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2. Trump at Davos 2025 ダボス会議でのトランプ大統領

025/1/23 ダボス2025(世界経済フォーラム)で、トランプ新大統領がオンライン演説した。これは、大統領就任式での演説(主に国民、国内向けだった)に続き、世界経済を主導している事業家と各国首脳に向けた、いわば対外的なトランプ政権のスタンス、そしてアメリカ経済復活のためのフレームワークを示したもの。

今後、トランプ政権が前政権の残した”負の遺産”に対して、具体的にどのような施策を取り、世界経済を活性化し、そして平和を取り戻そうとしているのかを知るために重要な演説だと思う。その重要な演説を以下紹介してみようと思う。演説後に行われた質疑応答も興味深いが、別記事で紹介した。(グローバリストの代表格とされている、あのブラック・ストーン社CEOのスティーブン・シュワルツマン氏が最初に質問した。)

なお、”ダボス2025”の主要な演説や討論会は、以下のリンクから視聴できるようだ。(ただし私はトランプ大統領の演説とそれに続く質疑応答だけ視聴した)


トランプ大統領の演説のみ(質疑応答部分はカットされている)は以下のサイトで視聴できる。(RSBNのネット放送で、ランブルのボンジーノ・リポート経由) 

このサイトでは、”トランプは世界経済フォーラムで歴史に残る演説で、世界のエリート達に火をつけた… ワオ!”、とタイトルが付けられた。


トランプ大統領の演説

冒頭トランプ大統領は、大統領就任式から二日しかたっていないので日程的にスイス(ダボス)まで行くのは無理だった。やむを得ずオンラインで参加することにしたが、ぜひいつかはダボス会議に参加したい、と説明した。

トランプ大統領は、カオス状態の経済を立て直そうとしており、アメリカを未だかつてなかったほど、強く、豊かに、そしてさらに一致団結させるつもり、と述べた。石油ガス価格を引き下げ、規制を削減し、国内製造者には税金をカットし、海外からの輸入品には関税を課す、と明言した。

特に私にとって強烈な印象を残したのは、トランプ大統領が、”restoration" 回復(元に戻す)という単語を複数回使った事だった。別の記事で、大統領就任演説でも使ったこの”restoration" をキーワードとして、トランプ政権の具体的施策を分析してみたい。ちなみに、明治維新の維新は、維(これ)を新(あらた)にする、という意味で何かを革新するというニュアンスだが、英語ではMeiji Restoration と呼び、むしろ王政復古のニュアンスで捉えられている。確かに、後に議会制民主主義を取り入れたのは革新だが、当初は王政復古が”掛け声”だったことから、Restorationのほうがしっくりくるように私には思える。

以下、主要項目毎に要点を整理してみた。.なお詳細を知りたい方は、以下からAI生成の筆記録を読めるので参考にしていただきたい。


1. 圧倒的な国民からの負託(massive mandate)を受けて大統領選に圧勝した

  • 7つのスイング・ステート全てで勝利した。

  • 私の政敵でさえ、これは過去129年で最も重大な選挙だ、と認めてくれたた。

  • 全世界がこの72時間の間に目撃してきたのは、常識の大変革以外の何ものでもない。


2. バイデン政権に対する痛烈な批判

  • 過去4年間にわたり、バイデンの過激左翼政策により、我が国の経済、文化、安全と健康が破壊されてきた

  • 4年間で、8兆ドル(1,200兆円)もの無駄な赤字支出を出し、国家を破綻させるエネルギー(採掘)制限を課し、(事業活動を)不能にする規制の数々と、そしていまだかつてない”隠れた税金”を課してきた。

  • その結果は、近代で最悪のインフレ危機にあり、我が国に留まらず世界中に高金利が広まり、食品価格を初めほとんど全ての生活物価を高騰させた。

  • 政府支出は4年前の予想より1.5兆ドル(日本円230兆円 日本政府予算の約2倍でGDPの約半分)も増加し、国民の生活を圧迫し続けた。これは馬鹿げた政府支出だった。

  • 赤字国債の返済費用(金利?)は、2020年当時の予想よりも230%以上に膨らみ、インフレ率は目標値より50%も高い。これは、おそらく歴史上最高のインフレ率であり、我が政府はこの高インフレ率を引き継がねばならなくなった。


3.新政権の重点施策 
上記の危機を打開するため、私は大統領就任初日から、これらの過激左翼政策が引き起こした問題解決のため、特に、移民、犯罪そしてインフレ問題に対して、速やかな行動をとってきている。

  • 就任初日には、大統領令で、全閣僚が各々の裁量権の全てを使い、インフレ抑制と生活必需品の物価引下げに全力を挙げられるようにした。

  • 連邦政府の新規雇用を凍結し、海外支援金支払いを停止し、そして新しく政府効率化省を設立した。(DOGE Department of Government Efficiencyのこと)

  • 馬鹿げた、そしてとんでもなく浪費的な”グリーン・ニューディール”、私はそれを”グリーン・ニュー・スキャム”と呼ぶが、は打ち切った。また一方的すぎるパリ気候議定書からは脱退した。愚かでバカ高い電気自動車を強制する法令は廃止し、人々が欲しい車を買えるようにするつもりだ。

  • 国家エネルギー危機を宣言し、我々の足元にある液体の金(石油ガス)を開放し、新エネルギー基盤を早期に承認する準備を進めている。

  • アメリカは、どこの国よりも巨大な石油ガス埋蔵量を誇っており、その資源を使う。この施策で。事実上全ての製品とサービスコストが削減でき、合衆国を”製造のスーパーパワー”にし、”AI”(人工知能)と”crypt” (暗号化通貨=仮想通貨)で世界の中心になるはずだ。

  • 歴史上最大の規制緩和をすでに始め、私の前政権での記録的な規制緩和を遥かに超える規模になるだろう。

  • バイデン政権は規制の連発により。平均的な家庭に対して、過去4年間にわたり合計$50K(7.5百万円)の負担増をしいてきた。私は10個の古い規制を全てなくし、アメリカ家族に数千ドル(数十万円)を戻せるようになるだろう。

  • 大統領及び下院上院の多数派政党として、我が国経済を活性化し、アメリカの歴史上最大の税金カットを行うつもりだ。労働者とその家族、及び国内生産者(農産物?)と製造者(工業製品?)に対する大幅な税金カットを行う予定だ。

  • 南部国境問題の対策として、国境閉鎖、キャッチ&リリース (不法移民をとらえても、”後で出頭する”、との口約束だけで解放する。むろん、正直に出頭する不法移民はほぼいないはず)の中止、犯罪者の強制退去(すでに州によっては実行されているようだ)を行う。

  • 政府によるネットの言論検閲(封殺)を禁止する。(メタ社のマーク・ザッカーバーグが、フェースブック上でのコロナ・ワクチン批判やトランプと共和党支持者の投稿をバンするように、バイデン政権から圧力があった。だからやむをえず投稿を検閲し、”Fact Check”(事実確認)と称して、特定の投稿をバンしてきた事を認めた。しかし、この告白は単にトランプ政権にすり寄っただけのポーズであり、本心ではないように思えてならない。またマイクロソフトのビル・ゲイツは民主党へ巨額な献金を続けてきたリベラル派の代表だが、トランプ大統領との面談を希望している、と発言はしているものの、果たしてどのような結果になるのか、全く余談は許さない、と考える。)

  • 一般市民と、特に政治家に対する司法の武器化(政治利用)を禁止し、公正、平等、公平な司法を回復した。(resotored回復した、と過去形になっている)

  • DEI (Diversity, Equity, Inclusive ) 施策は廃止し、雇用や昇進の基礎はあくまで成果と能力とする。DEI優先はナンセンスだ。

  • アメリカでは法律で性は男と女の2種類しかない、と明確にし、女性スポーツは女性だけのものであり、トランスジェンダーの参加を禁止する。


4.新政権誕生直後からの成果と今後の見込み

  • トランプ政権では、仕事を創出し、工場を建設し、会社を発展させるために、世界中のどこよりも、アメリカが最適の国になります。事実、すでにアメリカ経済に対する評価はうなぎのぼりに上がっている。

  • 私の当選後、小企業の楽観的見通しは単月集計で41ポイントも跳ね上がっていると発表された。これは未だかつて無い記録的な急上昇だ。

  • ソフトバンクは、$100B~200Bをアメリカに投資すると発表した。(注 孫社長は当初、”$100Bの投資”と言ったが、トランプ大統領から、”$200Bにできるよな?”と催促され、”がんばります”と答えた。(このへんが、トランプ一流の交渉術というか、悪く言えば、超一流の詐欺師と言えなくもない。もっとも事業には多かれ少なかれ、人を乗せて巨額の投資を引き出す、という交渉は絶対必要なのだが)

  • それからわずか2日後には、オラクル、ソフトバンク、そしてオープンAI社が連合して、AI基盤開発のため、US$500B (75兆円)投資すると発表した。他の企業も数十億ドル、全部で数兆ドルになるかもしれない巨額な投資を発表している。(具体的な社名やプロジェクト名は上げていないので、この話はトランプ一流のホラ話かもしれない。しかし、そのホラがホラでなくなるのが、トランプ・マジックなのだろう)

  • サウジアラビアの王子は、”少なくとも$600B(90兆円)”をアメリカに投資する予定、と新聞紙上で報じられた。しかし私は王子に、彼は素晴らしい男だが、まるめて1兆ドルにしよう、と提案してみるつもりだ。(私はこの発言を聞いて、思わず笑ってしまった。600をまるめて(四捨五入して)1,000にするなど、どこにそんな理屈があるのか、また誰が言えるのか?しかし、これこそトランプ・マジックなのだろう。未だかつて、何の実態もない、いわば”ただの公約”にしかすぎないもので、これだけの巨額の投資を引き出せる指導者が、いただろうか? なるほど故安倍総理も世界的に飛びぬけて優れた営業外交を展開し、我が国に巨大な仕事と巨額の利益をもたらしてくれた。そしてご自身は世界の指導者の一人になられた。しかし、トランプ大統領は、桁違いのスケールのビジネス感覚で外交ができる指導者であることに疑いの余地はない。)

  • サウジアラビアとOPECには、石油価格引き下げを要求するつもりだ。なぜ大統領選挙前に引き下げしなかったのか、私には不思議だ。 ( "That didn't show a lot of love by them not doing it".  このフレーズを私は、産油国が、仮に民主党を勝たせようとしていたなら、原油価格を下げたはず、それをしなかったのは民主党ではなく共和党が支持されている、との民主党に対する皮肉をこめたものと解釈した。)

  • 原油価格が下がれば、ロシア―ウクライナ戦争はすぐに終わるだろう。今は戦争が継続できるほど価格が高止まりしている。原油価格を下げれば、プーチンには戦争継続の資金がなくなり、戦争を終わらせるはずだ。

  • アメリカの常識を回復し、強さ、平和、そして安定をすばやく取り戻す。

  • NATO( North Atlantic Treaty Organization 北大西洋条約機構 英語では”ナトー”ではなく、”ネイトー”に近い発音をする) 加盟諸国に対して自国防衛予算をGDPの5%に増額することを要求する。前政権で2%までは引き上げたが、まだアメリカの負担が重すぎる。

  • 大統領就任前に、私のチームが中東停戦の交渉に成功し、捕虜が家族のもとに戻り始めた。さらに多くの捕虜が解放される見込みだ。

  • ロシアとウクライナの和平調停が行われている。第2次世界大戦以降、これほど悲惨な戦争はなかった。双方が数百万人もの死傷者をだしている。戦場は大平原、農地だ。(大統領就任演説で、トランプ大統領はロシアには3万台の戦車があり、ウクライナは戦車を持っていなかった。平原での戦闘は戦車同氏の戦いになるが、ウクライナは自国防衛の準備ができていなかった、と指摘している。ただし、ウクライナを非難するのではなく、”自国防衛は各国の自己責任が大前提である”、との教訓としたものと私は理解した。また、トランプ大統領は、あえて、”peace settlement”和平交渉と呼び、中東の"ceasefire agreement"停戦合意とは一線を画している。これは、一時的な停戦ではなく、一定期間有効な(再び開戦しないための)交渉であることをにおわせている、と考える。

  • 来年は、記念すべき行事であるアメリカ建国250年祭を開催する。世界規模の二つのスポーツ大会(サッカー・ワールドカップ、オリンピック)を開く。この大会は私が前政権時に開催を決めたものだが、私が2020年大統領選で勝っていたら、私の大統領任期は過ぎ、大統領として大会を見る事はできなかったはず。それが(大統領選に敗れ、今回勝ったため)不思議なめぐりあわせで、大統領としてこの二つの大会を迎えることができた。(これは私見だが、かなり皮肉が入っているように思う)


全世界の事業家へのメッセージ

  • ”アメリカに来て製品をつくれば、世界一安い税金で事業展開できる”。

  • 税金を、私の前政権時よりまして、抜本的にカットするつもりだ。

  • アメリカには豊かな地下資源(石油ガス等)と能力ある労働者、も世界をリードする研究者と技術者が大勢いる。

  • 世界最大の消費国であり、巨大な市場が待っている。

  • だから、アメリカに工場を作り、アメリカで製品を製造し、アメリカで販売すれば最大利益が得られ、事業を拡大できる。

  • しかし、アメリカ国内で製造しないのなら、どうするかはみなさんに決める権利があるが、関税を支払う事になる。そしてその関税は、我が国の財務省に数兆ドルの収入になり、経済の活性化と赤字国債を減らすことに繋がる。

トランプ大統領の外交営業は、アメリカ国内で製造すればその事業機会、事業環境、そして低い税率を受けられる、事業拡大できる。しかし、海外生産のままだと高い関税が課せられ、利益確保も事業拡大も難しい、という思想信条ではなく、純粋に事業としてのメリット、という切り口でアメリカに製造を呼び込もうとしている。これは事業家なり投資家なり、これまでリベラル思想、グローバリスト思想に固まっていた世界の潮流を大きく変える契機になるのかもしれない、と私は期待したが、みなさんはどう評価されるのだろうか。

私はこれからも老体に鞭打ち、アメリカ保守派からみたトランプ大統領の日となり、政権の考え方、そしてアメリカ民衆がどれほどトランプ政権に期待しているのか、できる範囲で、ボチボチ紹介していきたいと考えています。例え一人でも、我が国のレガシー・メディア、訳知り顔の評論家諸氏の報道なり解説が、リベラル左翼主義の方向にゆがめられているのか、少しでも分かって頂ければ、と考えています。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
ご批判を含めて、みなさんのお考え、コメント等をいただけると本当に嬉しいです。


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