【絵本野山草】(18) 草蓮花(くされんげ)/虎尾(とらのを)/沢泻(をもだか)/星草(ほしくさ)/三柏(みつかしは)
草蓮花
五月花あり。葉のかたち、あは雪のごとく見まがふ也。しのたちのび、葩あつく、らう引のごとく、かたち、きん花のごとき花うつぶきさく。至極見事なり。花しのに小えだふりて、莖 花しの ともにむらさき也。
※ 「草蓮花」は、キンポウゲ科の蓮華升麻のことと思われます。
虎尾 剪艸
五六月花さく。葉あつく、山薄荷に似て、白き花ながくさく。末ほそく 尾のごとし。るりいろ、うす紫有。るりいろの葉はこはく しかみ有。うす紫のは きれふかくひろし。よもぎのあつきがごとし。
※ 「こはく」は、強く。かたくごわごわしていること。
※ 「しかみ」は、顰み。皺がよること。
びいどろとらのお
又、るりとらのおとも云。葉の形 長くのこぎり、色ひかりつや有。葉、両方に對葉なり。花の色 るりこん、葩四枚、葩丸し。六月花咲。又、白きは葩五つ、ひらにしてさきとがり、葉かた/\に付く。艶なし。ざらつき有。六月より七八月迄花咲。
澤泻花 白くはへ 黒くはへ
は白くはへに同。花莖より車付 段ゝにつきて、はなびら三まい、又、八重のはな同して丸く、ふさのごとく、二種ともに色しろし。まんなかに黄なるにをひ有。六七月花咲。又、白くはへには、はな見えず。黒くはへは、葉とうしん、或は、つくものごとくはな見えず。
※ 「くはへ」は、慈姑。
※ 「にをひ」は、匂い。ここでは、色合いのこと。
※ 「とうしん」は、燈心草。
※ 「つくも」は、九十九草。
慈菰 生 江河 及 江東 近水河溝沙蹟中 。味 甘 㣲苦 寒 無 毒。葉 如 剪刀形 莖幹 似 嫩蒲 。又 似 三梭 。苗 甚 軟 其色 深青緑。毎 叢 十餘莖。内抽 出 一二莖 。上 分 枝 開 小白花 。四辨 蘂 深黄色 根 大者 如 杏。小者 如 杏核 。色白而 □ 滑。
五月六月七月 採 葉。正月二月 採 根。
一名 剪刀草。一名 白地栗。名 河鳬茨。
穀精草
田の中に 生ず。小さく、葉 せきせうのごとく、花 針のごとくなるじく出、其 枝多く出て、さきに星のごとく成、丸付いろ白くしてひかり有て、星のごとし。是を名付、星草といふ。又、一種有。葉 大くして、花小く、數すこし出るも有。
※ 「せきせう」は、石菖。
蘇頌が 穀田の中に生ず。三月花咲。小円星に似たりと云。是 誤り也。形は合へども、二三月には見えず。
時珍が 云、穀をおさむる後、花田の中に 生ず。細莖 高さ四五寸、莖の頭に小白花有。乱星のごとく、九月にはなをとるといへり。時節もよくあへども然らず。極て小草なれば、餘草にまけて生じがたし。
釋名に、載星草、文星草、流星艸。
※ 「蘇頌」は、北宋の科学者。
※ 「時珍」は、明代の本草学者、李時珍。
※ 「釋名」は、後漢時代の語学書。
三つかしは
漢名 睡艸
葉のかたち、紋に付る三がしはのごとし。しのたち、形ききやう草の花に似て、はなびらのさき少しきれ有。二三月花さく。
※ 「ききやう草」は、桔梗草。
筆者注 ●は解読できなかった文字、□はパソコンで表示できない漢字を意味しています。
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