土佐国 鰹釣之図 鰹節を製す図
土佐国 鰹釣之図
鰹は、外海の諸国に採といへども、土州にて出すを名産とす。魚を捕るには、網は稀にして、釣多し。其時を撰ばづといへども、三、四月ごろを初鰹として、春節の上品とす。生いわしを飼として、一艘に十二人のり込、九尺のつり竿に、糸の長さ六尺計なり。先づ、生いわしを夥しく水上に放てば、かつを是につき集る。其中へ、針にいわしの尾をさして、投入れば、忽ち食つきて、猶予のひまなく引上る也。
同 鰹節を製す図
扨、魚多く集まる所は、牝牛の角、鯨の牙、等にて、●なくして釣る。是をかけると云なり。つりたる魚を、渚の砂上にほうり上げ、先づ、頭を断り、膓をぬき、骨を除き、二枚におろしたるを、又、二つに切て、四片となし、籠にならべて、幾重もかさね、大釜の沸湯にむして、簀の子にならべ、三十日ほどほして、ふたたびみがきて ●につめ、諸方へ移出すなり。
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筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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