見出し画像

家に居ること、家に居続けること

先日読んでいた、柚木麻子さんの『とりあえずお湯わかせ』の中で、柚木さんが転職を考えているという話が出てきた。
家で仕事をすることの大変さを思い知り、柚木さんは転職サイトを眺めているらしい。

人に会えず、場所も移動できない、集中力も続かない、雑務だらけの家庭の中だけで小説を書くなんて、私には無理。本当に無理。あと、子どもが具合悪くなったり、取材が感染で飛んだりして、やる気を出そうとしてもすぐ気持ちが折れるループも無理。

『とりあえずお湯わかせ』より引用

本を読みながら、在宅勤務になってストレスなく働けている人は、現状でどのくらいいるのだろうか?と考えてしまった。

在宅勤務になったことで、ストレスが軽減したという人はもちろんいるはず。
ただそういう人たちのストレスは、今でも軽減したままなんだろうか?
それとも別のストレスが発生していたりするのかな??

家に居ることと、家に居続けることは、大きく違う。
家で過ごそうと思うことと、家から出られないと思うことはまったく違う。

けれど私はその違いを、今まで深く考えてこなかった気がする。
2020年以降、行動を制限されることがこれほどのストレスになるとは、思ってもみなかった。
大好きな家での時間が、ストレスの原因になりえるだなんて思ってもみなかった。

2023年になり、当時ほどのストレスはなくなりつつあるけれど、これから先の自分が2019年の頃のように戻るのか、それともまったく別の生活へと変化するのか、今のところさっぱり見当もつかない。

きっとどんな生活になっても、何かしらのストレスは発生するだろう。
そのストレスとどんな距離感で過ごしていけるのか、年齢を重ねても対処の仕方にはいつも苦労していて、これから先の自分がどんな動きを見せるのか、今から楽しみなような、不安なような。

そんな最近の読書は『リバー』

ようやく読み終わった!
分厚さも終わってみれば一瞬だった!!
面白かった!!!

という簡単な感想で終わることもできるんだけど、それではあんまりなので、もう少しだけ感想を書き残す。

事件が栃木と群馬、両県の捜査でおこなわれるんだけど、土地勘がまったくない私はどっちがどっちの刑事なのか、最後までハッキリとしないまま読み終えた(被害者もどっちがどっちの人だったんだろう)。
それでも問題なく読み進めることができたのは、奥田さんの文章のうまさなんだろうな。

そして、想像していた事件の真相以上の真相にたどりつき、こう来たか!!!という面白さを一人で噛みしめながら読了した。

この小説、もとは連載だったと知り、連載で小出しに事件を追うなんて私にはとてもできないんだけど、でも連載だからこその真相が待ちきれない気持ちを抱えて、次号を心待ちにするというあの瞬間も生きていくはげみになるよね、なんて脳内でキャーキャーわめいておりました。

とても面白かったです。
奥田さんの本をまた読みたいです(小学生の読書感想文か)。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集