海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年(著:塩野七生)【この読書紹介は1000分で書ける???】
イタリアには海洋通商都市国家が4つあって、
アマルフィ、ピサ、ジェノヴァ、ヴェネツィア。
アマルフィ。
現在はイタリアの熱海になっている。もはや観光地。
この地は断崖絶壁に囲まれた熱海であるため、海に向けて発展。
ただ陸上側を攻略されることによって、もっとも早々に脱落。
ピサ。
フィレンツェのお隣。ピサの斜塔やマルコポーロで有名。
川の中ほどに作られた町も、海洋貿易で反映していたが、
フィレンツェとの闘争に敗れて征服されて脱落。
ジェノヴァ。
コロンブスの出身国。天才ばかりが集う企業国家でもあり、
ふしぎと意味がよくわからないレベルの天才アントレプレナーが次から次へと出現。
どちらかというとそういった天才の個人的力量に支えられた個人主義国。
ヴェネツィアとは最後まで覇を競い合った。
ヴェネツィア。
アドリア海の奥深くにある、干潟(ラグーナ)の真ん中に作られた人工都市。
立地条件から外部の攻撃にたいして難攻不落を誇る。
もとからそういう場所に逃げてきた人たちによって作られたこの国は、
ジェノヴァとは真逆の集団主義。
つねに全体最適化を図り突出した誰かを作らせないようにした。
なんとなく社会主義的な共和国である。
幼女戦記の作者。カルロゼンはヴェネツァアの海将。
ジェノヴァとヴェネツィアの抗争は長く続きましたが、
最終的にジェノヴァがヴェネツィアを攻めきれず撤退したキオッジャの戦い以降は、クールダウンする。
巨匠はこれを「不戦勝」と書く。
消耗戦を続けているうちに、ジェノヴァが勝手に衰退してしまったのである。
だからこそヴェネツィアの勝利は大きな意味を持つ。
国家としての総合力、統治力でヴェネツィアが圧倒したことを意味するからだ。
しかしヴェネツィアには絶対に勝てないレベルの新たな強敵を迎えてしまう。オスマン帝国であった。
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そういう感じで、ヴェネツィアの1000年の歴史を、ほぼ2冊で解説。
貿易で生きる国家が、マキャベリズムを駆使して、大国になり、
そして合理的であるがゆえに没落していく話は、
バブル時代の日本人に刺さった。
ヴェネツィアかくあれり。
いわんや本邦はいかに?
という煽り。
そこまで煽られては読むしかない。
そんな次第で、銀座でおねーちゃんを口説くおじさんたちが、
ついつい知ったかぶりをしちゃうリベラルアーツとして、
当時は重宝されたのでした。
***
いや、そんなことはともかく、
普通に面白い。
ひとつの国家を主人公にした栄枯盛衰の物語。
誰か架空の都市国家でこれを書いてほしいとか思う。
さらに「ローマ人の物語」とかと違って、
短いのが良い。上下巻。
でも今みると6巻構成になってるな・・・
リビルドしたのかな・・・
↑ 過去に紹介した塩野本。
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