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ヒュレーの海【読書紹介はかく語りき】(著:黒石 迩守)

少年ジャンプ! 
これはジャンプに出てきそうなSF!
厨二病的専門用語!
ちゃんとした単純化されたストーリー!
少年漫画のエッセンスが詰まりつつ、ハードSFっぽさも出している世界観!
こいつはいいですよ。

ストーリーは単純に主人公の成長譚。
少年と少女がいきなり出てくるので、ボーイミーツガールというか、最初から知り合ってます。
ネタバレになるので書きませんが、襲い掛かる試練が彼らを成長させていきます。というか成長していかざるを得ません。

しかし世界観は、
ナノテク文明による崩壊・・・というかネット世界が現実を侵食し、巨大な電子空間がリアルに地球全体を破壊、しかも地球全体が磁気媒体になったわりには(故障?ウイルス?)上書きの嵐が繰り返されるので、まともな生物は外には出ていけない。
海も空もなくなり、暗黒のノイズが地球を覆う。

かろうじて都市空間だけは人間が生きていける設定にしてあります。
部分的にノイズを消すシステムがあるんですね。
それでスーツを着て外の世界にわずかだけ出られる。
生き残った人類はノイズの中から使えるものをサルベージして細々と生きている。
そんな末世。

しかし少年少女の冒険心をくじくことはできない。
「海がみたいよ!」

とある上位存在をサルベージしたら「あれは記録媒体だから【海】も抽出できるぞ」などと教えてもらい、そうとなったらやることは決まってるぜ。
都市に保存されていた昔のスーツロボットに乗りこんで。
とある宝物を目指しての冒険が始まる!

そして対抗する都市国家の軍人たち。
これもロボットアニメによく出てくる類型。冷酷にして有能にして、少しおかしい。
彼ら?も軍用新型ロボットにのり、宝物を奪いに来るのだった。
ノイズの中で戦いと冒険が始まる!
そして。

なんて。厨二病用語を少し自分なりに置き換えてみました。
読んでから大分たってるので結構忘れてる・・・
この独特の厨二的な専門用語がとっつきにくくしてる要素なんですよね。
でもだいたい把握してしまえば、話はぐんぐん進む。

でもここまでにしておきましょう。
後はご自分の眼でお確かめあれ。

ただ難点があるとすれば、内容が少年漫画の世界なので、テーマに物足りなさを感じてしまったところですかね。
少年漫画の世界でも頭一つ抜き出るには、マンガ+Aの要素が必要。
それがないと多くの読者が食いついてきません。普通のマンガはもう飽きた。

(もちろん読者さんの中には「え、ヒュレーの海にそういう要素あるじゃん」と思われる人もいると思います)
ああ、私だけかも。おもいっきり刺さらなかったのは。

ただこれを原作にして、これに担当絵師さんの独特な絵が加われば、いけるかもしれん。
少なくともネトフリでは行ける。
(ネトフリの呪いというか、世界市場ではどの国民性でも理解できるオーソドックスな脚本が求められてしまいますからね。日本アニメらしいのはむしろ敬遠される。逆にストーリーではテンプレの今作は有望かもしれません)

オビには「グランヴァカンスのリアル版」なんて書かれてましたけど、いや全然違うぞ。

こんな感じで、今回の紹介はどうだったでしょーか?

では恒例のまじめな書評も。
というか書評が少ないなー、この作品。
意外と知られてない名作なのかもしれない。

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