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地球生命は自滅するのか?―ガイア仮説からメデア仮説へ(地球生物学の本:著:ピーターダグラスウォード)【読書感想も自滅するのか?それは読者だけが知っている。現代最新おれ学の知見より】

生物と地学が、大好きな皆さまお待たせしました。
今回は私がいつか偶然書店で見つけて食いついた本になります。

これを解説する前に、ジェームズ・ラブロック博士のガイア理論という話を知ってもらわねばなりません。

ガイア理論とは、地球はいわゆる生命体に近いもので(惑星ソラリスか?)自動調節機能ホメオスターシスがついている存在だというものです。
そのおかげで安定した気候が維持され、生命のゆりかごとなった。

母なる女神である地球が生物たちをゆっくり育んできたと。
そういう話です。

しかし様々な証拠から、ガイア仮説は(フロイト理論と同じで)もはや古い学説と呼ばれるようになってきています。

その代表走者が本書、というわけでもないのかもしれませんが、私が知ったのは本書からです。

では簡単な内容を。

ところで、地球はホメオスターシス(自動調節機構)がついているのでしょうか?
ホメオスターシスというのは、ある反応が発生すると、それを元に戻すような作用が発生して、自動ブレーキをかける、というようなものです。

結論から言うと否です。


例えば地球は寒冷化すると雪が降って大地が白くなります。白い台地は日光を反射してしまい、さらに寒くなります。
逆に地球が温暖化すると、凍土の下や海底のメタンハイドレートなどが放出されてしまい、温暖化に拍車を駆けます。
つまりブレーキをかける装置ではなく、逆にアクセルを踏む装置がついているわけです。

まあ地球はソラリスではないので、こんなものですよね。

それどころか、地球は大量絶滅を引き起こす主体となったこともありました。
古生代の終わり、ペルム紀の大量絶滅の原因は、大噴火です。
西シベリア台地や、オントンジャワ海底台地、といった巨大火山の噴火により、寒冷化、酸素濃度が20%から10%に下がる、みたいな、ほとんど別の惑星になる事変により、大絶滅が起きました。

こういう事例を見てると、地球が生命のゆりかごである女神、というのは必ずしもそうとは言えないことが分かります。
それどころか(定期的に)我が子を殺す魔女メディアに近い。
というので、本書のタイトルが出てきたのです。

さらになんとなく私たちは、人類が滅んでも、生物圏としての地球が続いていくんだろうな、と漠然と考えているかもしれませんが、

「50億年後には太陽に呑み込まれるんだろ。知ってる。でも逆に言うとそれまでは続くんだろ?」

とんでもありません。


地球生態系の寿命はあと5億年くらいです。実質2億年くらいですかね。
というのは、植物が二酸化炭素を急激に減らし続けているからです。
(地質学的なスケールの話ですよ)
人類以外に地球生命を滅ぼせそうなのは、実は植物先輩なのですが、
さらにいうと植物は前科が2回もあります。
スノーボールアースを発生させたのは初期の植物でした。
動物が植物を食べ荒らすようになって、以降はブレーキがかかるようになりましたが。
どうやら、またやらかすようです。
科学的見地に基づいた予測です。

植物「人類? 貧弱、ひんじゃくううっっ」
地球の滅ぼし方について、人類は植物パイセンに学ばなければいけないようです。

しかし6億年くらいで大気中の二酸化炭素が尽きてしまうので、さしもの植物パイセンも終わるという話です。そこから先は植物がない時代になります。どうなるかはお分かりですね?

まだあります。


太陽、恒星というものは、時間が経てば経つほど、出力が微増していくという現象が起こります。
最終的に微増ではなく激増になるのですが、これがいわゆる赤色巨星の状態ですね。
しかし巨星化するまえに、まず微増もしているのです。

変な話ですが、38億年前は、地球は寒すぎたのです。
にもかかわらず、どうして生命が誕生するくらい暖かかったのだろう?というのは、謎です。
寒い地球のパラドックスと呼ばれます。
おそらく大量にある二酸化炭素やメタンのおかげで、温室効果が強く効いていたのだと想定されています。

しかし恒星はだんだんと出力が強くなってきます。
要は熱くなってきます。
現在は適温域ですが、
(植物パイセンが温暖化ガスを大量に片づけてしまったことも含めて)

10億年先の地球では、平均気温が60度とかを超えるようになります。
高温耐性バクテリアしか生き残れないですね。

しかも巨星化まであと30億年はあります。
というわけで、熱に弱いタンパク質をベースにした生物は滅び去るわけです。

まだまだあるぞ!


さらに20億年もたつと、地球内部の熱が冷えて、核が固体化してしまいます。
それによって磁場が地球を守ってくれることもなくなり、放射線が降り注ぐようになってしまいます。
どこかのアニメみたいな空洞惑星ならともかく。
地球にはそういうのないので厳しいですね。
どんなに頑張っても、この時点で地球生命は終わりです。

まあ、地下に細々と微生物が生き残るかもしれませんが、
それは火星と同じ程度の生き残り方です。

ちなみに、火星は38億年くらい前にはやばやと核が冷え切ってしまったそうです。
小さいからですね。

金星は地球と同じ大きさですから、遠い過去は生物がいた可能性ありそうです。
今は暴走温室効果によって灼熱地獄になってしまってますよね。
(厳密には暴走温室効果は暴走し始めた状態を指すので、現在の金星は、あれはあれで安定しているので暴走温室効果とは呼ばないそうです)

まだあるの!


さて、地球内部の熱が冷える、ということは、地下からいろんなものを供給してくれるマグマもなくなる、ということです。鉱物は出てこなくなるし、そもそも大気がなくなります。
さらに海もなくなります。

ただ太陽光量の増加については楽観的な仮説もありまして。
10億年ではなくて20億年くらいなら、生物圏は存続する、という予測もあるようです。
理由は気圧が低下するから。
もはや火山もなく大気を補充してくれるものがありませんので、気圧が抜けて真空に近くなっていきます。
だから思ってるより気温が上がらないんじゃないか?
どっちにしろ、あかんやろ!!

もうやめて!


実は地球の核が冷える現象は、20億年くらい前から少しづつ進行してきた事態です。
以前は内部の熱が多く、放射性元素も大量にあり、地球表面のほとんどが海に覆われていました。
内部の熱が高いうちは、海底から染み込んだ水は蒸発して水蒸気になって、戻ってきていましたが。
内部の熱が減少したせいで、海が地下に漏れ出すようになり。
これを地球のバスタブ化と呼ぶらしいです。
・・・これは別の本で読んだかもしれん。ともかく、
「お風呂の栓を抜いたよ!」

おかげで陸地が顔を見せだし始めます。
良かったですね。
そして、最終的には海がぜんぶ漏れ出して無くなるわけです。
ぜんぜん良くないぞ。
「お風呂、からっぽになったよ!」

磁場が現在の状況になったのも、固体化した内核と液体の外核との相互作用がナンチャラあるらしいです。
固体化した内核がないとダメみたいなんですね。
マントル対流も現在みたいに1層構造になりました。
以前はおそらく2層構造。
プレートテクトニクスが1層構造以外で出現しうるのかはわかりません。
もしかしたら無理なのかも。

現在の安定した環境は、実は長い崩壊の過程にあるおかげ様なのです。

ともあれ、本論に戻すと、
どうやら地球は母なる女神ではなかったらしい、ということなのです!

あと数字とかは微妙に間違えている可能性があるので、ウィキなどで正しい数字を補完することをお勧めします。

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