【イギリスのお菓子】ドーセット・アップルケーキ
イギリスでは家庭で作るりんごのお菓子がいくつかある。
その一つが、アップルケーキ。
りんごの利用法
中世イングランドでは、修道院にある果樹園で「お酒の原料」としてりんごを栽培していた。さらにりんごは冷暗所に冬まで保存したり、スライスしてドライフルーツにして長期保存できる便利な食べ物だった。
ヴィクトリア朝になって砂糖が手に入りやすくなると、お屋敷での晩餐会ではデザートにりんごの蒸しプディングや煮詰めて固めたゼリーのお菓子が人気となる。
そして、さらに進化したお菓子がりんごを焼きこんだケーキである。
りんご産地で生まれたレシピ
国内のりんご産地は、南イングランドが多い。その中でも南西部は、サイダー(フランスではシードルと呼ぶ)の原材料としてりんごの栽培が古くより盛んである。
ドーセット・アップルケーキとは?
りんごのケーキは、主にイングランド南西部に位置するドーセット、サマセット、デヴォン地方でよく見かける。りんごの栽培が盛んな地域で広がった郷土菓子である。リンゴのケーキは各地域で独自のレシピがあるが、ドーセット・アップルケーキが1番広く知られている。
ドーセットのアップルケーキの配合は、りんご:粉:バター:砂糖の割合が4:2:1:1で、膨張剤を使用する。(と、文献には書いてあるが、このりんごの量は半端なく多い!)りんごがたくさん入ったケーキに火を通すには、ベーキングソーダ(重曹)やベーキングパウダーは必須。
クッキングアップルを使うとしっとりとして酸味がある。デザート・アップルだと、甘みが増して香り豊かな焼き上がりになる。
今回はスライスしたりんごを焼きこんだが、一般的には小さな角切りにして生地に混ぜ込むレシピが多い。
ケーキの作り方は、粉の中に砂糖とバターを混ぜ込み、ラブインする。ぽろぽろの状態になったら、液体とりんごを混ぜ合わせ、生地を型に流し込んでオーブンで焼く。地域ごとに入れるスパイスは工夫されているようだ。りんごは小さな角切りにして生地に混ぜ込んでもいいが、くし切りにして、ケーキの上に飾るようにのせると見た目も華やか。デメララシュガーを振りかけるとキャラメルの風味が楽しめる。*¹
*¹ 参照 P29 Laura Mason and Catherine Brown [The Taste of Britain] 2006
ケーキが気軽に作られるようになった理由
イギリスでは、1800年代に入ると砂糖が求めやすくなり、ベーキングソーダとベーキングパウダーの発明から、お菓子をふんわりと焼き上げることが簡単になった。そして、四角や円形のケーキ型が広く普及する。
小麦粉にバターと砂糖、りんごを混ぜ合わせたお菓子のレシピが登場する。材料のりんごは、そのままでも食べられるイーティング・アップルかクッキングアップルどちらでも使える。ドライフルーツやスパイス(ナツメグやシナモン)を加えても良い。
ドーセット・アップルケーキの地域別バリエーション
りんごのケーキは、素朴な家庭菓子で各地域で親しまれてきた。
ドーセット州の各地域には、アップル ケーキに対する独自の解釈がある。ドーチェスターのスパイスからウェイマスのレモンまで、それぞれがユニークだ。これは、ケーキがドーセットのコミュニティと深く結びついていることを示している。
ドーチェスター🇬🇧 ナツメグ入り。クロテッドクリームを添える。
ウェイマス🇬🇧 レモンの皮を少し加える。カスタードを添える。
ブリッドポート🇬🇧 たっぷりのシナモンと粉砂糖が入っている。
ドーセット・アップルケーキの作り方
古典的な配合 4:2:1:1で挑戦しました!
りんご 200g (ケズウィック・コドリン1個、ワームズリー・ピピン1個)
プレーンフラワー 100g
ベーキングパウダー 小さじ2
バター 50g
砂糖 50g
クルミ 20g(好みで)
卵(大)1個
牛乳50㏄
りんごは薄く2mm程度にスライスする。
ボールに粉、ベーキングパウダー、角切りにしたバター、砂糖を入れてラブイン。よく混ぜ合わせた卵と牛乳を加えてへらで混ぜる。(クルミを加える。)
お菓子の丸型にベーキングシートを敷いて、スライスしたりんごを並べる。ケーキの生地を流しいれてから、残りのりんごを上に飾るように並べる。
180度に予熱したオーブンで焼く。
備考:
今回、使用したりんごは、どちらもクッキング・アップル。酸味強め。果肉は柔らかい。香り良し。砂糖は、ソフトブラウンシュガー。ベーキングパウダーは、Doves Farm。バターは有塩バター。牛乳はセミ・スキムミルク使用。
型は、火が通りやすいように、高さの低いヴィクトリア・サンドイッチ20㎝。
普通のケーキと違って、りんごの配合が多いので火が通りやすいように浅いケーキ型で焼いた。卵と牛乳は、生地がいい感じにまとまるくらいの分量に調整した。予熱した180℃のオーブンで30分程度焼成。ケーキ表面に生の部分がなくなり、ほんのりと焼き色がついたら出来上がり。
粗熱が取れてから切り分けて食べる。
冷ましてから冷蔵庫で数日保存できる。冷たくして食べても美味しい。
りんごの部分はしっとり。ほのかに酸味がする。
高さが3~4cmぐらいのケーキ。しっとりしていて美味しい!
今回はスライスしたりんごを焼きこんだが、一般的には小さな角切りにして生地に混ぜ込むレシピが多い。
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