映画『かぐや姫の物語』感想(2013年11月29日記述)
※この記事は、過去に個人サイトのブログに掲載していたものを転載したものです。記述内容や感想は当時のものになります。ご了承ください。
以下、なるべくネタバレしない程度の感想&体験記。
まず思い浮かぶキーワード。
「銀幕でおっぱい」
「JJI落ち着け」
「男ってホント馬鹿」
とにかく「見たこともない映像」が見たいという私のような映像フェチは、借金してでも観に行くべき。
劇場は案の定、『風立ちぬ』以上のお年寄り率。
『風立ちぬ』の時に私は
「これからはやはり老人向けアニメの時代なのではないか」
というようなことをつぶやいたけど、今回は輪をかけてそんな感じでした。
並びで見ていた老夫婦が、おそらく普段はアニメどころか映画館にもあまり来ないんだろうな~というおももちで、幼少期のかぐや姫の赤ちゃん描写に喜んで逐一感想を述べていたのが印象的でした。
こういうのは迷惑と言うよりむしろ、劇場で見る醍醐味だと思う。
うん、あの赤ちゃん表現はほんと見事でした。頭が重くて重心が安定しない様子すら描かれてたし。
あと歯のない赤ん坊の大口笑いとか。
それと、案の定スタッフロールでキャストの地井武雄で驚いてました。よっぽどプレスコについてお教えしようかと思いましたが、不審者に思われそうなのでやめました
そんで見た感想としては、
「俺、アニメ好きでよかったなぁ」
と。
出来のいいアニメ映画見たときにたまに思う、
「これって実写でもいいんじゃね?」
という疑問は今回一切なし。すごい3DCGとは逆ベクトルの、いまどき稀有な映像体験を満喫しました。
この映像をいつまでも見ていたいと思う。
映像としては本当に宝物のようなアニメですよ。高畑氏が『山田くん』でたどりつけなかった、ようやく上り詰めた高みはここだったんだなぁと。
いうなればこれは「動く鉛筆画淡彩」。
画面のすべてを描き手がコントロールしてるという意味では、既存のアニメの進化系というよりもむしろ鉄拳のパラパラ漫画の究極進化系というべきじゃないかな。
実写の持つ、実際の光景を監督やカメラマンのセンスで切り取るという映像とはまた違った美しさ、
言い換えれば
センスのいい絵描きの目や脳を通してみる世界の美しさ
に身をゆだねる面白さ。
どちらがいいという話ではないけど、こういう映像表現はアメリカを筆頭としたCGアニメではまず表現できない。(もちろん日本でも、たとえでもかなり難しかったはず)
まっさきに浮かぶのがフレデリック・バックの『木を植えた男』などの作品だけど、あれは本当に個人技の世界だしなぁ…。
あとこういう表現ができるとしたら、あとは中国のアニメかな…?でも、あの国は優れた芸術家を伸ばせない状況にあるからなぁ…。
で、内容はと言うと…。
テーマ的には「あ、うん、そうね」という感じ。
でもこれは、もうちょっと歳をとってから観るとまた見方が変わりそう。
爺さんになってからもう一度考えながら見てみたいという感じ。
そういう意味では長く付き合えそうな作品ではあります。
あと細かいところでは、かぐや姫に仕える女童ちゃんがかわいかったな~。
パタリロみたいで。
個人的にはこの映画で最萌えキャラ。おもわず劇場でグッズを買ってしまった。
それとこの映画、ところどころの表情演技がかなりいいんだけど、とくに
翁の顔の七変化がいいんだよなぁ。
でもときどき徳弘正也の描く不細工キャラに見えてしまって何度か噴きそうになりました。
それと、地井武雄さんとかいろんな俳優さんのことは話題になってるけど、あえてピックアップしたいのは、声優として伊集院光さんがいい仕事してたということ。
伊集院さんは前から声優向いてると思ってたんだけど、まさにわが意を得たりという感じ。
プレスコのせいもあるのか、まるであてがきのようなキャラでした。
仮に実写化の話があってもそのまんま氏に演じて欲しい。
あと、『かぐや姫の物語』のとあるシーンで、『プリキュア5』のファンは絶対過剰反応する。(断言)
↑とまあ、見てきたばかりの感想がこんな感じ。
でもその後、他の方の感想を聞いたりしてもう一度考えてみると、またいろいろ見方が変わりそうな感じ。
(主にテーマについて)
やっぱりこの作品は、何度か見直してみたいですねぇ。