
【木曜日】 あさなったけど、よるなった
突然なんですが、いったんこの連載をお休み、というか不定期とします。
理由はね、まあなんとなくなんですけど、別のことに時間を使おうかな、と。というのも、今日、私のデスク周りが一新しまして。
いつだったか、ひと月ほどまえに「夫のデスクで作業したらめっちゃ快適だったわ〜」と夫に報告したところ、「お! じゃあ机と椅子、買いかえる?」とかもう色めき立っちゃって、それはそれは前のめりに、あれよあれよと言う間におすすめデスク・おすすめチェア・おすすめモニタがリスト化(説明・リンクつき)されたものが送られてきて、気づいたら今日、とんでもない机と椅子が納品されてきました。
実店舗まで下見にも行ったし、なんかもう本当すごいのでレポ記事でも書きたいんですが、でも本当にすごすぎて、なんでお前みたいな人間がこんなアホみたいに良い環境を手にしてんねんしばきまわすぞって言われそうなので、ひとまず書かずにいます。
ただね、だから、とっても良い環境を手にしたわけなんです。だったらちょっと、これを機に、別のことをしたいなあと思いまして。
まあ、定期連載と決めていたものを不定期連載にしよう、くらいのことです。ゆる〜く、存在していこうかと思います。
エイプリルフールだしね。嘘か本当か分からない、自分でも。結局次の木曜に更新してたりして。
*
さて、娘のイヤイヤがとまりません。
とかく親からのオファーに対し、「しない」「やらない」「いらない」とすげなく、そして憮然と言い放ち、しかしほんの数秒のうちに心変わりをし、「いるぅぅぅぅぅ」「するぅぅぅぅ」と泣きあぐねる。
「拒否をするという主体性」と「するという主体性」のどちらを取ればいいのか分からないのか、あるいは、「自分のタイミングで自分の判断だと納得できないと嫌」なのか、はたまた「嫌と言ってしまった後悔」なのかなんなのか、分からない。もうきっと本人にも分からないが、一度スイッチが入ってしまうと、泣いているばかりで、状況はにっちもさっちもいかなくなる。
「えんえんしぢゃったァ」
そう、べそべその顔で報告してくる。いいよいいよと抱っこしても、それでも、なかなか心の暴風雨は収まらない。
そしてそれはご飯に対してもそうで、元来、警戒心の強い娘。とにかく、目新しいメニューは片っ端から否定する。オープンマインドからは程遠い。
昨晩は、わざわざ別鍋で作った麻婆豆腐を、文字通り一口も口に入れず、大根の煮物も、卵スープも一切拒否し、米と枝豆しか食べてくれなかった。
さすがにそれはどうなんだ、拒否するにしても一口でも食べてから拒否しなさいよと、あの手この手で夫と二人、食べさせようとするも撃沈。
業を煮やした夫が席を立ち、食器洗いをしようとするので、同じく限界を迎えかけていた私が、席を立って声をかけた。
「ちょっとさ、桃鉄しよ」
ダイニングからリビングに移り、二人で30分、桃鉄をした。
やいのやいのと煩い親から開放された娘は、一人で「ももてちゅ!」「むしめがねしてるねェ〜」と、おしゃべりしながら米を食べていた。
頭が冷えたら嫌がっていたおかずも食べてくれる、というケースもこれまでにないではないので、念の為全ての皿を並べていたけれど、やはりというべきか、娘が食べたのは米と枝豆のみであった。
そして一人でご機嫌に「おしまい」をした娘は、スタイをつけたままダイニングからリビングに来て、桃鉄をする我々のまわりで遊びだしたのだった。
桃鉄を終え、寝る準備が整ってからも、「イヤイヤの相手って、消化不良感が強くて気持ちを切り替えにくいよね」みたいな話から、家族の話など、うっぷんを晴らすように私と夫はくどくどと長話をした。
そして今朝、6時台。
はやくも娘はキレていた。
寝ぼけ眼でしかし明確に、「よるになった、しゅるゥゥゥ〜!!!!」と言って足をバタンバタン、泣きながら暴れまわっている。
夜になった、とは、真っ暗になったという意味だ。そう、娘はこのところ、布団の中に頭を突っ込んで寝るのが好きなのだ。
子どもあるあるだと思うし、自分にも心当たりはあるものの、親の立場からすると怖いのでやめてほしい。だが、どうしようもない。
ウーン、とこちらも寝ぼけながら布団をかぶせてやる。一つの布団で寝ているので、必然、私の顔半分も布団に埋まる。しかしこれも、どうしようもない。納得して大人しく眠ってくれるなら御の字だ。
再び起きた娘は、いつものご機嫌だった。
大量のぬいぐるみたち(睡眠時のお伴)をバスケットに入れて、自分でリビングに運ぶ。飲み物を入れたマグも、自分で持ってきて交換させてくれる。でも服は、上下ピンクじゃないと嫌。
ズボンは裏起毛でもうアウトシーズンだけど、でも、どうしてもこれがいいらしい。娘に選ばせるといつもこれになる。
黄色の、緑の、可愛い服、あるんだけどなあ…。
仕方がない。
昨晩、米と枝豆しか食べていなかったからだろう。
朝ごはんも昼ごはんも、モリモリ食べた。朝昼はだいたい定番メニュー、夜は日替わりメニューなので、心理的に安心感の強い、朝昼ご飯で食いっぱぐれないようにするつもりなのか。
それにしても、うちの娘は全くと言っていいほど、「腹が減った」と主張しない。したがって、「あなたが昨日食べなかったからでしょう?」という会話も発生しない。
いいのかわるいのか…。
先週はしょっちゅう公園に繰り出して、気づけば娘は少し疲れているような、それに最近お家遊びをしてなかったな、ということでここ何日かは家でのんびりしている。
最近のブームは、アンパンマンのパズルと、ボタンで歌が流れる絵本。
(もっと早くに買っとけばよかった)
アンパンマン教に入信したので、当然のことながらアンパンマンの歌もおぼえつつある。
そぉだ、うれし、いーきる、よこび
たとえ、むねきじゅ、まーもるためー
あ、あ、アンパンマン、やーさし、きみは
い、け、みんなのよ、まーもるためー
お昼寝から目覚めた瞬間、10回くらい歌ってくれた。たどたどしさ、口の動き。どれをとってもおぼこくてかわいい。
今日は月に一度か二度ある、「ママとお風呂に入る日」であった。
バブを入れてやると、娘は「しゅわしゅわ」といって興味深げにしているものの、手に破片が付くのがいやらしく、「ママ、もって!」と自分で持とうとしない。
そういえば、砂場で手が汚れるのも嫌いだし、食事中に手が汚れるとすぐに「ふきふき、ちょーだい!」と言って自分で手を拭くし、最近は手を洗うのもやたらと上手くなって、「ゆびのあいだも」とか言いながら、爪の間を洗う仕草までする。
「それはばっちいから触らない!」
コロナのこともあって、私もそんなことを幾度となく口にしてきた。ばっちいよ! と声をかけると、娘は自分の手をまじまじと見つめる。
ヨーグルトを食べる前にはスプーンを「きれいしてちょーだい!」と水洗いするよう求めるような、綺麗好きな娘の元来の性格と、この状況下で「ばっちい」に私が神経質になっているのと、そして今、とくに警戒心の強いイヤイヤ期であるのと。
様々な要因が考えられる。
はてさて、この綺麗好きはどこまでいくのだろうか。
「大丈夫よ、ほら。ほらほら」
と、私の腕にバブをこすりつけてみせるも、やはり自分で持つのは嫌らしく、結局、小さなドキンちゃんのコップに入れて、湯に溶けるそれをまじまじと観察していた。
ううむ。
*
書いていて思い出した。
そういえばうちの夫は、手のひらの感覚が敏感で、娘もその体質を受け継いでいるのかもしれない。感覚が過敏で、汚れが気になるのかも。
明日、義母に昔の夫の様子を聞いてみようかと思うけれど、きっと答えは「覚えていない」だろう。夫は長子ではなくて、やはり細かいことまで覚えているのは長子のことばかりらしい。
そんなものだ。
そんなものなのだが、先週、「イライラは忘れて、娘が手を握ったその感覚だけ、覚えておく」みたいなことを書いた自分には一家言あるので、ついでに書いておこうと思う。
思い出を美化しすぎるがあまり、娘が嫌だった記憶を、己の未熟さを、なかったことにするようなことはしてはいけない。
それはほんとうに紙一重の事象で、思い出を慈しむのは悪いことではないにせよ、ときに、子供の求めているのは、バイアスのかかった美化された記憶であり、そしてときに、それらを排除した客観的な事実である。
それを見誤らないように。
目の前の子どもを理解しようとせず、美化された過去の思い出に陶酔するような真似は、私が過去の経験をもって、最も忌み嫌うものの一つだ。
このことは、どこかで書いておこうと思っていた。
さて、夜も更けてきたので、そろそろお開きにします。
すごく良い椅子に座っているから快適は快適なんだけど、なんだか息苦しくなってくるのは、これは私の身体の問題なんだろう。
暖かくなってきました。
皆様も、どうぞご自愛くださいませね。
【その他の木曜日】
いいなと思ったら応援しよう!
