『料理綱目調味抄』第二巻(1) 飯の部
焚干飯
世 普 知㕝は不 註。飯を仕入る水に、昆布だし三分一加れば極上の飯になる。又、一升の飯に、酒にても醤油にても、盃に一盃加るもよし。飯焚損じたる時、一升の飯ならば酒一盞を灌、火をほそく焼、熟置べし。
餴飯
如 常 飯に焚、あつゆにてあらひ、又、釜に入蒸す。
※ 「如 常」は、常の如く。
湯取飯
かし米一升に、水二升の余、大かた飪なる時、湯を去り、又、釜に入、細く焚むす。又、釈米いか ● に入、熱湯の釜に入、煮たる時、上蒸。
※ 「飪」という漢字は、食べ物を柔らかくなるまで煮て、食べられるようにするという意。
※ 「釈米」は、洗って水につけたお米のこと。
小豆飯
白米一升に、小豆四合のしぶをとり、あとのゆで湯にてたく。塩少加。
麥飯
如常、麥を一夜水に漬、焚時水多く茹て、よく煮たる時、湯を去。麦に米を包、水ヒタ/\にして焼(麦一升米三合)。又、麦を洩わりても如右。
※ 「焼」は、ここでは火を通すという意味と思われます。
菜飯
如 常、飯を焚、器物す。うつす時、菜の細なるを塩もみにしてふりまぜ、暫熟しむ。菜飯もどきは、わかめをあぶり、粉にて飯に振り交、暫熟しむ。外に塩を不 用。
※ 「暫」は、しばらく。
奈良茶飯
茶飯は、茶を以て焚。塩を加、緑豆一 ● 、かちくり、小豆、大豆は煎て其まゝ熱き茶に入、果 ● きたる時、飯に加へ焼。何れも塩を加。
芳飯 作包
鳧飯、雉子飯、鰝飯、めばる飯、初茸、松茸し、皆、鶏飯 悖 にして芳飯也。鶏飯仕様、かしはの雄若鳥よし。毛と腸を去り洗て、丸ながら茹で、其茹湯にて飯を焼。飯は釜より直にもる。鶏肉を細く刺て、五加木の干葉、葱を刻、各酒漿にて味付、飯の上に ● 也。又、粒胡柞、からみ大根を用。
悖の仕様、●●● 又、葱、牛蒡、しめじ、椎茸、芹、焼麩、何れも線に切、味付、飯に覆たる。皆、包飯也。
汁は清し。大根、昆布の類、かろくすべし。其日の芳飯、冷汁に海苔、栗、生姜、擦大根、いもだしを可 用。いもだしは、山のいもうすくへぎ、一夜水につけ置、ねばり水を用。
※ 「胡柞」は、胡椒のことでしょうか。
白粥 作糊
水六升あつくはかし、米一升の内より一握り打込、其米にへたるとき、残り米打入、釜のふたしめ、火を引置けば自ら熟。
茶粥
米を黄色になる程いり、茶にて焼。杓子にて練はあしく、外にかけ茶有はよし。惣る茶がゆは土釜よし。
小豆粥
米一升に小豆四升、塩を加。其日にふたのよき器に入、井の底にて能冷し、砂糖用。
※ 「能」は、能く。
増水 作□
鴨、卵、葱、韮、芹、菜、其外何にても、皷、又、漿、又、うすたれにてもよし。水□塩を加。東國にて鳩□といふは、鳩のわたをぬき、餅米の粉をだん子にして腹にこめ、竃にて蒸焼、わ切にして温漿を掛る。
焦湯
強飯を干煎、こかゝをく。あつき湯に入、蓋をし暫くして■上り、極上のこげ湯になる。其外は如 常。 [■は氵+字]
筆者注 ●は解読できなかった文字、□はパソコンで表示できない漢字を意味しています。
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