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ゲド戦記(ジブリアニメ版)(2006年:監督・宮崎悟朗)【どうすんだよ。アニメ感想「おれ、映画感想になるんだ」そうじゃねえんだよ】

言わずと知れたジブリの黒歴史。

「なぜ悟朗にやらせた!?」
という怒号を誰もが発したという。
(プロジェクトX風。うっそ)

いや、よくよく観れば、
そこまで酷いという訳でもなく、
良くある外れアニメのひとつなんだけど。
ジブリという、超ブランドの煌めく宝石たちの中に、
いっこだけ普通の石が混ざっていると、

目立つは目立つ。

まあ、でも、
良くある外れアニメとは言ったけど、
観た感じでも割とズレている。

まず少年が父親を殺したとかいう初期設定。
これいる????

しかも、それがそのあとにどう回収されたのかも何も描いてない。
設定サギだ。

設定はよほどの打ち切りでもない限り、
(打ち切りなら致し方なし)
すべて回収しないと物語の作り手とは呼べん。

これはズッコケた。
(モコモコは椅子から落ちた。プロジェクトX風。うっそ)

↑ なんか動画サイトで観れない系?
ツタヤディスカスでは観れるとかの話がある。

***

まあ息子、悟朗監督もそれなりの才能の持ち主なんだろうけど、
あまりにも経験が無さすぎた。
高校野球の経験もない人を、
いきなりメジャーのマウンドに出すくらいの無謀だ。

実際に、敗者復活戦とも言える悟朗監督の次の作品は、
ちゃんとまとまった作品になっているので、
悟朗監督は経験が無さすぎた。
というのが結論なんだよね。

また、ジブリ作品の例にもれず、
原作の名残が見えないほど改変されてしまっているが、
それでも何も言われなかったのは出来が素晴らしすぎるので。
しかし悟朗監督の作品はそうでもなかったので、

「私の作品と違うっ!!」

と言われてしまった。
これまでは「違うけど、これはこれですごいっ!」
と言わしめていたのに。

原作改変するなとは言わん。
だが、出来が悪ければ四方八方が文句を言う。
改変するなら文句を言わせないほどの、圧倒的な出来映えにして見せる覚悟が必要なんだ。

↑ ネタバレ注意。
ホッカイロレンさんの喋りが楽しすぎるので、
まったく別の動画として楽しかった。

****

でも、ラストの方で多少は救われている。
ここは原作の力なのか、悟朗ちゃんの力なのか。
判然としないけど。

ああ。たぶん、こういうものを描きたかったんだろうな。

というのは分かった。

この作品で描きたかったテーマは、
受け入れられない苦しみを受け入れる。
というもの。

どうしても耐え難いものがある。
目を背けてしまう時がある。
直視できない。
見つめ続けたら心が壊れてしまう。

そういう時に、
それでも、それを、
自分の一部として受け入れて生きていくには、
どうしたら良いのかね?

そういうことを表現したかったんだな。

それは、なんとなく、把握できた。

どんなにか、辛く残酷なことを経験しても、
あるいはどれほどの悪を為したとしても、
人間は自分を肯定することしかできない。

人間は自分を好きになることしかできないさー。
自分を嫌いになろうとしても、無駄。

そういう風にはできてない。
だから、悪いことも、それがさも祝福であるかのように、
肯定的に受け止めていくしかないんだ。

原爆ドームだって、今や世界遺産である。

悪い知らせというのは、無いのだ。

「悪」によって分断されてしまった世界の、
全体性を回復する。

だからこそ、ヒロインは、あのような設定だったのだし。

主人公の少年が父殺しだというなら、
祖国に戻って刑に服した。
という一文を最後に入れておいた方がいいだろう。
それも気持ち明るく刑に服すのである。
暗くなってはいけない。

あとは、ゲドさん(ハイタカ)が、
もう少しルパン3世みたいに飄々としていれば良かった。
飄々としている男というのは、上の大事をすでに体得している。
辛くても笑える大人であり、
まさにそういう未来の主人公のような人物を、師として、対比的に置けば、かなりまとまった作品になっていただろう。

たぶんもうちょっとだけ、余裕があれば、センスを発揮できていただろう。

****

でも失敗作というのは、物語づくりの勉強になる。
皆さんでしたら、これをどうリテイクしますか?

↑ 怒られたら消します。

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