春の散歩
子どもが体調を崩し、保育園を休ませたときのこと。本人はいたって元気そうだけど、高熱が出た翌日は、休ませることが園の決まりだった。
歩きはじめたくらいの子どもを、ベビーカーに乗せてでかけた。桜並木がきれいな川沿いに向けて、のんびりと歩く。数日ぶりに綺麗に晴れて、ぽかぽかと温かい。昔の日本語では「和煦」と言うらしい。
桜が満開だったのは数日前で、残っている花は少なかった。ときおり上を見上げながら、でこぼこした道を注意して進んでいく。目に入る景色のことを、少しづつ話していると、子どもの視線が低いことに気づいた。花や草、虫、石、川面の光、何もかも足元のことなのに、僕は気が付いていなかった。
春は年度の始まりで、仕事が忙しくなることもしばしば。過ぎていく時間のなか、のんびりと足元を感じるような機会はなかった。子どもが体調を崩すのは不安で仕方ないけれど、うれしい時間の使い方を子どもに教えてもらった。
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