夢と現実の狭間

小中学生の頃、女の子の前ではぺちゃくちゃ喋るくせに男の子が1人でもいると途端に黙る子だった私が唯一話せたのが石ちゃん(仮名)という男の子だった。



家が近所だったし、親が厳しい的な話で分かり合えてた部分もあったからだと思う。
何もしてないのにボールぶつけられたり、上に乗られたり意地悪される事もあったけど基本優しかったからだと思う。



高校生になってクラスがほぼ女子という楽園を手に入れてから、より男性が苦手になって(嫌いじゃなくてむしろ好きだけど苦手)彼氏が出来てもすぐ別れての繰り返しだった。
私が寝坊した時、石ちゃんとはよく電車が一緒になっていたから(別の高校)どうせ遅刻だし2人で喋りながらゆっくり登校したりしていた。
彼とは別に約束して遊ぶわけでも無いけど、定期的に自然に会える関係だった。




私が就職してからも、電車でも街でもよく会っていた。
当時の彼が何をしてたかは知らない。
当たり前に会える関係過ぎてわざわざ連絡先も聞かなかったし、働いてるかも聞かなかった。
当時は多分それが当たり前だった(時代)




でもある時を境に全く会わなくなった。
彼の実家には立派なお庭があったんだけど、お庭にはいつの間にか別の家が建っていた。
実家自体にお家の方は住んでるのか、何度も表札を見たかったけど怖くていまだに見れていない。
同級生に石ちゃんの連絡先知らない?と聞いても誰も知らなかった。




石ちゃんの元カノさんも石ちゃんの連絡先知りたがっていると噂で聞いた事はあるけど、結局誰も連絡先を突き止められず誰も会ってすらいないみたいだった。
SNSも見つけられなかった。




会えなくなってしばらく経つのに、私の夢には時たま石ちゃんが出てきて苦しめられる。
仲が良かったはずなのに夢の中では上手く話せなくて、いつも素っ気ない態度を取られる。
夢の中で私はこんなに好きなのにと思う。
現実世界の私は石ちゃんが好きだったのかと疑問に思いながら
起きて毎回悲しくなってしまう。





思い出は美化されるというけど当時から私は石ちゃんが好きだったのかもしれない。
そういえば20歳くらいの時周りが私たちをくっつけようとしてたけど、幼馴染過ぎて何も起きなくて皆残念がっていた。




石ちゃんは康平という男の子といる事が多く、康平と私と石ちゃん3人の思い出があってもおかしく無いのだが私はあまり思い出せない。
康平も小学校からずっと幼馴染のはずなのに。
康平単体と話した記憶はあるけど3人で話した記憶はない。
私は無意識に石ちゃんとばかり話していたのかもしれない。







思い出そうとしても、もう鮮明に思い出せないほど過去の話になっていて真実が何かは分からなくなってきている。
だからこそ会って確かめたかった。
いや、確かめたいとかそういうめんどくさい事は無しにして私はただただ彼に会いたい。







もし数年ぶりに彼に会った時、私は何と声をかけるのだろうか?
「久しぶり!元気やった?」とびっくりして声をかけるのだろうか。
「最近まで風邪引いててさー」と昨日も会ったかのように話すのだろうか。
どんな風に声をかけても、きっと彼は昔と同じように笑ってくれると思う。
自分と同じくらい歳を取った彼を見て私はどんな気持ちなるのだろう。楽しみだ。


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