イミテーションゲーム(2014年)【山田くん、映画感想っ、ぜんぶもってちゃいなさい「逆から読んでも同じ名前になるのは山田ま」山田くぅーんっ!】
WW2スパイネタ映画を紹介したので、英国スパイと言えばこれを書かないではいられないだろう、というイミテーションゲームについて、いちどは取り上げたいと思います。
でもこの映画は良作としてよく知られており、他のnote作者の方がすでに幾度も取り上げているので、細かい説明は私が述べる必要もないでしょう。
こちらをご覧ください。
史実なので概要のネタバレがあります。
知っている人は知っている。
まあエニグマ解読作戦が、ポーランドが初めてイギリスが引き継いだこと。
そしてポーランドもイギリスも、ボンバとかチューリングマシンと呼ばれるコンピュータで、この解読を行おうとしたこと。
それでも演算量が足らなかったので、ドイツ軍の文章に必ず入っている定型文(想像してみてください。あれですよ)をヒントにしたこと。
でもそのヒントが敵にばれてしまうと優位を失うので、そのために偽情報作戦を行わないといけなかったこと。
最後のこれ。
パウルカレルの「焦土作戦」に出てきた謎の超大物スパイ「ヴェルテル」のことですね。
パウルカレルは、総統大本営それも総統の側近レベルから情報が洩れていて、ついに戦時中は誰かわからないままだったと書いてます。
パウルカレルは作中で「ヴェルテル、お前はいったい何者なんだ?」と叫んですらいます!
実は「ヴェルテル」などというスパイは存在せず、エニグマ解読を隠すための偽スパイをでっちあげただけだったりします。
「焦土作戦」は1973年。つまりこの時期にはまだエニグマ解読の秘密は公開されてなかったことになります。
エニグマ解読が情報公開されたのは冷戦終結後。こんなにも遅れたのはソ連スパイが関わっていたから。だからソ連崩壊後にようやく公開されたんですね。
そういった史実をこの映画ではサスペンスとして織り交ぜていき、さらにもう一本の糸として、最近になってようやく解禁された同性愛者がらみのネタがあります。
最近こそLGBKみたいな流れがありますが、その少し前までは欧米で同性愛というのはタブーでした。
そしてベネディクトカンバーバッチ演ずるチューリングは同性愛者。
それがいかにチューリングを歪めたかを迫真の演技で再現しています。
追い詰められたチューリングが、なんとかして仲間を安全圏に避難させようと思う。でも真実は言えない。
そこで自分は同性愛者だと公言します。でも返ってきたのは予想外の言葉。
でもでも、嫌われないといけないのです。
そうしないと守れないから。
思いつめたカンバーバッチの演技が、自分的にはこの映画のクライマックスです。
そして戦後のチューリングが、真実を誰にも言えないまま、同性愛者という病者として社会からパージされていきます。
まあネタバレと言えばそうですが、史実ですから知ってる人は知ってるわけです。お許しください。
問題なのは演技。
銀幕のこちら側にいる視聴者こそそのことを知っていますが。
向こう側では誰もこのことを知りません。
でも善行とか正義とかは、報酬があるからやるわけじゃないのです。
そういう皮膚感覚が庶民にはあるから、
表面的な演技の外側のあらすじの部分で、
チューリングがクールぶってる好きになれない変わり者の天才風だけど、
本当はハートのアツイ奴なんだと視聴者にはしっかり伝わります。
うん、名作ですね。
結末や内容が分かっていても面白い系です。
(という弁明をしておきます)
個人的10年代最高傑作級の評価をさせていただきます。
そんなわけで、今回はこの辺で。
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