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夢の台地へ

夢の台地へ

※この後手直しする予定ですが、一旦公開しています。

§1

良く晴れた7月中旬の十時半、朝と昼の隙間の時間に僕は大学内の並木道をサクサク歩いていた。5冊ほどの数学書と大量のルーズリーフの入った重いリュックを背負って、その重さに慣れ切った体を運びながら、最近学んだ、有限次ガロア拡大$${L/K}$$の中間体の集合$${\mathbb{M}}$$と、そのガロア群$${\mathbb{H} = \te

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理系の父

山間部の集落に引っ越してきた。
私の父は物理が専門の大学の教員だ。
車で通える距離に大学があること。
山間部であるにもかかわらず幼稚園、小学校、中学校が揃っていること。
何より自然の豊かさを父親が気に入った。

自分はまだ4歳で、この引っ越しを楽しみにしていた。
新居を建てる途中で何度も親と見に来ていたから、家が徐々に出来上がる様子を見ていたし、長い時間をかけて出来上がるプレゼントを待っているよう

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中庸

保育園のお昼寝の時間、僕は眠れなかった。

周りの友達はみんな気持ちよさそうに寝ていて、僕は床にゴロンと寝そべり天井を見上げていた。

白くて高い天井には黒いブツブツがついていて、それをぼんやり眺めていると、そのブツブツたちが歪んで動き出す。

あのブツブツはなんだろう。いつからあそこに住んでいるんだろう。

そのブツブツは天井みたいで、でも生きてるみたいだった。

先生たちに話しかけたら友達が起

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自我

自我

風呂上がり、クーラーの効いた六畳一間。

ゲーミングチェアに座ると、今日の疲労が胸筋を肺に腰掛けさせる。

呼吸は浅くゆっくりとしていて、何かを成し遂げる体力などは、もう全く残っていない。

畳まれている布団を敷けば眠ることができる。

部屋の明かりがぼんやりと映っている僕の目は、夜間モードに設定されていないデスクトップPCのディスプレイを少しまぶしく感じている。

エアコンの働く音とPCのファン

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∃ハチミツ s.t.

∃ハチミツ s.t.

   ∃ハチミツ s.t.
                          もこmoko059

     1

 大学の向かい側にある行きつけのカフェ。そこは二階建ての古い木造建築で、二階が店主の住居、一階がカフェになっている。店内はこぢんまりとしていて、入って左右の壁際にソファーと低いテーブルがそれぞれ一組ずつあり、他は奥のカウンター席のみだ。左のソファーがない部分の壁際には本棚があり、文

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VRC開始1分後まで

VRC開始1分後まで

ぴぴぴ。ぴぴぴ。判然としない意識が判然としないまま立ち昇る。腰に負担がかからないように状態を起こす。掛け布団を剥ぎながらのそりと立ち上がって、机の上で鳴っている目覚まし時計をほとんど視認出来ないまま叩いた。少し意識がはっきりする。視界がもやもやとしている。カーテンが開けっ放しで、目覚まし時計が鳴る前から陽の光によって少しずつ覚醒していたらしいことに意識が向く。重心のふわふわしている体が敷布団を畳む

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