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2023年8月の記事一覧

プロとプロの仕事と気持ち テレビという舞台(リング)で

「ジョブチューン」という番組をつい観てしまう。 気付けば、仕事のBGMがわりのはずが、結構ガチで観てしまう。   何度か炎上案件にもなったのでご存じの方も多いかもしれない。   例えば大手のコンビニやファミレス外食チェーンの人気メニューを、その道の職人というか海外でも活躍する日本を代表する(らしい)シェフやパティシエたちが「ジャッジ」をする。 試食し、合格か不合格かの札をあげて、理由や能書きをのたまう。 のたまう一流シェフだのパティシエだのはなんかパンチの効いた感じの人が多

人間の、人間な ある舞台や映画やドラマから

松尾スズキが好きだ、いや、好きではないかもしれない。 役者としての松尾じゃないよ。 ショッカーの創設者だったり 相撲のワル親方だったり競馬で負けて60円しか持っていないお巡りさんだったりじゃない。 劇作家として作家としての松尾さんがつくるものが好きだ。 よく使うモチーフは下ネタ・宗教・障がい者・格差・セックス・ギャグ。 好きとは言いたくない、好きではない、そう言いたい。でも。   芥川賞受賞作『ハンチバック』を読んだ時のわたしの感想は以前に書いた。 他の感想をひろっていると

大阪の物書きが始めた東京の本屋さんのこと 8月の更新と御礼

「本屋・桃花舞台」 startした5月GW以来、 いろんな方に訪れていただき、 お買い求めいただいたり、みていただいたり、 ほんとうにありがとうございます。 「湯島をぶらぶらしていて思い出して、Momoさんのnoteをみて気になっていた本を、手にすることが出来ました」とお伝え下さった方も居て、 ありがたくうれしいことばかりです。 自己紹介がわりの手書きペーパーもたくさんの方がお持ち帰り下さり、 うれしいです。 改めての御礼と、今月8月の更新の、お知らせをさせて下さい。 

氷室冴子の『いっぱしの女』が嫌いな人はいないんじゃないか

大好きな作家の大好きなエッセイが2年前に「復刊」していたことを今更知った。 あ、いや、たぶん書店に並んでいるのは見ていた気がするのだけれど。 先日、移動中にとおった古書店で「あ。」と懐かしく手に取って移動中に読み終えた。 ああ、どの話もはっきり覚えてる、と、ページをめくった。 この本を語るに使い古されまくっているから言いたくないけれど 「時代をこえてもみずみずしい」「不朽」 まさにこれだったし、現代、現在だから、より響くものがある、みたいのも同意同感。 復刊し、あたらしく解説

舞台とリングと、人間と 『教養としてのプロレス』のこととか

突然ですが、 わたしはなにかを「絶対にそう」「絶対にこう」とかすること言うことがあまり好きではありません。 たいへんにこわいことであり危険なことではないかなと常々思っています。思うようにしています。 そういった風潮や群れることはなんだかどこか「こわいなぁ」となります。   例えば「なにかが絶対に悪」とか。   みんなが言っているから悪とか、 みんなで言ってみんなで悪にしちゃうってこともとても多くない? だから、どちらか一方に肩入れをし過ぎてしまうことはとても危険じゃないかなぁ

毒を食らわば川上未映子、そして光 『すべて真夜中の恋人たち』

ストーリーを言ってもネタバレにはならないかもしれない。でも言いたくない。 ストーリーじゃなく何も言いたくない。先入観なしに、が、きっと、ぜったい、いい。 あ、珍しくぜったいなんて言葉を使った。使ったし、使いたい。 川上未映子、『すべて真夜中の恋人たち』という作品を読んでの気持ちです。 すこし、セリフを引用してもいいですか?   「何かにたいして感情が動いた気がしても、 それってほんとうに自分が思っていることなのかどうかが、 自分でもよくわからないのよ。 いつか誰かが書き記し

私はここに居る、釈迦はここに居る 『ハンチバック』

容れものと中身、身体と気持ち、 両のバランスがうまくとれている人って、世の中にどれくらいいるんだろう。 誰しもがいつもどちらかに傾いたりバランスをとれずにいたりするのではないか。 そのズレ故に自分自身や他者とのもやもやや苛々、摩擦や不調を感じているのではないか。 話題の芥川賞受賞作『ハンチバック』を読みました。 主人公は自由に(という言葉の意味もよく考えたらわからないけれど)体を動かすことが出来ない。 それこそ本屋にも行けないし、紙の本を読むたびに体が押し曲がるようだと言う