母と娘、ふたりだけの時間
久々に育児日記。
まず最近わかってきたこと。姉は過集中、弟は飽きっぽい。姉は朝型、弟は夜型。
姉は赤ちゃんのころからお喋りで絵本が好きな一方、2歳半の弟はそもそも読み聞かせをさせてくれなかった。読み聞かせをしようとすると、ページをめくることに執心して、なんにも話を聞いてくれない。互いにフラストレーションが溜まるだけなので読むのを諦めていたのだが、ここ最近のお喋り欲求の高まりとともに、一気に読書ブームが来た。
ここだ。育児は機を逃してはならない。よーしママ、張り切って読み聞かせしちゃうぞー。
腕まくりする私の膝に、はいこれ、はい次はこれ、と本を持ってきてはママの音読音声をシャドウイングしたりして楽しそうな息子。
ふう…。嬉しいんだけど、嬉しいんだけど、親としては修行なんだよなコレ…! と思っていたら、身構えるほどではなかった。姉が過集中でひとつのことを数千回するタイプなので、それに比べたら弟はある程度で切り上げて(飽きて)くれる。いやそれはそれでね。飽きっぽいとかいっちゃったりして。すみません。
どうもうちの姉弟を見てると、読み聞かせを聞くモチベーションが「自分が喋ること」にあるような気がしてならない。ふたりとも、ウンウンと大人しく人の話を聞くタイプではないのかもしれない。少なくとも姉はそれで確定っぽい。
いいんだけどね。
膝の上で読み聞かせを大人しく聞いてくれる時間って案外あっという間だから、内心「つまんねぇ〜! ころころころっていったい何回言い続ければ良いんだよつまんねぇ〜! ぐおおおおお」って思っても、膝に収まる2歳の頭皮の匂いを嗅いで、そんな母子の風景を動画で撮ったりして、後で見返したりしたいと思う。きっと愛おしいものが撮れている。
そして姉。
昨日、まだしばらく幼稚園は午前までで午後はゆっくりできるし、弟は午睡で私も一緒にうとうとしてた。そしたら娘がママ、と声をかけてきて、この折り紙の折り方がわからないから教えて、と頼んできた。
眠いけど、このタイミングは娘と二人っきりの大切な時間。よっこいせと起きて、一緒に本とにらめっこをする。娘はきっちり折る、ということをあまりしない。空中でちょんちょん、とだけ折って次にいってしまう。床においてぴしっとしないとズレるからねと教えても、その場でやるだけで、次からまたちょんちょん。
うーんほらやっぱり、うまくいかない。教えてほしがるくせに、教わろうとしない。イライラが溜まっていく。まあいいや、一番難しそうな工程だけもう一度念押しで教えて、それで一回この子に任せよう。
そう思って、2個目を作り始めていたのを借りて、いい? ここをこうして、こうして、こうするのが大事だからね、分かった? とやろうとしたら、自分でやる! と折り紙を奪い大声を出し始めたので、だめだ、と思って、いいよ、じゃあ分かったね? あとは自分でやりな、と身を引こうとしたら、嫌だぁ〜〜ッ! と火がついたように大泣きしだしてしまった。6歳とは思えない大泣き。
イライラが溜まっていたのは私だけじゃない。特性のある娘のほうもだ。何度もママのつっけんどんな指摘に堪えて、なんとかママとうまくやろうとして、できなかった。だから余計に悲しいんだろう。
でもそこから、こじれて頑なな母子の感情がうまく収まることはなかった。貴女の中にどんな気持ちがあったのか教えてと聞いても、折り紙を練習したかったけど難しかったとか、それだけ。
起きてきた弟と三人でおやつを食べているとき、「ママだって、二人っきりの時間、娘ちゃんと楽しい時間を過ごしたかったのに、悲しい」というと、彼女も悲しそうに頷いた。
よる、いつもなら朝方はママのほうにくっつきにくるはずの娘は、先に起きたパパの布団でひとり寝ていた。いつもなら私よりも早く起きるのに、眠いといって全然起きてこなかった。
幼稚園はお休みした。
そして、午後。今日も私は息子を抱きかかえてソファの上で寝落ちしていた。
すると娘に起こされた。
「ねえママ、なんかゲームしようよ。宝石ゲームは?」
ああ、そうか。昨日のリベンジだね。私は眠い目をこすって起きる。
「うーん、ちょっと飽きてきたなあ…」
「じゃあ、久々におばけキャッチしたいな〜、あとおさるのジョージのも!」
うーん。
こういうとき、夫なら何でも良いよといって娘の提案にのる。昨日の折り紙だって、夫ならきっと娘のペースをじっくり待って、娘のペースに乗っかって教えてあげられていたんだろう。
これが、私と娘の喧嘩が多い理由で、娘が夫に際限なく甘える理由だ。
そういや、娘ちゃんってトランプあんまりしてないよな…トランプする?
のそのそと起きてきて、母はトランプを引っ張り出す。
トランプってなに?
すぐに私の手からトランプを奪おうとする娘を叱る。何度も注意する。なにが始まるか分からない不安感と期待感と、母からの注意によるフラストレーションを、娘はなんとか乗りこなす。昨日みたいになりたくない、今日は頑張る。娘はそういう子で、私はこの子のこれを書き留めておかないとと思って今日は筆を取ったのだ。
これがハート、これがダイヤ、これがクラブ、これがスペード。Aは1、Jは11…
分からないままに進んでしまうと混乱が爆発してしまうので、説明はちゃんとする。今日はちゃんと聞けている。
じゃあまず7並べしよう、と、なんの駆け引きもない、ただのカード並べをする中で、娘は何度も、トランプって楽しいねといった。
これが、私が娘に頼られる理由。スキー、スケート、水遊び、お勉強。ママはママのペースが強くてイライラするけど、新しくて面白いものを教えてくれる。
と、思われてると思ってるんだけど、違ってたらごめん。
それからババ抜きをして、神経衰弱をした。
「初めてとは思えない。娘ちゃんは神経衰弱強いね」
あなたには苦手があるけど、得意もある。
ママはもうご飯の準備しないといけないから、というと、娘はそれから一人で神経衰弱を楽しんでいた。途中、先日亡くなった愛しのじいじの遺影をそばにちょこんと置いて、意図せずたまたま揃った「ラッキーなカードたち」をじいじに献上していた。
あなたは相手の気持ちを考えるのが苦手だけど、優しい気持ちもとびきりたくさん。
夕食後は、家族4人でババ抜きをした。
ジョーカーが来たら叫び、ジョーカーが渡れば笑い、相手から手札が見えないように隠そうとして丸見えになっている姿を見て、療育としてもちょうどいいな、と思った母なのでした。
次は弟メインの日記を書きたい。
姉に比べるとどうしてもほんわか予想の範疇の愛おしの坊っちゃんになってしまって、ドラマチックな要素を拾いにくくなっている気がする。
2歳には2歳のドラマがあるはずなのにね。