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電撃戦(著:レン・デイトン)【読書紹介はもたもたしていた。そうすると夏が終わってしまった「い、いかん」】
レン・デイトンはイギリスの作家。
スパイもの、ミステリーサスペンスなどが主力作品。
ノンフィクションも得意で、
第二次大戦冒頭のドイツが、西側を攻撃したときの戦い。
1940年のアルデンヌ攻勢について、研究して書いた本がこちら。
この戦いでドイツ軍は、オランダ、ベルギー、フランスを降伏させて、
イギリス以外の西欧を征服した。
その後、ノルマンディーの戦いで連合軍にフランスを取り戻され、
最後にふたたび因縁の地、アルデンヌで逆襲を仕掛けるが、あえなく敗退。
この「バルジの戦い」は1944年のアルデンヌの戦いで、
まったく別の戦いである。
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さて。電撃戦とはなんじゃらほ。
それは、第一次大戦の塹壕戦で、
歩兵が攻撃を仕掛けても突破できないような要塞化された陣地を、
どうやって攻略するか?
といったところから始まった。
ドイツ軍は、
特殊部隊を用いた戦い方を発明し、
少数精鋭で忍び込んで、破壊しまくって前線を突破するというアイデアを考え出した。
連合軍は、
戦車の力を使って、力技で相手を押し込む。
とくに相手が攻撃して兵力を使い果たした後に、
反転攻勢を仕掛けるという戦い方を発明。
戦後、模索と研究は続き、
要塞化された塹壕陣地をどうやって攻略するか?
という研究が進んでいく。
(厳密にはソ連の方が早かったみたいだが)
ここでドイツが開発したのが、
戦車を使った電撃戦と呼ばれる戦い方だ。
戦車の力で、要塞化された前線を強引に突破。
あとはひたすら敵後方に向けて進撃していく。
そうすると、後方に進撃された敵は、
もうそれだけで、夏のアイスが溶けるように勝手に崩壊していくのだ。
そう、後方は軍隊最大の弱点なのだ。
素人は戦術を語り、プロは兵站を語る。
といわれるくらい、軍事学は最初に補給に始まり、最後に補給で終わる。
補給だけ勉強しなさいくらいに重要なことなのだ。
防衛大とかでは、みんなそれを教わっている。
なので後方補給線が切断されてしまうと、その時点で軍隊は戦えなくなってしまう。
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ここでレンデイトンは、電撃戦のもっとも純粋な形として、
1940年5月の西側攻撃の話を出してくる。
なんでも、ポーランドやソ連での戦い方は、
一見すると電撃戦ではあるが、
ナポレオンも愛用した古い包囲戦術をベースにしたもので、
電撃戦の定理とは厳密には異なるのだそうだ。
(まあ、これも補給を断つためだ)
ドイツの将軍、グデーリアン(ブルースウィリスに似てる)
彼が主張した電撃戦の純粋な形は、
40年5月の西側攻撃にしか見られないのだという。
それは包囲するのではなく、ただ前進すること。
包囲なんかやらず、そんな暇があったら、ひたすら前進すること。
突破したあと、後方に向かって前進し続けるだけで、
相手が勝手に瓦解してしまう。
これがグデーリアン理論なのだ。
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という解説をひたすらやっている研究本。
図書館で借りてしまった。
ミリオタにとっては当たり前の常識なんだけど、
おそらく知らない人が多いと思う。
ウクライナ戦争だとドンバスで、
取った取られたの陣地戦をやっているのが、
いわゆる第一次大戦型の、要塞化された塹壕戦での戦いだ。
それにたいして、
開戦劈頭、キーウを一気に攻略しようとしたロシア軍の動き。
22年秋のウクライナ軍のハルキウ攻勢。
24年のウクライナ軍のクルスク攻勢。
これらが電撃戦に相当する戦い方だ。
電撃戦は、しばしば敵のウィークポイントを狙う。
強い部分を力攻めしても意味がなく、
弱い部分でもいいから、とにかく突破して、
敵後方への進撃を始めなくてはいけない。
それがセオリーなんだ。
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別に紹介するほどでもないかもしれないけど、
ウクライナ戦争の情勢分析をするには、
この程度のミリオタ知識はあっても無駄にはならないかな。
と思ったのデスマシタ。
でもミリオタはみんな知っている。
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