【絵本野山草】(6) 菊(酔楊妃/大般若/濡鷺/猩々/黄金目貫/清見寺)
菊は、秋より生じて秋まで有。年中絶る事なし。葉の徳松に似たり。秋、草花 をとろふ、此はな盛にして冬に至りいよ/\多し。
一名を菊としてよび、名は多し。又、はなに大小有。花 さしわたし、かねざし一寸より以下は小りんとす。小りんに二所有。五六分以下は小りんとす。一寸より二寸迄は中りん、二寸より三寸迄は大りん也。
三寸二分より小柄にあまるゆへ大の大、三寸五分より上は大の大大といふべし。
※ 「草花をとろふ」は、草花衰ふ。
※ 「さしわたし」は、差し渡し。直径のこと。
※ 「花さしわたし」の「花」という字は、「先」という字にも見えるのですが、文脈から「花」としました。
※ 「かねざし」は、矩差。曲尺のことで、 長さの単位の一つ。1尺は約30cm。
※ 「小りん」「中りん」「大りん」は、小輪、中輪、大輪。
先 こゝにしるすは、白すいやうひ、黄すいやうひ有。
※ 「すいやうひ」は、酔楊妃。
大はんにや、又、黄大はんにや、ぬれさぎ、又、小りんのうち、小せうじやう、小がねめぬき、せいけんじ、さきわけあるなり。
※ 「大はんにや」は、大般若。
※ 「ぬれさぎ」は、濡鷺。
※ 「小せうじやう」は、小 猩々。
※ 「小がねめぬき」は、黄金目貫。寒菊の別名。
※ 「せいけんじ」は、清見寺。
※ 「さきわけ」は、咲き分け。ひとつの株の草や木に、色の違う花が咲くこと。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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