決断に過多な情報はいらない~ちきりん「自分のアタマで考えよう」を読んで~
こんにちは。今回は書評です。
記事のタイトルを見て、心当たりある…と思われた方も多いのではないでしょうか。
実は私もこの習性もってるんです…((´;ω;`))ウッ
つまり、決断において「情報を集めすぎる」族。
何か決めるとなったとき、不安だからとにかく情報を集める。集めて、集めまくれば、自然に決断に至ると思っている。
ともすれば情報集めに軽く興奮を覚えている節があり、途中からそれが目的になっている。
肝心の決断は、ビッシリ書かれた比較表を眺めても出てくるはずもなく、時間切れになる直前にやっつけで決める。(合理性の欠片もない…)
え、私だけ…?
きっといるよね……?笑
今回読んだ本は、そんな人たちにメスを入れるような、非常に突き刺さる内容になってます!ぜひ当記事に目を通してくださるとうれしいです!
◇◇◇
ちきりん著『自分のアタマで考えよう』では、「知識・情報を引っ張り出すこと」と「考えること」は全く違うということが繰り返し語られます。
これを説明するために、「会議を重ねてもなかなか方針が決まらない会社」が例として出されます。
この会社は、新規事業に乗り出すべきか乗り出さないべきかの会社方針を決めるべく、各部門の精鋭メンバーで再三会議を重ねます。
彼らは優秀なメンバーなので、技術問題、財務状況、市場規模… 考えるべきあらゆる事項について余すことなく情報を集め、分析し、会議に持ってきました。
こうして議論を深め、数か月が過ぎたある日。
競合他社が例の新規事業に乗り出すというニュースが社長の目に飛び込んできたのです…。
つまり、この会社は会議を重ねているうちにライバル会社に先を越されてしまいました。
怖いですが、本当にありそうな話ですよね。
さて、彼らの失敗の原因はなんだったのか?
みなさんもうお気づきだと思います。
彼らは「何も考えていなかったから」です。
この会議では情報を集めまくりましたが、誰も考えていなかったのです。「どのように結論を出すべきなのか」ということに関して。
ちきりんさんはこれを「意思決定プロセス」と呼んでいます。
つまり、この会社はたとえば「○○の事項では△、◇◇の事項では※の基準に達していれば新規事業に進出する」などと先に意思決定プロセスを決めておけば、必要な情報を集めて早急に決断を下すことができたはずなのです。
しかしそれを怠ったために、いつまでも目的地にたどり着けないまま。
我々は往々にして、決断の際に「情報を集めまくり」ます。そうすればよりよい判断を下すことができると信じているからです。
しかし実際は、より混迷を極めるだけです。
ここで非常に共感した文があったので、引用させていただきます。
調べごとをしていると、どんな情報も貴重で重要に思えます。あれもこれも調べたくなります。優秀な人ほど「知らないことを知る」ことに興奮し、熱中するものです。
私が優秀かは別として、本当にコレ、わかりすぎるなと…。
知ることって楽しいんですよね。どっちにしようかなーなんて決めるために検索したはずなのに、気づいたらそこから逸れて自分の好奇心を満たすために調べまくってること、よくあるなあと。
でも、好奇心の高さだけじゃないんですよね。こうなる要因は。
決断するための意思決定プロセスを決めること、これこそが最も重要にして最も心がいたむ行為なんです。
旅行先など楽しいことを決めるなら別ですが、たとえば人生や会社経営に関わるような大きなスケールの話だと、決断の際に何かを得る代わりに何かを捨てなきゃいけない。少なくとも優先事項を上から下まで並べなくてはいけない。
だから、我々は心のいたまない「調べごと」にひたすら逃げるんです。
◇◇◇
これ、私の経験での最たる例は「就活」でした。
詳細な話はここでは省きますが、私はなんやかんやとあって最終的に、M社・T社と2つの企業から内定を頂くことができました。
喜んだのもつかの間、「決断」という苦しい儀式が私を待ち構えていました。。。
普通志望度が高かった方に行くんじゃないの?
こう思われるかもしれませんが、その頃は志望度がコロコロと変わっていたんです。今思うと、完全に「意思決定プロセス」が欠けていましたね。
私は当初、M社が第一志望でした。だからなんとか最終面接まで上り詰めて、内定を勝ち取ったときは本当に嬉しかったんです。
なのに、内定を得てからその業界の悪いところばかりが目に付いて…
基本的に多忙・プライベートは諦めろといった業界です。私はオフの時間も大事にしたい人でした。(寝るだけですけど)それに、多くのプロジェクトを掛け持ちするためどっかでうまく手を抜かないとやっていけません。これも、完璧主義の自分にはあんまり合わないんじゃないかと思い始めました。
いっぽうのT社は超ホワイトということで(一部界隈では)有名。それに海外での案件も多く、留学していた身からすると海外暮らしに惹かれるものがありました。
こんなの、会社を受ける前から考えておくべき事項ですよね。
仕事内容、社風、福利厚生、知名度、給料、海外勤務。
働きやすさ、キャリア、家庭、趣味、収入、切磋しあえる仲間、海外経験。
どれを取るか。どれを捨てるか。
全部そろった会社なんてないから。
でも私は現実味を持って考えることを怠っていました。もちろん社会人になってからのことを一応は想像していたし、強み分析から合う業界を絞ったりしていたんですが、その会社の悪いところからは目を背けていた気がします。だって、会社の悪いところっていうのは私が妥協しなければいけないところ。自分が捨てなきゃいけないところ。
それを決めるのは、自分にとってとっても痛ましい行為だったから。
私はどれも捨てられなかった。だからギリギリまで決断を後回しにしたんです。
こうして意思決定プロセスを欠いたまま就活に立ち向かった結果、最後はとっても苦しい時期を迎えることになります。
M社から内定を頂いた後、また迷い始めた私は、他のすべての会社の選考を辞退するという当初の予定を変更し、T社の選考の続きを受け始めました。しかも2次面接から。
こうしてまた受けている時も、もしどちらからも内定を頂けたらどうするかを決めかねていました。そして奇跡的にT社からも内定を頂けたとき、先方には大変申し訳ないですが内定承諾をその場でできませんでした。
私は家でぐるぐる考えました。どちらが良いのか。
いや、考えていたんじゃない。今思うとあれは「情報を集めている」だけでした。
私は両方の会社の会社パンフレットを舐めるほど読み、仕事内容なども内定後の面談でたくさん聞きました。あとは色んな転職サイトに登録して、会社の雰囲気や収入、やりがいなど内部の人間しかわからない情報をかき集め、表を作って常に眺めていました。
しかし。
当たり前ですが、私は自分で結論を出すことができなかったのです。逆に知れば知るほど、迷宮入りという感じで。
実をいうと、自分の興味ある業務内容的に、やっぱり本命のM社かなあ…と何となく気持ちが傾いてはいました。ただそれも、直感的なモノ。具体的に「仕事のやりがいを取ってぬくぬくのオフタイムを捨てる」というきまりを立てる勇気もなかったというのが正直なところ。(まあどの会社もぬくぬくな時間なんて取れないかもですがね…)
結局、就活時からお世話になっていた大学OBの方に洗いざらい状況を説明して、大人の意見を聞くことにより決断に至ることができました。結局M社にしました。
この経験、まさに序盤で説明した「なかなか決断できない会社」と酷似していますよね。
私には、どんな会社情報よりもなによりも、内定承諾のための自分なりの基準が必要だったのです。そうすれば集める情報は最小限で済んだ。
まぁ、当時もそれは薄々とはわかっていてあえて背を向けていた面もありますがね。
とにかく、私は情報を集めたがり。まずは基準を決めろ!それはよく考えなければならないから面倒くさいし心の痛む行為かもしれないが、それをしないと前には進めない!
ちきちんさんの本を読んで、このように内省した次第でございます。
ちなみにこの「情報ではなくフィルターが大事」という話は、就活に絡めて違う章でもちきりんさんが説明してくれています。
内省に繋がる内容が盛りだくさん。いかに普段自分のアタマを使っていないかということが嫌というほどわかります。('ω')
ぜひ手に取って読んでみてくださいな♪
ではこのへんで。長文失礼しました。
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