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松烟取圖(せうゑんとりのづ)

松烟せうゑん 取圖とりのづ

肥松こへまつのゆゑんなり。又は、灰墨はいすみとも云。これをとるには、四方しほう障紙しやうじにてかこひ、そのなかにはたなをかき、其うへつちにてぬりて、肥松に火をつけ、てまどより● 其かゞりのけふり うへの方にたまるを はきて取也。是を松煙と云。

ほん油煙ゆゑんといふは、油火あぶらひのかゞりのけふり也。是も棚をこしらへ、多く油火をともし、障紙にてかこひて、其上にたまるを取也。

又、太平墨たいへいずみなどにする下品げぼんの松煙は、肥松のけふりにあらず。かわらやきのかまのごとくにしつらひて、松の雑木ざうきをたきて、其上にたまるすゝをはらひ取也。

※ 「松煙せうゑん」は、すみの別名。松を燃やすときのけむりすす
※ 「肥松こへまつ」は、松脂まつやにを多く含む松の幹や枝のこと。松明たいまつなどに用いられる。
※ 「けふり」は、けむり

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本山海名物圖會 四
四方障紙にてかこひ 其中には棚をかき
其上を土にてぬりて肥松に火をつけてまどより●
其かゞりのけふり上の方にたまるをはきて取也
是を松煙と云
肥松のゆゑんなり 又は灰墨とも云


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