『あ、ブラウスは着たままで。』一着目
「ちょっと、アンタ、何やってんの?!」
朝比奈瑠衣子は、自宅があるマンションの屋上で、手すりの向こう側で突っ立っている人物に声をかけた。
“何やってる”といっても、どこからどう見ても、そこから飛び降りようとしているとしか思えないが、瑠衣子には、その言葉しか出てこなかった。
瑠衣子は、そんな自分にちょっと苛立ちを覚えた。
しかし、今は、自分のボキャブラリーの貧弱さに憤っている場合ではない。
瑠衣子に声をかけられ、手すりの向こう側の人物は、一瞬、ドキッとしたように上半身をビクつか