とある昼下がりの面接直後期待していた最終面接はボロボロだった。二週間以上掛けて複数のステップを乗り越えて、最後の最後にこれだ。 ショックで物事をうまく考えられずただ落ち込んでいた。明らかなのはだめだったことだけだった。 二時間ほど経って少しずつ落ち着いてきて、反省をした。苦い経験だったが落ち込んでいられない。これを活かして前に進まなければならない。 エンジニアとしてのキャリアを積むためにカナダに来たのだ。仕事が見つからなくて日本に帰るなんて嫌だ。働き始めるまで後三か月、
ここはカナダのバンクーバー。 日本からはるばる飛行機でやってきた。 バンクーバー国際空港からダウンタウンのウォーターフロント駅までは電車で行く。 バンクーバーの電車の仕組みは日本と似ていて、スイカのようなカードにお金をチャージして、改札でタッチする。 東京のように路線が張り巡らされているわけではないので、バスを使うことも多い。となり街のバーナビーにある滞在先にはバスで行く予定だった。 R5 という謎めいた路線番号をたよりに目当てのバス停を見つけた。少し待つと、おおよそ
同僚は業務時間中にも関わらず雑談をやめない。 「中国でも僕らの世代はみんなワンピースとナルトを見て育ったんだよ」 人懐っこく日本びいきの彼は、日本作品に触れてきたことを誇りに思っているかのように語り続ける。ジブリも黒澤明も見た、フロムソフトの宮崎さんはレジェンド、このアニメは泣ける、あのドラマの俳優は良かった。 高校時代の同級生が日本の写真を SNS に投稿しているのに触発されて、熱が高まっているようだ。日本には花火があるんでしょと聞かれた。言われてみれば、日本のような