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ソードロワイヤル(刀见笑)(2010年)【「なぜだ!この映画感想、斬れぬ!」一方その頃「あったあった。これよ。これを使って」】
中国映画。
中国映画って検閲とかのせいで。
当たりが少ない気がするけど。
これは当たりだった。
武侠の時代。(たぶん明王朝ぐらい)
名前の通りで、ソードアクションものだ。
***
現代編0:
とある精肉屋のおっちゃん(小汚い)
は遊郭の美女おいらんに惚れる。
まあしかし、相手にされない。
しかも熊みたいな刀剣使いが、
その花魁のところに通い詰めているが。
まったく勝てない。
向こうはプロの戦士だ。
その時、謎の通りすがりの謎の男から、
「包丁」をもらう。
過去編1:
この男、かつては料理人だった。
とある料亭で修行をしており、
いろいろあって、リウ大監と呼ばれる権力者に料理を作ることに。
こいつが悪名高い暴君で、すぐに料理人を殺すのだ。
万が一のために、後継者を決めようとするシェフ。
そして選ばれたのは、この男だった。
しかし、男が目指していたのは料理人ではなく。
リウ大監への復讐だった。
伝説の包丁を手に入れるために、
料亭で修行していたのだ。
過去編2:
伝説の包丁。
かつて伝説の剣士がいて、敵対する勢力を滅ぼして。
その刀で鉄塊を作った。
二度と魔力に満ちた妖刀が作られぬよう封印したのだ。
しかしそれを持ち出した男がいる。
野心に駆られ、剣士として世に名を売らんがため。
がしかし、刀鍛冶の機転で。
それは刀ではなく、包丁として作られたのだ。
そして剣士は・・・
****
かように本作は入れ子構造となっている。
現代編0(過去編1(過去編2))
という構造になっている。
こういうのは、中国系の物語で伝統的に使われてきたのだろう。
本編エピソードにいきなり過去編が乱入してくるって、
銀英伝や三国志でも観たことあるから。
この手法は、複雑になりすぎ、読者や視聴者を置いてけぼりにするリスクがあるのだが。
そういえばマンガ家の大暮維人先生が、ある作品で、
単行本3巻分の過去編を書いてしまい、怒られたそうな。
私なんかは途中から読んだので、過去編の主人公が主人公なんだと思っていた。
だから突然、変な奴が出来て唖然としていたが。
その変なのが本来の主人公だったんだね。
かように過去編の扱い方は難しい。
だが本作においては、無理なく調和している。
実際にこのお話は、ある妖刀(包丁に打ち直されている)というアイテムが主人公なのだが。
あまたの所有者の間を渡り歩いてきた妖刀のエピソードとして、
筋が通った作品となっている。
妖刀が喋り出したりしない限り、こういう手法でしか刀の話は書けないだろう。
うん。アリだ。
二重入れ子構造の過去編をうまく使うことで、
とある妖刀のエピソードが無理なく語られている。
良作だと思ったのだ。
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