あなたも少しは報われたかな
大人になって、自分が学生だった頃の夢をよくみるのはなんでだろう。
子供の頃にただ純粋に戻りたいのか、あるいはやり直したいという気持ちがあるのか。
やり直したいという気持ちは正直ある。
特に小学生の頃はとても辛かったから。
今でもよく覚えている出来事がある。
ちょうどお昼の時間、ある1人の男子がまわりの男子から何か悪口を言われた瞬間、その男子がカッとなって癇癪を起こし、近くにあった椅子を彼らに向かって投げようとした。
止めようとする人たちもいれば、その様子を笑ってみている人たちもいた。
そこからだろうか、人に対して怖いと思ったのは。
どうして何もしないで笑っているんだろう、
確かに人に向かって物を投げるのは良くないけれど、ひどいことをされたのは彼なのに。
泣いているのに。
彼だけが責められている雰囲気に人の怖さと、憤りを覚えた。
なるべく人と関わりたくなくて、休み時間は本を読んだり、図書室に行くのが、私の唯一の救いだった。
場面緘黙でもあったけれど、人と話したくない、そっとしておいてほしいという気持ちで、全く人と話さなかった。
そして、いじめにあった。
何もしていないのに、ただ1人でいたい、話したくないだけなのに、何でこんな目に合わなきゃいけないのかと毎日毎日思っていた。
先生もただ大人しい子、恥ずかしがり屋な子と決めつけて、家でも喋んないのかと言われた。
辛かったけれど、卒業まで頑張って学校に行っていた。
今思えば、顔には出せなかったけれど、私はずっと心の底で怒っていたのかもしれない。
変われないでいる自分自身と、いじめをする人、何もしないでいる大人に対して。
卒業まで学校に行く、これが私なりの反抗だった。
人と話したくないと思っていた小学生の自分が、今は接客の仕事をしていると聞いたら、すごくびっくりするだろう。
辛い朝を迎えることは、もうない。
1人じゃない。
やり直すことはできないけれど、前に進んでいけるから。
あなたも前に進んでいけるよ。