大きな森の小さな密室(著:小林泰三)【だって読書紹介だもの】(ミステリ短編集)
泰三と書いて(やすみ)と読みます。
でもワンチャン若い女性ならタイゾウと呼んでも許されるはず。
「それはどういうことなんですか?若い女性なら僕が喜んでタイゾウと呼ばれるとでもいうんですか」
「ええと、いや、そんなこと誰も言ってなかったけど、しかしいいじゃないですか。若い女性に名前を読んでもらえるなんて」
「違いますよ!私の話を聞いてますか先生!」
「じゃあ、どうだろう?今後は私がタイゾウになるということで」
「先生!・・・・・ほんなら税金も払っておいてくださいね」
「名前を読み間違えるなんて本当に失礼ですね」
「先生――!!」
すいませそ。これは私の脳内妄想デス。
こういう会話が頭の中で勝手にささやかれたんですね。
この作家さんはSF作家の人でもあります。
私はそう認識していたんですが、最近はミステリの領域に移動しつつあります。
この短編集もミステリ短編集です。
しかもお題があって、
安楽椅子探偵、倒叙ミステリ、バカミス、SFミステリ、日常の謎、
などといったお題が出ており、それについて作品を作ってみたという体になっています。
中にはメタミステリみたいなものさえあります。
そして序盤の私の脳内妄想ですが、まあこんなボケツッコミのテンポがしばしば出てきます。特に「丸鋸遁吉」博士が出てくる話。
SF小説時代からこの人が出てくるとシュールボケの世界になってくるのですね。
要するに作中の登場人物は他の作品にも使いまわしされているのでして。
私が読んだ限り「目を擦る女」(2003)にも丸鋸遁吉博士や調弦探偵Σが出てきます。
謎が解かれる快感、は実をいうとあまり感じませんでしたが、
しかし抜群の話の面白さ、テンポの良さは感じます。非常に読みやすい作品集です。
いちばん気に入ったのは丸鋸博士が出てくるやつでしたね。
メタミステリ。第4の壁をやぶってくるタイプです。
私が買ったのは小さい単行本のやつです。
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