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夜明けのすべて

ココアとじゃがりこ、というなんとも微妙な組み合わせを胃に流し込みながらネトフリを漁る平日のバイト終わり。

ずっとマイリストに入れていたのに見れていなかった「夜明けのすべて」という映画を見た。(以下若干のネタバレあります)

あらすじはこんな感じ。

月に一度、PMS(月経前症候候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さんはある日、同僚・山添くんのとある小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。だが、転職してきたばかりだというのに、やる気が無さそうに見えていた山添くんもまたパニック障害を抱えていて、様々なことをあきらめ、生きがいも気力も失っていたのだった。職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく二人。いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる。

夜明けのすべて公式サイトより引用

特に内容も知らなかったけれど、タイトルと絵の綺麗さに惹かれて見たそれは、今の私にぴったりすぎるもので、忘れられない映画になった。




特に共感したのは藤沢さん。
彼女はPMSがとっってもひどくて、仕事や私生活にも影響が出てしまうような女性だ。生理前になると心と身体コントロールができなくなって、どうしようもない。ヨガや漢方、感情を落ち着かせる薬も試すけど全部効かない。

そんな序章の彼女を見て私は、
「ピルを飲めばいいのに。」
と思った。

でもその後のシーンで、藤沢さんは家系的に血栓症の既往があってピルを服用することができないことを知った。

私はそのシーンを見て、自分のことがとても恥ずかしくなった。

藤沢さんと同じ、PMS当事者なのに、どうにもできない人がいることをいつの間にか忘れて、「ピルを飲めばいいのに」なんて思ってしまった。毎夜の小さな1粒で、PMSやつらい生理痛を解決できるのは、私が「たまたま」ピルが効く人間だからなのに、だ。

世の中には、生理痛が全くない人もいれば、とんでもなくひどい人もいる、でも生理は女性みんなあるものだし病気ってわけじゃないから、言いづらいし理解もされにくい。だから苦しい。

そんなこと私が一番思っていたはずなのに、今日この映画を見るまでその気持ちを忘れていた。




ピルは飲んだからといって一生生理が止まるわけではない。私が飲んでいるピルは最大120日間の連続服用で、120日に達したら強制的に生理を起こさないといけない。でも私は120日も止めていられなくて、いつも90日くらいで生理が起きてしまう。

そして今日がまさにそれ。

自分ではコントロールできない感情や、勝手に溢れてくる涙、どうしようもない腰とお腹の痛み。全世界への苛立ち、それに対する自己嫌悪と申し訳なさ。

昨日は、電話越しの彼にどうしようもなくイライラしてしまって、「ムカつく」「ありがとう」「ごめんなさい」という矛盾ループをずっとしてしまった。(申し訳ない)

でもそのくらい、私にとって生理は、コントロールできないもので、脅威で、できれば一生来てほしくないものだ。

だからこそ、藤沢さんのような感覚は忘れてはいけないし、自分がそうではないからといって頭ごなしに批判してはいけない、と思った。




藤沢さんや山添くんが目に見えない何かと戦っていたように、世の中は見えているようで、実はほとんど見えていないのかもしれない。

でも、見えないからこそ、二人のように繋がろうとするし、理解しようとする。

そう思うと、目に見えない何かと戦う怖さも少しばかり薄れるんじゃないだろうか。

だから、私は社会と繋がり続けていたいし、繋がっていたいと思われる人になりたい。

そしていつか藤沢さんと山添くんみたいな、あたたかい関係を築いて行けたらいいなと思う。

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