ジャッカルの日(原作:フレデリックフォーサイス:1073年)【俺はひとりで映画紹介をやる。俺に仲間は不要だ。「いや、唐突に何言ってんだ?」】
旧作名作。
60年代の大作家フレデリック・フォーサイスが書いた小説の映画化。
時代はアルジェリア戦争期のフランス。
当時はまるで旧関東軍みたいなフランス軍部が、
「アルジェリアはフランス本土。絶対に撤退しない」
「撤退するくらいならクーデターを起こす!」
と、どこかで聞いたような血気盛んな発言をしていました。
しかし、私たちの知っている国とは違い、
フランスには強力なリーダーが出現します。
それは、ドゴール。
ご存じ、自由フランスの盟主として、ナチスドイツから祖国を解放した英雄。
「ドゴールのオヤジなら話がわかる」
軍人たちは歓喜しましたが、
タイミングを見計らってドゴールは、軍幹部を更迭。
アルジェリアの独立を容認。
ドライでリアリスティックな国際政治感覚は、
若き志士たちの期待に反するものでした。
結果、暗殺やクーデターを試みるもの、
フランス公安に阻まれて、すべて失敗。
「いや、向こうは俺たちの同期だ。同じ教育を受けている。俺たちのやり方は知られすぎていてダメだ。だから、まったく別の奴に依頼してみよう」
そうして選ばれたのが孤高の殺し屋、ジャッカル。
このジャッカルは、独特なポリシーを持っていて、
仲間を決して信用しない。作らない。
アンチジャンプヒーロー的な哲学を持つ彼は、
仲間に依存するから完成度が下がる。
最高の仕事は自分一人でやるに限る。
とまで言うのだ。
その結果として、
ジャッカルの仕事は異様なまでにステルスで、
発見しにくい、予防しにくいという、
最も恐れられるプロ暗殺者になったのだ。
***
そういう形でフランス公安とジャッカルとの戦いが描かれるのだが。
そんなことはさておき。
このジャッカルのひとりプロフェッショナリズム。
私は勝手にジャッカリズムと呼んでいるけど。
うなづける点が多いんじゃないか。
だって、みんな話を聞かないし。
集団プレイをしていると、カイゼンというのが遠く見える。
自分1人だったらいくらでも作業過程を改善できるが、
他人がひとりでもいると、
「余計なことするな」
「言われたことだけをしていろ」
と結構な確率で止めさせられる。
そこに合理的な説明なんてない。
ただ、みんながそうしてるから、そうしているんだ。
そういうケースが圧倒的に多い。
だから人数が多くなればなるほど、作業効率が低下する。
自分1人であれば、200%の効率を出せるが、
2人だと50%、
4人だと5%、
それ以上だと1%以下の効率でしか働けない。
人数が多くなればなるほど、作業効率は低下する。
そういう場面が非常に多い。
仲間がいるせいで、非効率な仕事をしなくてはならない。
チームプレーはプロフェッショナリズムのガンなんだ。
そうじゃない、という人もいるのかもしれないが、
そういう人は得てして、
強力な権威を持つリーダーで、
他人を自分の命令に絶対服従させてるだけじゃないか?
まあ独裁者が有能なら組織は機能するだろうけど。
でも優秀な部下がいたとして、チームの中では絶対に使いこなせないよね。
優秀な部下は自立して自分が独裁者になれる別の組織を立ち上げるしかない。
そういう場面しか経験したことがなければ、
ジャッカリズムは福音とすら聞こえるのではないだろうか?
仕事はひとりでするもの。
それが本当のプロだ。
誠実な仕事に仲間はいらない。
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という、脇道にそれたけど、
まあ、旧作名作とは言え、当時の時代精神が垣間見えるので、
個人的には視聴しておいてよかったと思う。
ただ古い映画なんで、そういうものだと思って観てほしいかな。
さて、フォーサイスの他の名作と言えば、
逃亡ナチス戦犯の極秘組織を描いた、オデッサファイルである。
ちなみにジャッカルのもう一つの名前はカルロスというが、
80年代に大物テロリストで同名の人物がいたが、
関係はなさそうである。
というか、彼もこの作品のファンらしい。
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