忘れていたのは
大切なことを忘れていた
忙しい日々を
ただ繰り返すだけで
何のために生きているのか
考えることすらできなかった
満員電車に乗るのが憂鬱だった
或る日
会社の一つ前の駅で僕は電車を降りた
もう仕事に行くのをやめようかと
思ったんだ
川沿いの道を歩きながら
ただぼんやりと歩いていた
このまま消えてしまいたくなった
誰にも理解してなんてもらえない
そう思った途端
僕の耳に小鳥のさえずりが
届いた
なんて美しいのだろう
鳴き声を目で追うと
つぶらな瞳の
小さな小鳥だった
僕はその場に立ち止まった
涙が無意識に溢れ出す
曇った視界を拭いて
空を見上げた僕に誰かの声が
聞こえてきた
人生は楽しむためにあるんだ
もっとゆっくり歩いてごらん