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機動戦士Vガンダム(1993年)【30年前のアニメ感想を書きます。そのせいでルぺシノさんに拷問されるのです。ぜひ読んでください】
昔のアニメなので、オススメはしません。
なにせ宇宙世紀ものガンダムでも、
もっとも地味でかつ鬱展開。
評判が悪い作品なのです。
監督自身もこのころはうつ病だったらしくて、
一時期は全否定していた。
でも、
私は宇宙世紀ものでは、これがいちばんスキだ。
理由としては、この作品のキーキャラクターとも言える、
カテジナさんの存在だ。
立ち位置としては、
隣の美人で憧れのおねーさん。
旧作だとセイラさんみたいな、美人のおねーさん枠で出てきたのに、
予告なく途中で闇落ちして、
最終的には、最悪のラスボスとして主人公の前に立ちはだかる。
某武装親衛隊中佐みたいな人。
隣のおねーさんから、悪の中佐への失楽なんて、
いまだかつて、この人以外には出てこないんじゃないか?
いや、アナキンスカイウォーカーとか、いるけど。
(となりのおにーさんだけど)
でも、みんな男性なんだよな。
今でも私は、
アナキンがなんでダークサイドに落ちたのか良くわかってない。
カテジナさんについても、
予告なく闇落ちして、
しかもそれが救いようのない外道になるという顛末だったので、
まどまぎのマミさんとならんで、
アニメ視聴者のトラウマになったキャラクタらしい。
物議をかもした。
カテジナ役の声優さん「私は職業柄、どんなキャラでもその気になれば感情移入できるんですが、カテジナだけは無理でした。あれ、なんだったんですか?」
監督「僕にもわかりません」
ちょ、ちょっとまってくれ。
監督にもわからないのかよ。
***
私は、物語上の演出として、
こうした方が絶対に面白い。
という演出的暴走の結果、ああなったのだ、と思っていた。
まあ、物語を書こうと思った人なら、
よくある。
「こうした方が絶対に面白い」
と感じると、だんだんと暴走していくんだ。
↑ 無料っぽい?
****
でも、最近になって、
少しカテジナの深層心理に察しがついたような気がした。
もちろん、それは私が勝手に思いついたことで、
監督の計算とかではないのだろう。
あくまでも30年越しでようやく、
「ああ、あれはそういうことだったのか」
と納得がいったんだ。
どこまでも私一人の中で。
****
答えとしては、
カテジナは、自分のことを、
「自分は誰にも愛されない人間だ」と思っていたんだ。
愛されない人への薬は、誰かが愛してあげることなんだけど、
(とりあえずムリゲーだと思わないで欲しい)
「自分なんか誰にも愛されるはずがない」
と思ってしまうと、その癒しすらも拒絶してしまう。
そしてそれでも「愛されない」ことに苦しんでいるから、
「なんで、なんで誰も私のことを愛してくれないんだよっ」
といって、狂っていく。
あんまり良い傾向ではないのだが、私にはそれがわかってしまった。
分からない方が心理的に健全だ。
しかも対照的にメインヒロインのシャクティという少女がいるのだ。
このシャクティという少女は、
当時の子ども向けアニメでよく描かれる、
優しくて陰キャで、そして主人公の少年のお姫様だ。
いわゆる古いヒロインに属するヒロイン。
主人公の少年に助けてもらうのを信じて待っているお姫様キャラというか。
(実際に作中でもリアル姫様だということが発覚)
まあ、最近のアニメでは、あまり見ない系かな。
しかしよく観てると、
このシャクティって、カテジナとスタート地点が同じなんだ。
「自分が不幸だと思ってる人間」
だからいつも何となく暗いし、
時々未来を悲観してテンパったりする。
いつも自分より小さい子の面倒を見てるけど、
大人っぽい子どもって、実は危ない。
でもそこは、メインヒロインというか、
彼女は主人公の少年が、ちゃんと見守ってくれてることを自覚するんだ。
「自分は愛されるに値する人間なんだ」と素直に思えたんだ。
そしてカテジナにもそういう男性がいた。
ライバルキャラの、クロノクルという人物だ。
主人公の宿敵ポジ。
彼は、いわゆるダメ男だとされているが、
観た感じ、そこまでダメだとは思わない。
クロノクルがダメなら、日本のサラリーマン、お父さんはみんなダメなんじゃないか?
前作のシャアみたいな、カリスマ度はないけど、
野原ひろしくらいには成れる男だ。
彼について、保身しか考えてなかったと言われるけど、
それってそんなに悪いことだろうか?
はは、人は誰だって身の保身を考えるものだよ。この私だってもっと地位が低ければ、様子をみて有利な方に付こうとかんがえるかもしれない。まして他人なら当然のことさ。
「来いっ」って呼べば、仕事を捨ててでも駆けつけてくれる男だ。
充分じゃないか? スペックなんて低くてもいいじゃないか?
でもシャクティと違うカテジナは、
その愛を信じることができなかった。
いや、
誰からの愛も、信じることができなかった。
「私なんか愛されないに決まっている」から。
だから狂う。
「もっと、もっと私を愛せよっ」
「お前たちが悪いんだっ」
そうやって暴力を振るってまで、愛を求めようとする。
うまくいくはずがない。
愛を信じることのできる人たちは、
愛を信じられない人の気持ちがわからない。
おかしいですよ。
とうにおかしくなっているっ
というすれ違いが生じてしまう。
心に痛みを感じる。
本当は同じ立ち位置にいた、シャクティとカテジナは、
そこまで距離が遠くなっちゃんだね。
しかも、
二人の明暗を分けたのはたったひとつだけの要素。
「自分は愛されるに値する人間なんだ」と素直に信じられること。
これだけ。
すごいドラマだ。
もちろん分かりやすくは描いていない。
演じている声優さんだって正体がわからないんだから。
でもこれだと、カテジナの行動はすべて一本の線で説明できる。
ちっとも複雑じゃない。
腑に落ちたんだ。
****
そして、これが宇宙世紀シリーズで、凝りもせず語られてきた、
ニュータイプの正体なんだと思う。
ニュータイプとは、
超能力者でもなんでもない。
「自分は愛されるに値する」と当たり前のように信じられる人。
そして他人もそうなんだと、普通に感じられる人。
そういう人たちが世界を変える。
なんてことはない。
幸福の青い鳥は、最初からすぐそばにいたんだ。
このVガンダムで、ほぼ宇宙世紀ものが終わったのも、
答えが出たからじゃないのか?
なんて。
「違います」とか言われちゃうんだろうな。
まあ、いずれにせよ、昔の作品なのでオススメはしません。
しかしこのテーマは使えそうです。
リチャード3世も「愛されなければ憎むしかないではないか」
と名セリフを言っていたしね。
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