杢 文都(Moku Ayato)

生粋の日本人。4.5ヶ国語を話す夫と東京で暮らす。2024年7月20日、noteを開始。

杢 文都(Moku Ayato)

生粋の日本人。4.5ヶ国語を話す夫と東京で暮らす。2024年7月20日、noteを開始。

最近の記事

日本で、夫婦別姓を選択したときのこと。

 数年前、都内のある区役所に婚姻届を出したときのこと。窓口で「苗字はどうしますか。変更を希望されますか」と聞かれたわたしは、しばらく質問の全体像を理解できず、戸惑っていた。そして「え、苗字の変更って希望制なんですか!?」と返しながら、あれ、苗字って、結婚したら自動的に男性側のものに変更されるんじゃないの? と思っていた。でも数秒後には、いや、わたしが知らないだけで、実は苗字の変更をする際には、女性側にこういう質問(確認)をする工程があるのかなと考えはじめていた。  すると、

    • 母語の才能、わかりやすい日本語。

      9 異国の人たちと話す日本語について。  6月はフランス人と中国人カップルのホームパーティーに終電過ぎまでいて、7月は台湾人ファミリーの新築祝いにお邪魔して刺激を受け、日本にいながら、なぜか自分が唯一の日本人で、わたしがいるためにみんなが日本語で話してくれるという謎の時間を過ごしていた。そういえば、昨夜もまた別のフランス人と夕食をともにしたのだけれど、話したのは日本語だけだった。もっと言うと、先々週はアメリカ人と日本語で、アメリカの警察事情について話していた。そう、わたしは

      • 富士山に行ったシリア人、高尾山に行った台湾人。

        7 富士山に行ったシリア人  通称「美食の会」の主催者であるエンジニアのレッドさんは、ある夜、お好きな赤ワインに酔いしれながら、わたしにこう言った。 「富士山に行ったシリア人とは、その後どうなの」  どうにもいくつかの話が混ざっているようなので、「富士山ではなく、高尾山ですよ。あと、シリア人ではなく、台湾人です」と訂正すると、レッドさんはいくらか混乱した様子で、「あれ、そうだっけ。じゃあシリア人はどうなったんだっけ」とまた質問してきた。「ああ、例のお茶会はお流れになった

        • 「郷に入っては郷に従え」を実践した結果。

          5 「郷に入っては郷に従え」を実践した結果。  前回の投稿をした流れで、ふと5年前の日記を読み返したところ、パリで過ごした忘れえぬ一夜のことが蘇ってきたので書いておこうと思う。ジョンに出会う3日ほど前、わたしは着いたばかりの旅先で途方に暮れていた。  まず羽田から13時間ほどかけてシャルル・ド・ゴール空港に着いてWi-Fiを接続した瞬間、数名の友人から「パリではメトロが大ストライキ!」というメッセージが届いた。実にフランスらしい話で、はじめは「土産話の1つになりそうだな」

        日本で、夫婦別姓を選択したときのこと。

          たとえ、あなたが国際的だったとしても。

          1 映画のような出会い。  旅先で出会った異国の人と結婚し、それが30代も後半になってからのことだと打ち明けると、たいていの人は「映画のような出会いですね」と言う。でも実際はそんな夢のような話ではなく、わたしたちの会話はこんなふうにはじまった。 「C'est jolie.(ノートルダム大聖堂は美しいですね)」と男が言い、 「I am sorry but I speak only English.(ごめんなさい、英語しか話せないんです)」と女が返した。  黒髪でやや長髪の

          たとえ、あなたが国際的だったとしても。