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【読書感想】バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎
この本の概要
バッタ被害を食い止めるため、バッタ博士は単身、モーリタニアへと旅立った。それが、修羅への道とも知らずに…。『孤独なバッタが群れるとき』の著者が贈る、科学冒険就職ノンフィクション!
感想
会社のグループウェア上に読書スペースがあるんですが、そこでおススメされていた本。
さわれる距離にいる虫は嫌いなんですけど、映像でみるぶんには昆虫ってものすごく魅力的なので、おススメを読んだ瞬間即買いしてしまいました。
マジで、今年読んだ本のうちでベスト3に入りますね。
そのくらいおもしろかった!!
この作者の方、秋田出身で私の二つ下で世代も近いしちょくちょく秋田の話も入ってくるので、それだけで私の心を鷲掴み。
同じ高校かと思ってソッコーでWikipedia調べちゃったよ。
(残念ながらちがった…)
この本は最初から最後までユーモアにあふれていておもしろいんですけど、それに加えてバッタなど虫のことはもちろん、博士に進んだ若者のシビアな現実や、アフリカのモーリタニアという国の文化についても教えてくれるので多方面で勉強になります。
うちの次男は独特の感性と独特の探究心の持ち主で、たびたび「研究者とか科学者になりそう」と言われるので、次男に読ませたい!と思いました。(たぶんこんな長い本読んでくれないだろうけど…)
ワタクシ的名言
研究所に勤める職員の呼び名を少しずつ憶えていった。日本の苗字トップ3に君臨する佐藤、鈴木、高橋の比ではなく、驚愕のモハメッド率の高さだった。研究所内だけではない。出会う人がことごとくモハメッドだった。
本のなかでもアフリカで出会った人々とのエピソードがたくさん書かれているんですが、ほとんどがモハメッドで別人でした(笑)
どう区別するのかというと「コックのモハメッド」「門番のモハメッド」など職業や体格で区別するんだそうです。
名前とはいったいなんなのか…。
モーリタニアはただでさえ自国の干ばつで苦しんでいる。それなのに他国の難民のためにキャンプ地を準備し、受け入れている。そこまでして人を助けようとする理由がわからずババ所長に話を聞いたところ、
「我々モーリタニアの文化は、そこに困っている者がいたら手を差し伸べ、見殺しにすることはない。持っている人が待っていない人に与えるのはあたりまえのことだ。」
言うのは簡単だけど実際に行動するのは難しい。
ステキな文化だ。
肉体的にも生きるのが大変だからこそ、より他者と身を寄せて生きようとするのかもしれない。
文明で得られるものは多くあるけど、失ってるものもあるなーと改めて思わされました。
このときを待っていた。群れの暴走を食い止めるため、今こそ秘密兵器を繰り出すときだ。さっそうと作業着を脱ぎ捨て、緑色の全身タイツに着替え、大群の前に躍り出る。
「そのもの蒼き衣をまといて金色の野におりたつべし。」というナウシカの大ババ様が頭によぎります。
このあたりの描写は完全にナウシカで、読みながらニヤつきが止まりませんでした。
マジでおもしろいので全人類にオススメします。
高学年の子どもなら読めると思うので子どもにもぜひ。