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アララトの聖母(2003年:監督:アトム・エゴヤン)【映画紹介さん、今日はちょっと顔色が悪いわね。そうだわ!こういう時は】

注意!:不快感を感じられる方がいるかもしれません!

まだ紹介してなかったのかもしれない。
どこかでやったような気がするんだけど。
まあ、今回のメインはこのコで。


今回は、20世紀初頭のアルメニア人大虐殺を扱った映画である。
というか、映画は史実よりも、
現代のアルメニア系アメリカ人が悩むテーマを描いた映画である。
舞台も現代アメリカなので、アルメニアは、基本出てこない。

****

私、結構なロシアスキーだと思うし、
日本人だからナチスにも割とニュートラルなのだが。

今回の戦争では心身ともに連合国国民になってしまったようなのだ。

「原爆? いや、戦争を始めたのはお前らだろ」

いや、わかるよ。今はその気持ち。

「僕は君が死ぬまで、殴るのを止めない」

悪いね。
気を抜くと、しばしばそうなる。
天国とか、ぶっこわしてやるよ。

(ここまで導入です)

****

私の中には憎しみがあるのだ。
ダイナマイトみたいなものだ。
こんな熱い季節になると、勝手に爆発してしまう。

私が軍隊経験者でウクライナ語が胆嚢なら(あ)
志願兵になってるかもしれないが、
今どきは装備を自腹で買わないといけないらしい。
ロシア兵は貯金で、ウクライナ兵はクラファンで武器を買ってる!?
「戦争にはお前が行けばいい」とか、言ってはならんよ。
金持ちとは限らないからね。話がそれた。

****

しかし、この経験で気がついたことがあった。

憎しみは、人の心を癒す効果があるのだ。
憎しみは母のように優しい。
敵を憎んでいる間は、人間でいられる。

そういうことだったのかっ!?


人間の感情って、生き物だから合理的な理由があるものだが。
そういう理由で憎むように出来てたんだ!

***

被害者というのは、人間ではなくなるのだ。
よく「魂の殺人」とかいうけど、
そういうことなんだ。
被害者であることを受け入れているうちは、
被害者は人間では無くなっている。

しかし「敵を憎む」ようになると、
人間性が回復してくる。
悪いのは敵なのだ。
憎むべきは敵の方であって、私ではない。

もちろんこの治療法は、
本来の相手からスライドさせることもできるのだが。

(一周回ってきた)
まあ、リスクの高い禁じ手だ。非常に危険だ。
しかし根源はそこにあったんだ。

****

さて、現代アルメニア人の青年は、
なぜか、心の中にダイナマイトを持っていた。
まあ、観ればわかるんだろうけど。家族の問題だ。

そして過去のジェノサイドの話によって、
引火してしまう。

そしてトルコ人の俳優氏にヘイトしてしまうのだ。
でも、そのトルコ人の俳優氏も、
アルメニア人の青年も、
生まれも育ちもアメリカなのである。

トルコ人俳優氏も自分のルーツを否定したくない。
といっても配役上、トルコ人の悪者の役をやらされている。
演技しないと食っていけないのだ。プロの役者だ。

多重にメタ的な映画だ。
すごい。

そして誰も悪くない。

*****

「なあ、俺はトルコの血が入ってるから、先祖を悪く言いたくない。もちろん君はそうではないこともわかる。だけどお互いに意見が合わないってことで、それで良しにしないか?」
「・・・・・・・」
「俺たちは別に、互いに殺し合ったわけじゃない。ただかつて敵同士だった民族に生まれただけのアメリカ人だ。アメリカ生まれのアメリカ人だ。俺たちが殺し合ったわけじゃない」
「・・・・・・・」
「俺たちの間では、仲良くするってのはダメか?」
「・・・・・・・」
「そうか。じゃあ。行けよ」

確かこんな感じ。うろ覚え。ああ、ネタバレ。

憎しみを捨てることはできない。
憎しみも、また大切な、自分のかけがえのない一部なのだから。
ずっと抱えて生きていくんだ。
大切に。大切に。



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