濃口醤油 いい仕事に最大級の敬意を
醤油を買うた。
余計な会話は一切なくて、
こちらも余計な軽口は一切言わずに買うて帰った。
よかったなあ、と思った。
毎週通る道にある醸造元が気になっていた。
時代劇のセットみたいな格子の蔵構え、
店頭に樽と共に何本かの醤油が小売り用にと並べられているきちんと。
いつも気になりながら横目でみて、でも、びびりなので通り過ぎていた、無人だし。
酒樽の中に人が埋められてってなんの怪談だったか時代劇だったかな。
ちょっと思い出せないし、今この例えを持ち出してくるのは不謹慎極まりないか。
でもあまりに年季を感じさせるきっと江戸か明治からの店構えというか蔵構えで、
天平時代から続くお寺の生き証人とも呼ばれる門の向かいという場所も相まって、
子供の頃からこの地とは無縁ではないにも関わらずちょっと軽々しくは出来ないというか、そんなこんなでこの何年か毎週通る道にもかかわらず、気になるのに、素通りしていた。
なんでこの日は意を決する気になったんやろ。
相変わらずビビりなのでいったんは素通りした、でも、戻った。
道から一歩中に入ると、ぴんぽんぴんぽんと呼び鈴が鳴る。
なるほど、こうして誰かが来たことがわかるようになっているんや。
奥から、仕事中作業中だったのであろうその姿の中年男性が出てきてくれた。
醤油、濃口や薄口やだし醤油やポン酢や味噌もあったが、
一番人気というか出ているものをお訊きし、濃口醤油にした。
決して安価ではないが、ポン酢も買うことにした。
割れないようにビニールを巻いてくれて、「袋だいじょうぶです」、そのまま鞄に入れ、お礼を言って出た。
巻いてもらっている間、一瞬、よぎった。考えた。
「ずっと気になってたんです」などとか、言うこと。軽口。
でも、なんか、わたしは、このときは、それは違うというか、いらんと思った。そのままバスに乗った。
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【略歴や自己紹介など】
構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。
普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。
劇場が好き。人間に興味が尽きません。
舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。
某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
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