アンナカレーニナ ブロンスキーの物語【映画感想の真ん中でシェーを叫んでみた】(2017年ロシア映画:シャフナザーロフ監督)
アンナカレーニナと言えば、
まずはハリウッド映画のこれ。
定番ですね。ただしこれはハリウッド。登場人物が英語しゃべってます。
一方、今回紹介したいのはロシア映画。
当然、ロシア語をしゃべってます。
ただし、知らない人がこれから紹介するロシア映画をいきなり見てもたぶん大丈夫です。
日本でも確か「ツルゲーネフの兄弟」の勝手な続編を書いてしまった方が
いらっしゃるように、
ロシアでも古典の勝手な続編を書いてしまった方がおられるようです。
それが「日露戦争にて」
古典「アンナカレーニナ」の勝手続編となります。
今回紹介する映画は、この小説の映画化です。
母の不倫のせいで放置子になってしまった息子が、
成長して軍医になって、本作の語り手をやります。
この人は、不倫された夫のカレーニン伯爵の息子です。
不倫中のお母さん(アンナ)に「あまりものでも勝手に食べてなさい」
と言われてた男の子。あれには塩野七海が絶句してましたね。しぇー!
奉天会戦の戦場で因縁の人物と再会してしまうという、
文学な展開となっております。
因縁の人物とはもちろんブロンスキーですよ。他に誰がいますか。
そもそもブロンスキーという男が、
カレーニン伯爵夫人アンナと不倫したところからすべてが始まったのです。
でもまあそういう原作だから致し方ない。
またロシア映画を紹介してしまいすいません。
まあでも映画を観てもロシア政府には
1コペイカも入金されないと思います。
経済制裁がありますので、
むしろ没収されてウクライナの方に行くかもしれません。
しかし日露戦争が欧州映画に出てくるなんて、珍しいを通り越して、絶無。
この戦争の映画を作ろうと思う国は
そもそも地上に日本とロシアだけだろうし。
日本人だから日本の作品はいくつか知ってますが。
ロシアの作品はひとつも知らないです。本ならまだしも映画となると。
ってか無いんじゃないかな。
(小説はプリボイの「ツシマ」を読んだことあるけど)
まあ、こちらはロシア伝統の冗長的な話が長く続いてしまう方の作品です。
文学ですから、余白が大事なのです。
ブロンスキーの回想シーンが長く続き、
アンナカレーニナを知らない人は、
ここで原作の「大体のあらすじ」を知ることができます。
華麗な軍服とドレスで踊るシーンは、だけどわずか。
(この時代の軍装はオシャレでいいですね)
不倫のみじめな結末について語られます。ブロンスキー目線で。
現在の(奉天会戦時点の)ブロンスキーは、
貴族軍人だから義務として戦場に来てはいるものの、
運命の人が死んで以来、すっかり人生投げやりになってしまい、
砲弾が飛来する中でギャンブルに興じてしまうほど堕落してしまってます。
しかし、すっかり打ち明けて重荷を下ろした後、
息子軍医と負傷者のために、
「1時間だけ時間を稼いでやる」
そういって最後の仕事に戻っていくのです。
迫りくる日本兵の隊列がワンカットだけ映りますけど、
うん、戦争映画とは言えないですね。
ネタバレしまくりですいません。
まあ文学作品はネタバレしてても、読みますからね。
21世紀でもほぼ同じネタの映画を作れそうなロシアですが、
とりあえず20世紀版を視聴するのはどうでしょうか?
(ちなみにタイトル画像は硫黄島のものですので本作とは無関係デス)
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