秋田の鍋っこ文化 「くじらかやき」と「きりたんぽ」
寒くなって来ましたね。温かいお鍋や煮込み系ご飯が食べたくなるこの季節。母ちゃんの飯炊きは劇的に楽になります。材料切るだけ料理のオンパレード。bravoお鍋!viva煮込み系!
お鍋は痩せるらしい
週1くらいでお鍋を作ると「またお鍋?」と言いがちなパパさんが、先日放送の深夜番組「それって!?実際どうなの課」でチャンカワイさんが3日間毎食、4人前の鍋料理を食べて「鍋は太る?太らない?」を検証した結果、まさかの1.9キロ痩せた番組を観て、「お鍋は痩せるんだって!でも野菜の水分と食物繊維がいいらしいから野菜多いと痩せるみたいだよ!」と驚きながら言っていました。それなら堂々とお鍋を登場させてもいいね、とほくそ笑む母ちゃんでした。今年は週2でもいいよね。どうか野菜が値上がりしませんように。
鍋っこ遠足
さて、ふるさと秋田の実家では寒い土地柄、鍋物や汁物、ラーメン等の登場頻度がとても高いです。「鍋っこ遠足」と言うローカル行事が存在するくらい、鍋への愛が強い県民性があります。きりたんぽ、しょっつる、だまこ鍋等々。
鍋っこ遠足とは、秋田の学校の秋のイベントで、野外で鍋を作って食べる遠足のことを言います。班ごとに分かれて食材や鍋を持参し、きりたんぽや豚汁、カレー等を作って食べます。メニューを自分達で自由に考え、準備をして実行するわくわく行事。
このご時世で消え行くイベントになっているのでは、と切なくなりますが、アウトドアブームに乗って、秋田出身者が全国津々浦々のキャンプ場で、鍋っこ遠足を懐かしがりながら調理をしているはず、と確信しています。私もいつか憧れのキャンプに行ったら、気持ちは100%鍋っこ遠足に戻ると思います。
夏のお鍋「くじらかやき」
そんな秋田には、夏のお鍋が存在します。「かやき」です。実家ではもっぱら、味噌仕立ての「くじらかやき」でした。
「かやき」とは貝焼きが訛った言葉と言われていて、漁師が鍋の代わりに貝を使って料理をしたのが始まりのようです。大きな貝殻を使って季節の魚や野菜、山菜などを味噌、塩、醤油、しょっつる等で煮込む料理です。内陸では貝を使わない鍋のことも「かやき」と呼ぶようになったらしいです。実家では夏は味噌仕立ての「かやき」、冬は「きりたんぽ」でした。
「くじらかやき」は塩くじらを使ったみそ汁で、山菜のミズ、人参、なす、豆腐、ネギ、みょうがが入っていました。くじらは父の好物で「これを食べると夏バテしないぞ。」と本当に美味しそうに笑顔で食べていましたが、子どもだった私たち姉妹はその動物臭さに閉口し、失礼にも「臭い、臭い」と嫌がり、くじらだけ抜いてもらって食べていました。
大人になった今なら食べられるかもしれない、と思いつつ、塩くじらをなかなか見かけない現在(捕鯨問題もありますし。)、くじら抜きで代わりに鶏肉を入れて夏に時々作ります。そして、いつも何か足りないと感じるのです。お父さん、クジラは必然だったね。あの脂っこさと臭みのアクセントが恋しくなるなんて、子どもだったあの頃は知らなかった世界。来年の夏はクジラを何とか探してお取り寄せするから、一緒に食べようね。
冬のお鍋「きりたんぽ」
父の出身地がまさに比内地鶏の産地、秋田県比内町なので、秋に新米ができると必ず母が送ってくれます。「東京も寒くなって来たでしょ。そろそろタンポ送るから。」と。(地元では、きりたんぽのことをタンポと言います。)
比内地鶏、鶏ガラ、市販のガラスープ、セリ、ゴボウ、糸こん、舞茸、ネギをわざわざ買って箱詰めして送ってくれる母。味噌つけタンポ用の味噌もつけてくれます。アラフィフの娘家族のために、毎週何かしら野菜やお米を送ってくれる母。その野菜を包む故郷の新聞が嬉しくて、シワを伸ばして読む私。子どもが自立したら同じようにしてあげたいと思っています。
今年も数日前にタンポが届きました。鶏ガラと比内地鶏から滲み出た旨さと、新米でこねたもちもちのタンポ。そして何よりも、部屋に充満するきりたんぽのスープの匂いがたまりません。深呼吸する程懐かしくて、落ち着く匂い。ちなみに母直伝の隠し味は、ひとつまみのお砂糖です。
味噌つけタンポも作りました。甘味噌を塗ってオーブンで焼きます。地元では専用の味噌が売っていますが、無ければ味噌にみりんと砂糖を入れて混ぜて作っても美味しいです。
最後に、地元の美味しいきりたんぽの取り扱い店をご紹介します。
十字屋
十字屋さんは煮崩れしにくく美味しいきりたんぽです。
山岡精肉店
こちらはお肉が美味しく、梅沢富男さんも絶賛。毎年お取り寄せしているみたいです。ふるさと納税の返礼品にもなっています。
寒い季節、鍋っこのお薦めでした。