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【絵本野山草】(18) 草蓮花(くされんげ)/虎尾(とらのを)/沢泻(をもだか)/星草(ほしくさ)/三柏(みつかしは)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [3]
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [3]

草蓮花くされんげ

五月花あり。のかたち、あは雪のごとく見まがふ也。しのたちのび、はなびらあつく、らうひきのごとく、かたち、きんのごとき花うつぶきさく。至極しごく見事なり。花しのにえだふりて、くき 花しの ともにむらさき也。

※ 「草蓮花くされんげ」は、キンポウゲ科の蓮華升麻れんげしょうまのことと思われます。

草蓮花 くされんげ


虎尾とらのお 剪艸せんさう

五六月花さく。葉あつく、山薄荷はつかて、白き花ながくさく。すえほそく のごとし。るりいろ、うすむらさき有。るりいろの葉はこはく しかみ有。うすむらさきのは きれふかくひろし。よもぎのあつきがごとし。

※ 「こはく」は、こわく。かたくごわごわしていること。
※ 「しかみ」は、しかみ。皺がよること。


白虎尾草 しろとらのおさう


びいどろとらのお

又、るりとらのおとも云。葉のかたち 長くのこぎり、色ひかりつや有。葉、両方りやうはうむかひ葉なり。花の色 るりこん、はなびらまい、葩丸し。六月花咲。又、白きは葩五つ、ひらにしてさきとがり、葉かた/\に付く。つやなし。ざらつき有。六月より七八月迄花咲。

硝子虎尾 びいどろとらのを


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [3]

澤泻花をもだか 白くはへ 黒くはへ

は白くはへにをなじ。花くきより車付くるまつき 段ゝだん/\につきて、はなびら三まい、又、八重のはな同して丸く、ふさのごとく、二しゆともに色しろし。まんなかに黄なるにをひ有。六七月花咲。又、白くはへには、はな見えず。黒くはへは、葉とうしん、あるひは、つくものごとくはな見えず。

※ 「くはへ」は、慈姑くわい
※ 「にをひ」は、匂い。ここでは、色合いのこと。
※ 「とうしん」は、燈心草とうしんそう
※ 「つくも」は、九十九草つくもぐさ

沢泻 をもだか
八重沢泻 やえをもだか

慈菰じこ しやうず 江河こうか をよび 江東こうとう  近水きんすい河溝かかう沙蹟させきのうちに あじはひ  あまく  すこしにがく  かんにして   なし どく  ごとく 剪刀せんとうのかたちの 莖幹けうかん  にたり 嫩蒲とんぽに また  にたり 三梭さんしゆんに なへ  はなはだ    やらかして  そのいろ  深青緑しんせいりよくごとに くさむら  十餘じうよけううちちう しゆつす  一二けう うへに  わかつて えだを  ひらく 小白せうはくくはを 四辨しへん  しべ  深黄しんくはうしよく    大者をゝいなるものは  ごとし あんずの小者すこしきなるは   ごとし 杏核きやうかくの いろ白而しろくして □ 滑ゑいこつ也

五月六月七月  とる はを。正月二月  とる ねを
一名いちめいは 剪刀草せんたうさう。一 は 白地栗はくぢりつ は 河鳬茨かふし


穀精草こくせいさう

なかしやうず。ちゐさく、葉 せきせうのごとく、花 はりのごとくなるじくいで、其 えだをゝいでて、さきにほしのごとくなるまるつくいろしろくしてひかり有て、ほしのごとし。是を名付なづけ星草ほしくさといふ。又、一しゆ有。葉 をゝけくして、はなちいさく、かずすこしいづるも有。

※ 「せきせう」は、石菖せきしょう

星草 ほしくさ

蘇頌そしやう穀田こくでんうちに生ず。三月花さく小円星せうえんせいたりと云。是  あやまり也。かたちへども、二三月にはえず。

時珍じちんいはくこくをおさむるのち花田くはうでんうちしやうず。細莖さいけう たかさ四五寸、くきかしら小白花せうはくくは有。乱星らんせいのごとく、九月にはなをとるといへり。時節じせつもよくあへどもしからず。きはめ小草せうさうなれば、餘草よさうにまけて生じがたし。

釋名しやくめいに、載星草たいせいさう文星草ぶんせいさう流星艸りうせいさう

※ 「蘇頌そしやう」は、北宋の科学者。
※ 「時珍じちん」は、明代の本草学者、李時珍りじちん
※ 「釋名しやくめい」は、後漢時代の語学書。


三つかしは

漢名 睡艸すいさう
葉のかたち、もんつくる三がしはのごとし。しのたち、形ききやうさうの花にて、はなびらのさきすこしきれ有。二三月花さく。

※ 「ききやうさう」は、桔梗草ききょうそう

三柏 みつかしは
芲ゴフシ 白六クマ



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