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エジプト旅行記⑥〜悠久のテーベと何故かインド人とナイルクルーズ〜※歴史解説多め!ルクソールに行く前に読んでほしい!!
ツアー3日目、5時起床、明らかに元気!やった〜
今回はエジ下痢の話はしなくて済みそうです。というか、下痢止めが効きすぎて、しばらく出ませんでした、何も…って早速こんな話をしてしまった…
いよいよエジプトの古都テーベ(ルクソール)へ。私の歴史オタ心が爆発しており、解説文が長くなるような気がします…
エドフ神殿
断食と下痢止めの効果で、トイレに篭ることもなくエドフ(ホルス)神殿へ出発!
船から馬車に移り、朝5時半のまだ暗いなかでもやっているお店を横目に駆け抜ける。まじで疾走。パカパカではなくパッカパッカ。思ったよりだいぶ速くて、アザーンの音とともに響く足音と風が気持ちよくてかなり気に入った。
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15分くらいでエドフ神殿に到着。
クルーズ船の皆が一斉に行くので混雑しているが、Rockyの素早い案内により、サッとチケットが購入できた。割り込みしようとした別のガイドに対してちゃんと注意してくれて、ありがたかった。
お値段は忘れましたが、カード払いOKの外国人価格で大体2000円くらい(現地人の10-20倍くらい)だった気がする。(日本も円安なんだしこれくらいのインバウンド価格作ってもいいんじゃアないかい〜ツラ…と思いながら毎度払っていた…)
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神話と歴史
Rockyがフィラエ(イシス)神殿の続きの神話を教えてくれる。
ホルスが父の仇であるセトを倒すまでの80年にわたる闘いの間には、正統な王位を巡り神々の間で裁判が行われたこと。
裁判では決着しなかったため、カバに変身して戦ったこと、船のレースをしたこと、セトがホルスの左目を奪ったが、トト神が復活させたこと。
ホルスを祀るこの神殿にはそれらのレリーフが多くあった。
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(アブ・シンベルは僻地だからか、削られている部分が少なかった)
神話を聞いてからレリーフを見ていると、ホルスがセトに勝利するというのは、古代の支配者が自身の支配を正当化した要素があったんじゃないかなと思えてくる。
調べてみたら、やっぱりその側面はあるみたい。
古代エジプト王国は、上エジプトと下エジプトという、「二つの国」の統一により成立した。この統一は、上エジプトのホルス神を信奉する王による、下エジプトの征服により達成されたものである。
上下エジプトの統一、世界史でやったな〜!
アスワンからメンフィス手前までのナイル川上流域が上エジプトで、メンフィスを含む以北のナイル川下流域デルタ地帯が下エジプト。北を上にした地図では上下が逆に思えるけど、ナイル川の流れを考えたら上下エジプトの分け方は確かにそうなるわ〜と思ったのを覚えている。だから、ホルス神(上エジプト)が勝利するストーリーなんだな。
(ちなみに、ナイル川はウガンダ・タンザニア・ケニアにまたがるヴィクトリア湖が水源で、現在アフリカの11カ国を流れて地中海に注いでいる。しかし最下流部のエジプトが最もナイル川利権を確保しているという世界史の闇…)(M様からウガンダ現地写真が送られてきたのカッコ良すぎた@25年1月)
神殿最奥には、レバノン杉でできた船のレプリカが置いてある。フェニキア商人がきっと何千年前からレバノン杉を運んで来ていたのだろうな〜と思うと胸熱。フェニキア商人って響きがアツい。きっと昔からゴーンみたいに商売上手だったんだろうなあ!!(褒めてます??)
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と思ってChat GPTに訊いたら食べ物とお香らしい。お香、言われてみれば…
そうこうしているうちに朝日が昇ってきた。
神殿併設のお土産屋さんでポストカードを購入し、また馬車に乗って船に戻る。
途中でミニマーケットに寄ってもらい、水などの飲料を購入。水の定価がなく、最初に高い金額を言われて思わず「は!!?」と反射的に返したら、半額になった笑
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今は野犬が遠吠えしながら駆け回っていた…
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運賃ではなく、チップのみ直接支払った(2人で20だったか50ポンドだったか…)
いざ、ナイル川クルーズ
クルーズ船でインド人にビビる
エドフから皆が戻って7時半頃出航。今日は元気だから、クルーズを楽しむぞ〜!
食べられる朝食はあるかな〜と思っていたら、ミルク粥があった…!優しい甘さで、エジプトで食べたトップ3に美味…!!と思っておかわりをよそっていたら、船に同乗しているインド人団体客のおばあさんが手でコネコネした謎の黄色いブツ(マジで謎だった、野菜?穀物?)を勧めてくる。
断っても断っても勧めてくるので最終的にNo thank you〜と言いながら距離を取ったのだが、席に戻るとM様の皿に謎のブツが置かれていた!!!どゆこと!?!?!?
飲み物を取って戻ってきたM様に事情を話すと「は〜!?これだから自他境界の低い人は嫌なんだよな…」と言いながら新たなお皿に料理を盛り直しに行っていた。
勝手に謎のブツが置かれたお皿、正直不気味だもんな…ビビるぜ…これがインドクオリティなのか…確かに自分のものと人のものの区別があんまりついてないんだな、親切のつもりかもしれんが…
エジプトに来て、まさかのウザエジではなくビビイン(インドにビビる)を体感するとは…笑
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朝食後は船の最上部デッキでのんびりタイム。プールに入ることもできるが、席を離れると一瞬でベンチが奪われるし、日除のある席じゃないと死ぬほど暑いのでなかなか大変。
ベンチ争奪戦はなかなかシビアで、上着やタオルを置いていた韓国か中国人カップルのベンチがインド人に奪われるのを目撃。おおお、またもビビイン行動…
日除も太陽が昇り船が進むごとに影の位置が変わるので、M様と2人でヨイセヨイセとベンチを移動させ、必ずどちらかが座り続けることで我々はテリトリーを主張し続けた。笑
途中M様が荷物を取りに部屋に行ってなかなか戻らないなと思っていたら、サングラスを見つけるのに時間がかかったらしい。
理由はこれ↓笑
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でもこれは…なに??サル?
ごちゃごちゃ書いたが、デッキは間違い無く最高に気持ちがいい。漫画で見たとおりの景色だ〜!!4000年前も同じような景色だったのかもしれない…きっとそう…!と思うと「ナイルの風に吹かれて、いま私、歴史の中にいるわ〜」という気分になった。笑
(M様の先輩がテムズ川を見ながら発した台詞を2人とも気に入ったためよく使う)(テムズで歴史感じられるならナイルは絶対感じられるでしょ)
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奥にうっすら見えるのは、王家の谷だ
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(篠原千絵著:天は赤い河のほとり20巻より)
推しのラムセス(1世)、ナイルの舟旅は最高です!!!
コバンザメのワンダラーおじさん
土産物売りのおじさんたちの小船がクルーズ船にひっついてきて、「ワンダラー!」と言いながらものを広げて見せてくる。通称「ワンダラーおじさん」。
意外と可愛くて、テキスタイル大好き人間的には興味あったが、なんせ椅子取り合戦中だし、どうやって支払いするのかな〜と不思議に思っている間に買いそびれた。
エジ下痢が辛すぎてあまり見られなかったアブシンベルのお土産屋さんに似たようなテキスタイルは売っていたので、ここで買わなくてもいいかなとも思った(が、カイロのハン・ハリーリにはあまりなかったかも)
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エスナの水門
10時半頃エスナの水門を通った。
ダムができてナイル川の水位を調整するようになり、安定航行のためロック式の小さなパナマ運河みたいなやつが作られている。
深夜に通る場合もあるし、一度に2隻しかロック内に入れないため、ここが混雑しているとルクソールへの到着が遅れることもあるらしい。我々は昼間にサクッと通れてラッキーだった!
上流ゲートを通る際に検問のようなものがあり、待ちが発生した。そしてその瞬間、コバンザメのワンダラーおじさんたちが船に商品を投げ入れて押し売りセールを開始。
なるほど、ここで売買するのか!インド人の金持ちたちが結構盛り上がっていた(インドでも見れそう…とかちょっと思った。失礼だろうか)
水門のそばには学校があり、子供たちが船を追いかけて走っていたり、馬を沐浴させていたり、和やかな景色が広がっていた。
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ゲートの周りにコバンザメおじたちが群がって商売開始
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古都テーベとエジプト古代王朝の歴史 ※趣味の世界展開中
15時頃、ルクソールへ着岸!!ついにきた〜!
メンフィスと並んで有名なエジプトの古都中の古都テーベ!
詳しくは知らなくてもテーベって響きだけでアツい…となっていたらM様が「地中海に近いところに都があった方が交易とか便利な気がするけど、なんでテーベが都になったんだろうね?」と疑問を呈していて、たしかに、なんでだろう、目の付け所がさすがだな〜と思って調べてみた。
テーベ(ルクソール)が都になった理由
ざっくり結論、紀元前エジプトにおいて、テーベ(ナイル中流域)が都だった期間は約1000年、ナイルデルタ(ナイル下流域)が都だった期間は約2000年なので、トータルでは少ない!
しかし、古代エジプト王朝のファラオに下エジプト出身者が多かったこと、王権と強く結びついたアメン=ラー信仰の本拠地であり、最長在位のラムセス2世などが拡張し続けた巨大宗教施設(カルナック神殿・ルクソール神殿など)が多く残っていること、また墓地(王家の谷)がありツタンカーメンなど有名なミイラが出土していることから、テーベは現代に伝わる有名都市になっているみたい。
エジプト古代王朝ざっくり変遷
スーパーざっくりとエジプトの王朝と都市の変遷をまとめると、約5000年前にホルスを信奉していた上エジプトのナルメル王が初めて上下エジプトを統一。自身の影響力を知らしめるため、途中で下エジプトのメンフィス(ギザのピラミッドのそば)に都を置いた。※メンフィスを首都にしたのはメネス王とされているがメネス王はナルメルか架空の王という説を記載[初期王朝〜古王国時代]
その後また上下エジプトで戦う時代があった[第一中間期]が、テーベ出身のメンチュへテプ2世が下エジプトを統治するようになり、テーベが発展。また自身をテーベの地方神であるアメン神と関係付け、カルナック神殿の造営をはじめ王位の正統性を主張するようになった[中王国時代]
だがその後、紀元前17世紀にヒクソス(パレスチナ・シリアあたりから来たセム系民族、元は西アジアの遊牧民)の侵攻により下エジプトは異民族に支配され、上下分裂時代に突入[第二中間期]
約100年後、上エジプトのイアフメスがヒクソスを撃退し再度上下エジプトを統一、トトメス1−3世・ハトシェプスト・アメンホテプ1−3世などの著名な王たちのもとテーベは最盛期を迎える。テーベの守護神アメンと太陽神ラーが結びついたアメン=ラーという最高神の存在が確立。ファラオはアメン=ラーに認められた存在(または子)であるとして、カルナック神殿の拡張を続け、王権の正統性を象徴する国家神アメン=ラー信仰が力を持つ[新王国時代前半:第18王朝]
しかし、アメン神官の勢力が拡大しすぎたことを忌避したアメンホテプ4世(イクナートン)によるアテン信仰(一神教)の開始とアケトアトン(現在のテル=エル=アマルナ)への遷都が行われ独特の美術様式も発展した[アマルナ時代]が、アメン神官の抵抗勢力が強く、ツタンカーメンの時代にまたアメン信仰(多神教)に戻った。
そののち、ラムセス1世(私の推しファラオ!)の孫・ラムセス2世が君臨、エジプト古代王朝は最盛期を迎える。ラムセス大王は約70年の在位の間に、交易の要衝であり北方からの外敵に備えやすいナイルデルタ(メンフィスおよびペルラムセス)に都を作った。
※ラムセス2世率いるエジプトとムルシリ3世率いるヒッタイトとの「カデシュの戦い」は、世界最古の和平条約と併せて受験世界史必出問題だよ☆ 漫画「天は赤い河のほとり」を読むとこの時代に詳しくなれます[新王国時代後半:第19王朝]
ヒッタイトをも滅ぼした「海の民」と戦ったラムセス3世の死と共に新王国時代は終焉し、その後はエジプト系以外にもヌビア系・リビア系・ペルシャ系・ギリシャ系(アレクサンドロス大王のプトレマイオス朝)と支配王朝も都も移り変わり、古代エジプト王朝はクレオパトラで終わり、ということになっている。らしい!(まとめるの大変だった!長いけどこれでもだいぶ諦めた…笑)
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そういえば、受験時にやったな〜!(2回目)
アマルナ改革を行ったアメンホテプ4世は<アメン神は満足している>という意味の名前だったけれど、アクエンアテン<アテン神に有益な者>に改名して、それがイクナートンと発音されるようになった、
逆にアメン信仰に戻ったツタンカーメンは正確にはトゥトゥアンクアメン<アメン神の生きる姿>の意味だった、という…
王権神授説の歴史って深いな〜とか、3000年以上前に一神教にトライして挫折したのか〜とか、人間の権力闘争の歴史の長さとエジプト王たちの名前の面白さに感じ入っていた記憶がある。
ちなみに、トトメスは<知恵と王権の記録の神トトが生み出した者>で、ラムセスは<ラーが彼を生んだ者である>という意味らしい...まさに新王国時代を象徴する王、ラムセス…!
ルクソールにあるふたつの神殿について
アメン=ラー信仰そのものはテーベが都でなくなってからも力を持ち続け、ローマ・ギリシャ文明が入ってきてからもゼウス神と結びついたりして生き延びていた(キリスト教・イスラム教の伝播と共に終わった模様…)ため、ルクソールにはカルナック神殿とルクソール神殿の二つの巨大神殿がある。
またもすごーくざっくりとふたつの違いについて解説すると…
・カルナック神殿は、主にアメン=ラーを祀るエジプト最大級の宗教施設で、多くの王が拡張し続けた。
・ルクソール神殿は、王権の象徴(ファラオの神格化)のため、主にテーベ最盛期のアメンホテプ3世とラムセス2世が建設した。
・両神殿はスフィンクス参道で結ばれていた。
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カルナック神殿
船着場からさっそく車(新型のバンを4人で贅沢に使用)で、まずはカルナック神殿へ(ようやく旅行記に戻ってきた!笑)
もう神殿飽きたわ〜となるかなと危惧していたが、カルナック神殿の巨大列柱を見てそんな気持ちは杞憂だったことにすぐ気づいた!
とにかく大列柱がすごく美しくて、うっとりしてしまった。
西洋社会とされる場所で見てきた(最近は最早飽き始めていた)ギリシャ・ローマに端を発する様々な建築様式(特に15-16世紀ルネサンスと18-19世紀ネオクラシシズム)の元祖はここか!!イオニア・ドーリア・コリント様式の元はエジプトの大列柱にあったんだ!!!と気づいて、ひたすら感動、写真を撮りまくった。
人がたくさんいても、列柱はたくさんあるし広いため混雑した印象はなく、ゆっくりと2人で写真を撮った(映え写真を撮りたい人にもおすすめ)
実は、カルナック神殿はひたすら列柱にうっとり&写真ばかり撮っていて他の部分の写真と書くことがあまりない。このうっとり感は格別で久々だった…
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上方は2階ではなく採光用の窓だったらしい
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6人くらい必要だと思う
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今でも色味が見えるところがある
と思っていたが、このnoteを書くために色々参考文献を当たったりしていたらまたエジプト熱が再燃してしまい、2025年1月末から森アーツセンターギャラリーで開催中の「ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト展」に行ったところ、エジプトでは見つけられなかったあらゆる解説があるではないかっ…!(大興奮)(図録買いました)
カルナック神殿についての記載があったので以下引用(ぜーんぜん知らんかった)(知らんくても感動はできるということ)
古代エジプトの巨大記念建造物の中でも、最も重要なもののひとつが、最高神アメン・ラーを祀ったカルナク神殿です。
この神殿は100ヘクタール以上の広さを持ち、中王国時代からローマ時代に至るまで、実に2000年以上にわたって増改築が繰り返されてきた巨大な複合神殿です。
神殿は通常、神のフト〈館〉と呼ばれ、その建物は創世神話や宇宙観を表していました。神域は周壁によって囲まれており、それは聖域を示すだけでなく、波のように凹凸のある形状によって、神話における「原初の海」を象徴していました。
また、神殿の入り口には、太陽が昇る地平線〈アケト〉の象徴である巨大な塔門が建てられました。
カルナク神殿には、134本の柱が立ち並ぶ大列柱室があります。建設当時は屋根があり、薄暗い室内に、明かり窓から光が差し込み、荘厳な「原初の沼」を象徴していました。
その大列柱室を抜けると、巨大なオベリスクがそびえています。オベリスクは、神殿において朝日を最初に浴びる太陽信仰の象徴でもありました。
神殿でもっとも重要なのは、ご神体が安置された至聖所です。この場所は、エジプトの大地が最初に盛り上がった「原初の丘」として位置づけられていました。
オベリスクなんてファラオの権力自慢としか思ってなかったので、太陽信仰の象徴としての意味もあったとは…!
(ていうか創世神話めちゃくちゃ気になるな…でもこれ以上書いたらさすがにやばいから控えます…)(本当に知らないことがちゃんと説明してあって大興奮だったので、今回の古代エジプト展はめちゃくちゃおすすめです)
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お土産屋その3: パピルス屋
1時間と少々、列柱とオベリスクの日陰にいるようにしたとはいえ、暑い。
(エジプトの屋外行動限界は1時間だと思う)(東京の8月の酷暑よりは湿気がないのでマシ)
またも、「涼みに行こう〜紙ができるところが見れるよ〜」と連れて行かれたのがお土産3軒目、パピルス屋である。
このね、「涼みに行こう」「〇〇ができるところが見える」というのが、お土産屋への誘い文句なんですよ!
エジプト観光界の術中にハマっていると全く気づかず、大喜びでついて行ってました!まぁ別にいいんだけどね、これも観光だからね…笑
だだ広い店でセールス女性にパピルス紙の原料であるパピルス草を見せられ、紙になるまでの一連を見せてもらった。
ずっと知りたかった&触りたかったパピルス!!これがPaperの語源になったパピルス!最古の紙!(繊維をほぐして漉き上げたものではないので、正しくは紙ではない)
「薄く割いた茎を水に浸して重ね合わせたもの」と教科書には書いてあって、どんな?と思っていたので、初めて目の前で理解できてとても嬉しかった〜!
でも感動しすぎて&唐突にデモンストレーションが始まったので、録画も写真もしていないことを大変後悔しております。
毎日新聞様が素晴らしくわかりやすい動画を作ってくださっていたので、そこから素材を拝借しました(写真クリックすると動画に飛びます)
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交互に編むわけじゃないのが面白いなと思った
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水に浸す&乾燥させるで製造リードタイムは結構長そう
さあさあ素晴らしいデモンストレーションでしたね!で終わるはずもなく…色々と見せられます。
おもむろに隣の小部屋に誘われたと思ったら、いきなり電気を消された。
ん!?と思ったら、暗くすると浮き上がる蓄光インクで描かれた絵が…浮かび上がってきた!
ぶっちゃけ、こころの中でバカウケしていた。爆笑。
でも猛烈なドヤ顔で「This is special~」と言われて、M様と2人笑っていいのか?どんな反応すれば…と頑張って我慢していた(できていたか自信がない)
この店のパピルスにはカルトゥーシュ(ファラオや神の名前をひとつなぎに表現する楕円形の枠)がデザインされたものがたくさんあり「このカルトゥーシュの中に家族の名前を入れられますよ」とセールスされたのだが、どうにも私とM様にはこれが「位牌」に見えてしまい…笑
「これは位牌っぽすぎる…」「横書きだったら位牌っぽくないんじゃない!?」等々言いながら真剣に探したけれど大体縦書きだった。笑
ああ、そして我々が位牌っぽくないパピルスを探して盛り上がっていたので、セールスお姉さんの期待の顔が向けられている…!こいつら、買うんじゃない!?
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そして私も、せっかくだしな…(出ました、危険な副詞)、憧れのパピルス…手元に置いておいてもいいんじゃない…!?というか夫と姪っ子にも見せたい!触らせてあげたい!!触りたいよね!!(??)という気持ちが高まりすぎて、買ってしまった。笑
自分用に子孫繁栄っぽそうな小さい「生命の木」の額入りパピルスと、姪っ子用に大きめのヒエログリフとアルファベットの対照表のパピルスを選んだ!20ドルと25ドル、2つで45ドルなり
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このゆるーいイラスト感が好きさ!
そして次の日、ルクソール空港で、同じようなヒエログリフ対照表のパピルスが1枚10−15ドルくらいで売っていた、なり…!!
毎日新聞様が動画の最後でおっしゃっているように「手ごろなエジプト土産として観光客に人気」なんだからそらそーだよな!45ドルはちょっと高いなとは思ったよ…!
でもようやく実物を見れて感動しちゃったんだよ…茎まで見れてプライスレス価格ってことで…ヨシ…涙
なお、帰国後パピルスに一番感心してくれたのは姪っ子でも夫でもなく、姉の夫でした。ありがとうお義兄さん!好きな人は好きだよね!ということでヨシッ!!!
(そして、東京の古代エジプト展では1枚3000円くらいで売っていましたとさ!笑)
ルクソール神殿
私のパピルス屋でのじっくり商品選びのおかげで3人とも涼気をじゅ〜ぶんに楽しめましたね!さあいざ夕陽のなかルクソール神殿へ!(Rockyは本当にいつもいいタイミングで連れてきてくれてマジ感謝…)
夕陽に照らされた遺跡、綺麗〜〜〜!すご〜い!巨像が立派〜!
マジで立派…ん?あれ?なんかこのファラオ……既視感が…あるような…?
「これはラムセス2世ですね。ルクソール神殿はアメンホテプ3世が建設し、ラムセス2世が拡張・装飾しました。オベリスクは2本ありましたが、もう1本はパリのコンコルド広場にあります」
ラムセス2世…またか…!
M様が速攻で「ま〜たラムセスか〜!なんか写真撮る気なくなったな〜」と言っていた。拒否反応素直すぎる。笑
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3階部分に扉があってとても面白かったが、昔はあの位置まで砂で埋もれていたってことだと思う
そしてカルナック神殿ほどではないものの、こちらにも列柱がある。
ふと、もしかしてこの列柱のモチーフ、パピルス!?さっきパピルス屋で見たフサフサに似てる…!?と思い、Rockyに訊いてみたら、いい笑顔でYesと言ってくれた。
わあ〜〜〜!!!これまでいろんな柱頭見てきたけど、葡萄以外で初めてわかったよ〜!すごい!また大興奮(列柱オタクみたいになってきた)
もうさ、こういうモチーフが持つシンボリックな意味とか…大好きなわけですよ。
絶対それぞれに意味があるはずでしょ、たまらんよな。ということでまた調べました。
植物の柱頭は豊饒の象徴で、最も古い列柱は「Palm 椰子の木」のデザインをしており、古・中王国時代は「Rotus 蓮」のデザインが好まれ、新王国時代は「Papyrus パピルス」のデザインが好まれた。
【蓮】もとは上エジプトのシンボル、再生や太陽を意味する
花が朝開き、夜閉じることが太陽や生死と結びついた
【パピルス】もとは下エジプトのシンボル、生命、知識、統一の象徴
書物の原料であり、上エジプトで使用されることで下エジプトへの統一支配も意味した
パピルスの柱頭は開花型と蕾型があり、意味が異なる。※諸説あり
→開花型 … 神聖さや豊穣を象徴
→つぼみ型 … 成長や生命の誕生を象徴
うわ〜〜〜最高だ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!(オタク大爆発)(五体投地)(大の字)
人間ってすごいよねえ、そこに存在するものに勝手にこんな意味を見出してさ、それを色々な形で表現し浸透させ遺し、何千年も後の人間にも伝えることができるんだよ。
私はここに人間が人間たる真髄があると思います。だから建築とか都市が好きなんだ。
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ファラオが上下エジプトを支配していることを示した壁画
神殿の奥の方にあった(古い)ので、多分アメンホテプ3世だと思う…
もう写真じゃ足りない映像を…というかたまには自分が映ってるムービー欲しい!ということで列柱を味わう私をM様に撮らせ(本当にありがとう!M様のカメラスキルはここ5年で超!進化していて本当に最高です!)、どうやったって映り込むラムセス大王と控えめすぎるツタンカーメン夫婦も撮影し、大満足で終わり〜と思ったら夜に移りゆくライトアップされた神殿も最高〜と、1時間みっちりとルクソール神殿を堪能しました!!
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これだけいるんだから別のファラオもいるのかなと思ったけどマジで俺様は俺様しか飾らない
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「ラムセスも見習えよ!」というM様のツッコミが面白すぎた
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ナイル川の増水期にカルナック神殿(アメンラーの象徴)からこの聖なる舟がルクソール神殿(ファラオの象徴)に運ばれ、王権の正統性を示し豊穣を祈った(オペト祭)
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もう一本あったオベリスクは現在はパリのコンコルド広場に…
夜のクルーズ船も楽しいね(お腹が痛くないから)
ダンスショー
おそらく通常の観光客の倍くらい時間をかけてしまったらしく、クルーズ船に戻ったらすでベリーダンスショーが始まっていた。
ロビーラウンジでお姉さんのベリー(お腹)がダンシング…一瞬しか見られず残念(ちゃんと見たい人は列柱に興奮しすぎず、19時には船に戻りましょう)
その後、クルクル回る男性が登場。スーフィーかなあと思って見ていると、色々と曲芸を始めて、おお、トルコで見たやつとはだいぶ違うなと思っていると、なんと、光り出したwwwちょっと待ってwこの国の人たち、光るの好きだなあ!!
ここはもう我慢出来ず大爆笑した。でも隣の推定イギリス人のマダムも大興奮で声を上げて拍手していたので、光った甲斐があったってもんよね。
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夕食
この船の人たちはタオルアート然りサービス精神が旺盛で(ツアー最終日にチップを支払うため彼らもアピールに余念がない)、食べ終わってまったりしていたら唐突にクイズを出してきた。
「2つのピラミッドの辺を1つ動かすだけで4つのピラミッドを作ってみて」
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普通にわからんかったけど答えがわかってみれば簡単で結構悔しかった…!
隣の推定カナダ人ファミリーは前日に同じ問題を出されたらしく、「悔しいのわかるよ…」みたいな顔でアイコンタクトしてくれた。笑
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さらに謎のバランス技を披露され、すごいドヤ顔をもらいました。
お腹が痛くないクルーズ船はこんなに楽しかったのね…シュタイゲンベルガーよりあっさり風味で好きだったのに、結局この船でまともにご飯が食べれたのはこの日の夕食だけでした笑
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この船の方がリクエストした水を間違いなく迅速に持ってきてくれたので、シュタイゲンベルガーより好きだった笑
明日も早朝から気球に乗ってサンライズを見るぞ〜!ということで、ルクソールに停泊したまま就寝。船は本当に揺れないし、酔い止め・睡眠薬いらずで速攻寝られましたとさ。今日も最高の1日だったね!
うざエジ度 ★☆☆☆☆
ラムセス2世が相変わらずうざかったくらいで、マジで何にもウザくないんだけど………(逆に困惑)
インド人にびびった度は文句なし★★★★★でした(なんでやねん)
申し送り
① 我ながら本当に長い文章ですけど、全部読んでから行くと歴史の色々がわかって面白いんじゃないでしょうか!テーベが都になった理由とは、エジプト神話の意味とは、列柱たちの表すものとは…!(これ以上要約出来ない)
② お土産のパピルスはルクソール空港やカイロのお土産屋で10ドルくらいで買えるよ…
③ もし、時間がなくてアブシンベルかルクソールどちらかしか行けない!という人がいたら、私はルクソールをお勧めします。別に細かい意味がわからなくても列柱が本当に綺麗だし、ラムセス2世の自己顕示欲はアブシンベルじゃなくても感じられるので笑
いや〜今回は最長をゆうに超え12,800字…調べながら書き、エジプト展に行ってまた加筆修正し…書くのも読むのも大変だ〜笑
読んでくれて本っっっ当にありがとう!!