところモンだけのようだ。


マロンクリームじゃない和風モンアイス

セブンイレブンで、昨年も発売されていたモンアイスが今年も帰ってきた。モンブランの造形を思わせる、マロンクリーム、バニラアイス、クランチが重なるカップアイス。製造しているのは、あずきバーでお馴染みの井村屋である。

先ほど、マロンクリームと書いたが、正確には”栗あん”である。栗あんということは、栗が原料になっているのであり、おそらく色味からも白あんも混ぜているはずである。ザラ感は申し分ないが、凍っているとやや硬く、シャーベットのような食感なので、少し溶けかかった状態で食べるのがおすすめである。

バニラアイスの中に、栗のソースが隠れており、そのソースに洋酒の香りがあって、甘露煮とはまた違った粒栗を彷彿とさせる仕掛けなのだ。さすがである。台の焼き菓子感は、クランチによってしっかり感じられた。

昨年との変化は、おそらく粉糖がトッピングされていることかもしれない。昨年は、茶色のモンというイメージが強かったので、粉糖の存在感に驚いたのだ。しかし、「粉糖がなければモンブランではない」という拘りも、モン好きとしては深く理解できる。そうだよね、そうなんだよ、頷きが止まらない。

和風モンアイスで多くの世代へアプローチしている点も、やはりセブン、という感じである。ちなみに、和風なのは栗”あん”であり、和栗を使っているからというわけではない。セブンは一貫してイタリア栗でモンを作っている。何個でも食べたい、バランスの良いモンアイスである。


伏兵のアイスケーキ

このままでは、3,000字を超えてしまいそうなのだけれど、ここまでお付き合いくださっている方に感謝を込めて、おそらくこの投稿を読んだ後でも手に入りやすいであろうお店のモンアイスを最後に紹介したい。

すでに見出しに書いているが、モンアイスであり、アイスケーキでもある。つまり、モンアイスケーキである。その販売店とは、日本中にお店があるのではないかと思われる「イオン」である。イオンのスーパーにはいくつかのブランドがあるが、イオンフードスタイルで販売されているのを発見した。

この商品は、端的に説明するならば、冷凍されたスティックケーキである。モンアイスとして食べる場合は、すぐに食べる。きちんと解凍(自然解凍や冷蔵庫解凍)すると、生ケーキになる。食べ方が選べるというのは、面白いし便利である。

そんなどちらでもOK、みたいなテキトー商品、甘けりゃOKみたいに”おざなりな味”なんでしょ、と食べてみると、これがまぁ驚いた。

ちゃんと美味しいのだ。
まさに、美味しいの二刀流である。

マロンクリームは滑らかでいて、ザラ感とナッツの香りが残っていた(香料だとしても許す)し、ホイップはごく軽くて甘さも控えめだった。台はスポンジケーキだったが、口溶けがとても良かった。

あまりの美味しさに、刮目して商品ラベルを読み込むと、製造は不二家とあった。…なんということ、まさかの不二家。販売がイオンで、製造が不二家、鬼に金棒すぎる。そして、美味しいの二刀流(再掲)。もう敵わない。


ちょっと熱くなってしまった。年を追うごとにモン体験の中でも、アイスの頻度が高まっているのを感じている。さまざまなメーカーが、モンアイスに魅力を感じているのだろう。

冒頭に登場した自由が丘のモンブランには、夏季限定の「アイス・モンブラン」がある。実は、僕はまだ食べたことがない。しょっちゅう行けるお店ではないから、来店が叶うと、つい定番のモンを頼みがちなのだ。

正直、モンアイスは今年まだ新しい商品が出るのではないかと思っているが、果たしてどうなるだろうか。様々なモンアイスがあることこそ、やはりモンの懐の深さであり、歴史なのかもしれない。

こんなに長くなってしまうとは思ってもいなかった。しかし、これだけでは足りないとも思う。まだまだ食べたいし、考えたいとすら思う。

アイスが好きな人も、モンブランが好きな人も、どちらも好きな人も、みんなで幸せになればいいと思う。














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もつにこみ
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