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【絵本野山草】(21) 宝相花(ほうそうか)/外浜すかし百合/為朝百合/下野(しもつけ)/芥子/美人草

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [4]
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [4]

宝相花ほうさうくは

薔薇しやうびるいす。花をゝけし。たいはく白有。大こう有。千瓣せんこんしゆあり。長春花ちやうしゆんくはより花葉ともに大し。三四月にさく。ぞくに、ながいばらといふ。牛勒ぎうろく一名いちめい牛棘ぎうきよく、一名は刺紅しこうといふ。山中やまなか大木たいぼくしやうず。又、谷岩たにいはのうえよりはへさがる。あるひは、きし、又、山はらよりはへさがる。また、長春花より葉のちいさきもあり。

宝相花 ほうさうけ


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [4]

外濱そとがはますかし百合ゆり

花つねのすかしゆりにして、いろ 萱草くはんさうに似て、ほしなし。中心さき、とんほうがしら六筋むすじしべのさき紫色の米粒こめつぶ有。又、葉、つね百合ゆりより細長ほそながし。三四月に花有。長三尺ばかり。

外がはますかしゆり
葩ゴフン 中ヨリシワウクマ


為朝ためとも百合ゆり

花の色白く、鹿子かのこ有。むらさきくろ中心、とんぼうがしらとびいろ、しべおなじく 鹿子かのこゆりに似たり。はなびらの中よりすこし黄色有。そこにすこしみどり色有。全体ぜんたい鹿子かのこゆりにたり。鬼百合をにゆりよりふとくたくましく、四月の中花有。又は、五六月有。長四五尺ばかり、くきふとく、色くろあをし。花の大さ七八寸あり。

※ 「とんぼうがしら」は、蜻蛉頭とんぼがしらのことと思われます。参考:『和漢雅俗いろは辞典(とんぼがしら)』

為朝百合 ためともゆり


草下くさしもつけ

花立木の下つけとをなじ。色うす紅、中しべしろく、又、白のしもつけもこれにおなじ。葉はでまりのはにたり。のこぎりあつて、やわらかなり。しのたち、ふぢばかまに似て、くきほそし。くさだちなり。三しゆのうちなり。三四月より六七月まではなさく。漢名かんめう線繍菊せんしうきく

下野 しもつけ


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [4]

芥子けし 罌粟 罌子粟

はなびら 四葉しえうにして、色、大紅有。大白有。紫有。一重、八重、千あり。葉、苦菜にがなのごとし。長三四尺ばかり。葉のきれふかし。四月花さく。麗夏花れいげくはといふ。又、うてな二葉有。花ひらけをちる也。

芥子花 けし


麗春花れいしゆんくは 華鸎粟くはをうぞく

ぞくにいふ美人草びじんさう。かたち、芥子けしにしてちいさし。はなびら同四葉、いろ、白有。大紅有。むらさき有。ひとへあり。また、八重、千あり。はる三月にはなさく。葉はけしのはにして、みじかく、花のつぼみ、葉くきともに有。うてなをなじ。はなひらくにしたがひ、うてなをちるなり。

美人草 びじんさう

鶯粟をうぞく

八月のうちうへて よく
そにしてさかん也
をさめて みを  なして ふとかなりまたあり 五色ごしき千葉せんようのもの 
もつとも   べしと あいす



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